もし、…一つだけ…一つだけ夢が叶うならか…、
その時は俺は、…
君の幸せを願うであろう。
息を吐く、
自分には、尊敬していて、…なにより忠誠を…いや、友人として好きな友が居る。
…今、そいつは軍を支える柱…、総統となっている。
総統、グルッペン・フューラー…、
優しい僕のヒーロー…。
『………、』
こんな僕を、救ってくれて…
自分を受け入れてくれた人。
…でも、そんなぼくのヒーローを、僕は…、
裏切ろうとしている。
理由は、…ただの嫉妬…。
君たちが当然に出来ることは俺には何も出来ない。
そんなとこで、生涯を終わりたくない。
それなら、……こんなとこ、要らない。
要らないって思わないと…ッ…じゃなきゃ、
疲れちゃうから。
だから、ごめんね。グルちゃん…。
僕、此処を裏切るよ。
大丈夫、大事な情報は流さない。
君たちと別れられるそんな口実さえ、作れれば、それでええの。
…まぁ、案の定どちらの味方でも無いことがバレて、俺は今スパイを依頼されていた方の国に処刑されそうになっている。
これが狙いだったんや、だからそれでいい。
周りから流れる歓声を、僕はずっと聞いていた。
その中にある、ひとつの悲鳴を聞かないように
『鬱ッ!!!!!』
綺麗な髪は、綺麗な瞳は僕には勿体ないから…だから、許して…。
処刑人が、銃をこちらに向ける。
バァン、綺麗な音が響く。
もし、もしも…一つだけ願いが叶うならか…その時は…、君の幸せを願おう。
我儘な僕を…許してくれ。
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