テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ヒートが近づくと、真都は決まって蓮の匂いのついた服やタオルを集め始める。ベッドの一角は、シャツやパーカー、ブランケットでふかふかの巣みたいになっていく。
《真都・蓮くん見て! いっぱいになった♡》
嬉しそうに報告する真都に、蓮は笑って頷きながらタンスからまた服を取り出す。
《蓮・ほら、これもいる? マイ、デカいから足はみ出てるぞ》
そうして何度も渡しているうちに、気づけば蓮のクローゼットは新品だらけ。
《蓮・……俺、最近服ばっか増えてる気がするんだけど》
《真都・いいじゃん? 蓮くんの匂いつくまで俺が使うんだから♡》
新品の服を次々に“巣”へ持ち込む真都を見て、
蓮は呆れたように笑いながらも、結局はまた新品を買ってきてしまうのだった。
ヒート前、蓮はつい真都に「これもいる?」と、着慣れた服を次々渡してしまう。
柔らかくなった生地や、袖口にうっすら残る自分の香り──それを真都が抱きしめて幸せそうに笑う顔を見るのが好きだから。
結果、蓮の手元には着慣れた服がなくなり、外出用に慌てて新品を買い足す。
《蓮・……これ、また新品だ》
《真都・うん、匂い薄いから要らない♡》
真都は新品の服や、洗いたてで香りのない服は、軽く指先でつまんでベッドの端に置いてしまう。
《蓮・……マイ、わかりやす過ぎ》
《真都・だって、蓮くんの匂い濃いほうが安心するんだもん》
そんなやりとりが、ヒートのたびに繰り返されていた。
新品がクローゼットに増えていく原因を、蓮はもう何も言わず受け入れている。
《蓮・……パンツ買わないと》
クローゼットを開けながらぼそっと呟く蓮。
《真都・ん?♡》
ベッドの上では、真都が洗濯前の蓮のパンツに顔を埋めて、くぐもった声で返事する。
《蓮・……マイ、それ……》
《真都・ん〜♡ こっちのほうが蓮くんの匂い濃いもん。新品なんて要らない》
蓮は呆れたようにため息をつきつつも、口元には笑みが浮かぶ。
《蓮・……じゃあ、もう何枚か俺が履いてから渡すか》
《真都・やった♡ 蓮くんの匂い、いっぱいにするね》
蓮の下着は、こうしてヒートのたびに真都の“コレクション”に吸い込まれていくのだった。
仕事終わり、同じαの友人たちと軽く飲みに行った蓮。
ビール片手に、会話は自然と恋人や番の話になる。
《友人A・ヒートの時とかさ、マジで大変なんだよ。仕事にならないし、正直重いって思う時ある》
《友人B・わかる。束縛きついし、ちょっと距離置きたくなるんだよな》
蓮はグラスを傾けながら、黙って相槌だけ打つ。
《蓮・……ふーん、そうなんだ》
心の中では(マイがヒート中にくっついてくれるの、俺は嬉しいけどな)とぼんやり思う。
むしろ、次のヒートが待ち遠しいくらいだ。
《友人A・蓮はどうなんだよ? Ωの恋人いるだろ?》
《蓮・……まぁ、俺は……そういうの、嫌じゃないかな》
それ以上は言葉にしない。きっと共感されないとわかっているからだ。夜遅く、蓮が玄関のドアを開けると、すぐに足音が近づいてくる。
《真都・……おかえり♡》
まだ寝間着姿の真都が、嬉しそうに抱きついてきた。
《蓮・ただいま。起きてたの?》
《真都・んー、蓮くん帰ってくるまで寝れなかった》
そう言って首元に鼻を押し付け、深く息を吸い込む真都。
蓮は軽く笑って、その背中に腕を回す。
さっきまで友人が話していた「ヒート中の束縛が重い」だの「距離を置きたい」だの──
今、この温もりを感じていると、やっぱり自分には理解できなかった。
《蓮・……やっぱ俺、幸せだな》
《真都・なに急に?〔笑〕》
《蓮・ううん。マイが可愛いって話》
真都は少し照れたように蓮の胸に顔を埋め、ますます強く抱きしめた。
ある日、撮影の合間にモデル仲間のΩたちが、控室で恋人の愚痴をこぼしていた。
《ΩA・ヒートのときなんか、すぐ距離置かれるんだよね。匂いきついって言われたり》
《ΩB・わかる。終わったらすぐシャワー浴びに行かれて、なんか拒否られた気分になる》
真都は聞きながら、心の中で(……うちの蓮くん、全然違うけど)と何度も思う。
ヒートの前からわくわくして準備してくれて、終わったあとも匂いを消さず抱きしめてくれる。
離れるときは必ず自分の匂いがついた服を置いていく。
──考えれば考えるほど、胸の奥が熱くなってきた。
(蓮くん、ほんとに俺のこと大事にしてくれてる……)
仕事終わり、帰宅すると真都はいきなり蓮に飛びついた。
《蓮・お、おかえり?どうした急に》
《真都・……蓮くん大好き。俺、蓮くんの番でよかった》
そう言って頬を擦り寄せる真都に、蓮は少し驚きながらも微笑む。
《蓮・……俺もマイが番でよかったよ》
