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昼休み、学校にて。
4限目の終わりの鐘がなると、佐藤は自分の机に突っ伏した。
佐藤「あ”〜、ねみい…」
紫咲「おい一期。いくら学校だからと言ってさらけ出しすぎだバカ」
佐藤「あ?いくらオレのプロ意識が高ぇからって学校の昼休みくらい気抜かせろよ」
紫咲「オレは別に構わないが、世間にこの姿が広まって困るのはお前だろ一期。それと自分で言うな」
同じクラスの紫咲。
紫咲はアイドルでありながらも、熱烈なアイドルファン…いや、アイドルオタクなゆえに、佐藤のだらしない姿には日々呆れつつも『理想なアイドル』でいようと誰よりも高いプロ意識を持つ佐藤のことはオタク目線ながらも、心の底では認めつつあるのだ。
佐藤「へーへー、相変わらずうるせぇなツツジは」
大きなあくびを隠しもせずに堂々とすると、カバンの中からラップに包まれた雑なおにぎりを2つ取り出す佐藤。
いや、おにぎりといってもほぼ握られていないような姿をしているが。
佐藤「ふわぁ…あー、腹減った」
紫咲「…お前、またそれか」
佐藤「オレの昼飯にケチつけんじゃねーよツツジ」
紫咲「ケチは付けてない。ただ野菜も食え」
絶対と言っていいほど佐藤の昼飯はこれだ。
流石に耐えきれなくなった紫咲が今日は口を出した。
佐藤「ならお前の弁当のトマトくれよ」
紫咲「なっ…」
ラップを剥がした塩むすびを口に入れながら、紫咲とは目も合わせずに悪びれもなくそう言う佐藤。
紫咲「誰がお前なんかにやるものか!!」
佐藤「は?言うくらいならくれよドケチ」
紫咲「誰が言ってんだ!!」
佐藤「弁当のトマトがヤなら別に現金でもいいぜ?ほら、野菜代として」
紫咲「その金がどこに溶けるか見え見えなんだよバカ!」
佐藤「あーはいはい分かった分かった。とりあえずメシ食わせろ。ひとりで」
紫咲「チッ…」
呆れ顔を浮かべながら、自分の席へと戻っていく紫咲。
隣のクラスの武道が居てくれたらどんなに良かっただろうか…いや、武道が居たところで『静かにしろ』、とひとつ言われるだけで状況はそこまで変わらないのかもしれない。
生江「─おーい、一期!ツツジ!」
3年のフロアから降りて来たのか、手にタッパーを抱えた生江が教室の外から声をかける。
紫咲「…どうしたんだ?」
開きかけていた弁当箱の巾着を置くと、生江の方へと駆け寄る紫咲。
生江「はい、あげる。ウチの試作品。」
生江はタッパーの中から個包装のクッキーをひとつ取り出し、紫咲にへと渡す。
生江の実家はケーキ屋なのだ。
その『試作品』といって、佐藤らにお菓子やらを配ることはそう珍しくない。
紫咲「…クッキーか」
生江「そう。別に放課後でも良かったんだけどな。一期は?居る?」
紫咲「…今呼ぶ」
紫咲は机に突っ伏している佐藤の側に立つと、先程のことを思い出し、一瞬イラッとするもそのまま声を掛けた。
紫咲「おい一期。ももやが実家の試作品だと言ってクッキーやるって言ってるぞ」
佐藤「…」
佐藤はひとつため息をつくと、椅子を立ち上がり生江の元へとあからさまに面倒くさそうに歩き出した。
生江「一期おつかれ〜。クッキーいるっしょ?」
佐藤「何個持ってきた?」
生江「(笑)どーぞ好きなだけもらっていいよ」
佐藤「おっ、マジ?サンキュー」
生江「あっでも、雅吉とマネージャーの分は残しておいてよ?」
佐藤「へーへー」
紫咲「…アイツ、本当にどうしようもないな」
紫咲いつもの呆れ顔で、遠目からぼそりとつぶやいた。