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お待たせしました!
フォロワー様100名突破記念で頂いたリクエスト、ちゅーるさんの韓国×日本です!
一番♡が多かったので、最初に書かせていただきましたー!
他の方のリクエストも後々手をつけていくので、気長に待ってくれると幸いです
改めてリクエストありがとうございます!
ではどうぞ!
「……あの、当たってしまいました。」
昼休み、社内の給湯室で、私は湯気の立つ紙コップを持ったまま、ぽつりと白状した。
「なにが?」
韓国さんは私を見ずにコーヒーを入れている。
「この前、エナジードリンクに付いてたキャンペーンのハガキ……韓国さんの名前で、応募しちゃってて…」
「は?」
思った通りの反応だったけど、私は焦らず続けた。
「以前、“仕事ばっかで何も楽しくねぇ”って呟いていたのが聞こえまして…
ちょっとした……イタズラ、みたいな…。」
「どうせ当たらないと思って…笑い話にでもできたらなと…。」
彼はようやくこちらを見た。
左目は透明感のある青。
右目は光の角度でほんのり色づくような、淡い赤。
その視線が、鋭くも優しい。
「で?」
「……ペアチケット。遊園地。週末。行きます…?」
思わず語尾が上がる。
少し間があって、彼は小さく鼻で笑った。
「なにそれ。まあ……別にいいけど」
それが、私たちのデートのはじまりだった。
デート当日。
遊園地の入園ゲートの前に着いた時、韓国さんは軽く目を細めて空を見上げた。
「思ったよりちゃんとしてるんだな、こういうとこ」
「ちゃんとしてるって、何と比べてですか?」
「大体遊園地はこんな感じだと思いますけど…。」
「知らね。てか来たことない」
「えっ、人生初ですか?」
「……たぶんな」
その割には、彼の歩幅が弾んでいて、
可愛らしいと感じる私の気持ちを悟られないよう小さく微笑みながら無言で並んだ。
遊園地のゲートをくぐるのなんて、たぶん中学生以来だ。
平日のせいか、人はまばらだった。
入ってすぐの噴水の前で、小さな子供が水に手を入れてキャッキャと遊んでいる。
私はぼんやりそれを見てたけど、韓国さんがこっちを見ていることに気づき、慌てて「行きましょ」と笑った。
「あ、あれ乗りたいです! メリーゴーラウンド!」
「お前、子供かよ……」
「なッ!乗れるものは乗っときたいじゃないですか……こういうとこってそう何度も来れないですし…。」
「はいはい」
呆れたように言いながらも、ちゃんとチケットを差し出してくれて、私は小さく笑ってしまった。
メリーゴーラウンドの馬に乗るのはちょっと恥ずかしかったけど、斜め前の馬に座り、煩わしいと言わんばかりの表情をしていた彼の顔が、どこか楽しそうで
つい、目が吸い寄せられてしまった。
遊園地の中をぐるぐるまわりながら、たくさん話したわけじゃないけど、
会話のない時間も、あまり苦ではなかった。
お昼ごはんに少し大きめのホットドッグを食べてるとき、口に入るかということばかりを気にしていた私は、うっかりケチャップを服の袖に落としてしまった。
「あっ」
「……動くな」
韓国さんは、自分のポケットからハンカチを出して、無言で私の腕を拭いた。
やさしい、と思った。
でもそれを言うと、たぶん彼は黙り込むか、「うるさい」とそっぽを向かれるだけだから、私は小さく「ありがとうございます。」と呟いて、それ以上は何も語らなかった。
観覧車の前にたどり着いたとき、私は自然と足を止めてしまった。
白くて大きな輪が、ゆっくりと静かに空をまわっている。
「……乗るか?」
韓国さんが横に立って、短くそう言った。
一瞬だけ迷って、私は首を振る。
「……高いところ、ちょっと苦手で」
本当は、ふたりきりの密室に彼が困るんじゃないかと思って。
だけど、私の嘘は、それなりに自然に聞こえたみたいだった。
「…そ」
彼はそれ以上なにも言わずに、前を向いた。
それが、少しだけ胸に残った。
夕暮れどき、ベンチに並んで腰をかけ
私たちは自動販売機で買ったジュースを飲んでいた。
空が、とてもきれいだった。
西の方はあたたかなオレンジと赤。
反対側には、やさしい青が静かに広がっている。
そのどちらにも染まらない空の真ん中には、ゆるやかに溶け合う境界線。
それはまるで、彼の瞳のようだった。
左目の青は、少しだけ光を含んでいて、透明な水面みたいにきらきらしている。
右目の赤は、ほんのりと色づいた夕焼けのようで、静かに胸を揺らす。
見てはいけないものを盗み見るみたいに、私は彼の横顔を見つめた。
そのひとときはゆっくりと進んでいたが、
確かに、刻一刻と時間は過ぎていた。
変わりゆく空の色が終わりを告げる準備をする。
どうせその時がくるのなら
少しだけ
もう少しだけ、一緒にいたいと
そう思った。
「……やっぱり、観覧車、乗ってみたいかもです。」
少し俯きながら、ジュースの缶の縁を指でなぞり、そう呟いた。
声に出した途端、曖昧だったきもちに輪郭ができた気がした。
彼は少しだけ目を見開いて、
「意味わかんねぇな」と笑った。
だけどその声は、さっきよりもずっとやさしくて。
私はそれがうれしかった。
ゴンドラの中は、想像よりも静かだった。
下を見れば、遊園地の灯りがぽつぽつと星みたいに輝き始めている。
窓の外は、まだ完全に夜になっていなくて、
遠くの空には青と赤が混ざるような淡い色の帯が、そっと残っていた。
視界いっぱいに広がるその空は、
やっぱり、彼の瞳に似ていた。
私は何も言わずただ景色を見ているふりをして、ガラス越しの彼の横顔に、視線をそっと預けた。
観覧車がゆっくりと降りていく。
そのタイミングで、韓国さんがぽつりとつぶやいた。
「……また、どっか行くか」
「え?」
「お前、こういうの結構好きでしょ。たぶん」
「……たぶん、好きです。」
私は驚きでうまく笑えなくて、
でも頷きながら少しの期待を添えて、そう言った。
観覧車の扉が開く直前、彼が差し出した手に、私はそっと指を重ねた。
それだけで、十分だった。
少し深く色づいた夜空には、星が滲んでいて、
二つの光が少しずつ交わっていくみたいだった。
まるで、私たちみたいに。
きっと、少しずつ。
ちゃんと、少しずつ。
コメント
8件
主様言葉の使い方が上手過ぎます!!
うわあー .. 😭😭❤️🔥 🇰🇷🇯🇵本当に大好き .. 🥹🫶🏻️💓 2人がゆっくりゆっくり 関係を深めていく感じと 空をかけるの 好きすぎる🥺天才 🎓✨ 🇮🇹🇯🇵、待ってるわね 💖💖
情景描写が神なんよねぇ…… 韓日の甘酸っぱさ、最高です!