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牛鬼の屋敷を訪れたぬらりひょんは、そこで小さな影を見つけた。月明かりの下、きちんと座り、牛頭丸や馬頭丸に囲まれている少女。
「……なるほどのぉ。あやつが、山吹の娘か。」
瞳に宿るのは乙女を思わせるやわらかさ。しかし立ち居振る舞いは、どこかリハンに似た奔放さを漂わせていた。
牛鬼が恭しく頭を垂れる。
「レン様は我らが守ります。――誰にも、手出しはさせません。」
ぬらりひょんは笑みを浮かべた。
「ふむ……まことに大切にされておるな。じゃが――」
少女の視線は、ぬらりひょんではなく、遠くの空を見つめていた。
寂しげで、何かを探すような瞳。
「リクオ……お主には、意外な“姉”がおるようじゃの。」
ぬらりひょんは煙管を鳴らし、静かに目を細めた。