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俺たちはとにかく一度帰り、俺はレトルト食品で先に晩飯をすませ、大学から帰って来た母ちゃんと入れ違いに家を出た。とりあえず母ちゃんには上田悟と会いにいくという大まかな経緯だけは話しておいた。


「そういうわけだから、ワリい。もう飯は食ったから、とりあえずその場所行ってくるよ」


「そう。まあ、あんまり遅くならないようにね」


母ちゃんはそれだけ言って俺を送りだした。


近くの駅まで自転車で行き、電車に乗って五つ先の駅で降り、それから河原までは歩いて五分。河原と言っても、東京のそれだから、コンクリートで一面固めてある。そのコンクリートの地面に立って辺りを見回す。一年で一番日が長い時期とは言え、さすがにもう暗くなっていた。


人影もなく、遠くにホームレスの棲み家らしい青テントの小屋がいくつかある程度だ。そのホームレスの人たちも今はどこかにお出かけらしく姿はない。


橋の橋脚の陰に制服姿の男の子がいた。近づいてみるとやっぱり悟だった。コンクリートの地面の上に座り込んで、橋げたに背中をもたれかけて、下を向いて両手で頭を抱え込んでいる。やっぱり様子が普通じゃない。


「おい、悟。来たぞ」


俺が声をかけると悟は「ひゃあ」と女みたいな悲鳴を上げた。よっぽどおびえているんだな、こいつ。俺だと分かって安心したらしい。少し落ち着いた口調に戻って言う。


「ああ……雄二か……」


「隆平はどうした?」


「ダメだ!あいつ、何度電話しても出やがらねえ! 俺は隆平の住所も知らないんだ。駅がここだって事しか」


「え? あいつ引っ越してたのか?」


「ああ、あいつは中一の時に親が家買って、この辺に越したんだ。学校もこっちに転校した。多分あいつも、もう気付いてて……雄二……わああ! 俺たちはどうすればいいんだ?」



妹神(をなりがみ)

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