真都の「好き」が、また一段と深く刻まれた瞬間だった。
真都に引き寄せられながら、蓮はふと不安をこぼすように囁いた。
《蓮・……マイ、ヒート以外の時も……俺が求めて、嫌じゃない?》
真都は瞬きし、少しの間黙って蓮の顔を見つめる。
その大きな手が、蓮の頬から耳の後ろまでゆっくり撫でた。
《真都・……嫌なわけないじゃん。蓮くんが欲しがってくれるの、俺すごく嬉しいよ》
《蓮・……ほんとに?》
《真都・ほんとに。……蓮くんは俺のαだよ? いつだって求めていい》
その言葉に、蓮の胸がじんわりと熱くなり、目元が緩む。
でも次の瞬間、真都の腕の中でまた疼きがぶり返してしまう。真都はゆるく笑って、蓮の腰を抱え込むように引き寄せた。
《真都・……お尻、解してあげるね?》
低く甘い声が耳元をくすぐり、蓮の背筋がぞくりと震える。
《蓮・……ん、でも……》と躊躇いかけるものの、すぐに小さく息を飲んだ。
真都の手がゆっくりと蓮の太ももを撫で上げ、熱を帯びたところへ触れる。
その大きくて温かい掌が、じわじわと奥の疼きを溶かすようだった。
真都は半分眠そうなまま、蓮の腰を自分の膝の上にのせる。
《真都・……力抜いて。蓮くんは俺に任せて》
ゆっくりと指先が蓮の入り口をなぞる。
まだ閉じたそこは、触れられるたびに小さく震え、呼吸が浅くなっていく。
《蓮・……ん、あ……マイ……》
声が漏れるたび、真都は少しだけ笑って、指先に潤滑を馴染ませる。
ゆっくり、浅く押し入れては引き、奥を探るように優しく動かす。
《真都・……あったかい……もう少し入れるね》
指が2本に増える頃には、蓮の腰はわずかに揺れ、瞳が潤んでいた。
《蓮・……んん、もう……奥まで……》
《真都・ふふ……ちゃんとほぐしてからね。大事なとこなんだから》真都は蓮の腰を支えたまま、ゆっくり指を動かしながら小さく呟く。
《真都・……蓮くんはαだから、ちゃんと準備しないと入らないもんね》
蓮は赤い顔で、少し恥ずかしそうに視線を逸らす。
《蓮・……ん……だって、Ωみたいに勝手に濡れないし……》
真都はその様子が愛おしくて、指を優しく螺旋を描くように動かす。
《真都・だから俺が、しっかり解してあげる。……蓮くんが気持ちよく入れられるように》
蓮は肩で息をしながら、真都の胸に額を預けた。
もう、されるがままに力を抜いて委ねている。
真都はゆっくりと指を動かしながら、蓮の奥の反応を確かめるように撫でた。
《真都・……やっぱり、柔らかいね》
蓮は少しだけ眉を寄せて息を吐く。
《蓮・……そりゃ……マイの、何度も入れてきたから……》
真都の口元が緩む。
《真都・αなのに、俺の受け入れるの上手すぎ。……可愛い》
蓮は顔を伏せて小さく笑う。
《蓮・……可愛くない……でも、マイだから……》
真都はその頬にキスを落としながら、指を奥まで押し込み、柔らかく広がる感触を確かめた。
《真都・……うん、もう十分。……入れたくなってきた》
真都の指が深く沈むたび、蓮の腰が小さく跳ねる。
《蓮・っ……はぁ、まい……っ♡》
真都はその震えを感じ取り、わざとゆっくりと奥を撫でた。
《真都・……指だけで、イきそう?》
蓮は唇を噛み、恥ずかしそうに首を振る。
でも、その肩はわずかに揺れていて、奥の筋肉がきゅっと締まる。
《蓮・……ん、や……でも……っ、もぉ……♡》
《真都・……可愛い。……じゃあ、イっていいよ。俺の指で》
真都の低い声が耳元に落ちた瞬間、蓮の背中が反り、甘い声が零れた。
腰が震え、指を逃がすまいと奥が何度もきゅうっと締まる。真都は蓮の首筋に顔を寄せ、深く息を吸い込む。
《真都・……ん、蓮くん……どんどんフェロモン濃くなる♡》
耳元に落ちる甘く低い声に、蓮はビクリと肩を震わせる。
後ろでは真都の指が奥を押し広げ、前はお腹に擦れるたびにじんわりと熱がこもっていく。
《蓮・……や……そんなこと……っ》
言葉とは裏腹に、呼吸は荒く、肌からは確かに濃い香りが溢れ出していた。
真都は微笑み、蓮の頬にキスを落とす。
《真都・……俺、この匂い大好き。……もっと欲しくなる》
その囁きと同時に、指が一段と深く沈み、蓮の腰が大きく跳ねた。
真都は奥で締めつけてくる感触に、くすぐったそうに笑った。
《真都・……指、ぎゅうぎゅう締め付けてる〔笑〕 イきそう?》
蓮は熱のこもった瞳で真都を見上げ、息を荒げながら小さく頷く。
《蓮・……っ、や……でも……もぉ……っ♡》
真都はその反応が愛おしくてたまらず、わざとゆっくり奥を撫でる。
《真都・……イっていいよ、蓮くん。俺の指で》
蓮は小さく震えながら、前をお腹に擦りつける動きも止められず、全身をくの字に反らせて快楽に呑まれていった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!