「疲れたろ?準備に1ヶ月以上か?」
「そうだね…あっという間だったけど、今年はいろいろあって…」
「ステージで泣いてたのはそういうことか」
「バレてた?…なんか恥ずかしい」
家に帰ってきて、お風呂が沸くまでの間…と言って、マッサージをしてくれる嶽丸。
肩から腕までの凝りがほぐれてとても気持ちがいい…!
「…なんか私ばっかりごめん…」
「何が?」
「マッサージ…嶽丸も疲れてるでしょ?」
「うーん。俺の場合は疲れてるっていうか、溜まってる」
「…はぁ?」
「だからお礼にマッサージしてくれるなら、ソコを頼みたい!」
あ〜あ…やっぱり言うことが嶽丸だよ。
ちょっと呆れて無言でいれば、そんな私に気づいてるのかそうではないのか、嶽丸がのんびり口を開く。
「俺が美亜にマッサージするのは、いわゆる口実だな。…どこでもいいから触りたいからしてることだ」
…だから気にするな…って明るく笑うけど、どう反応したらいいか普通に迷うよ?
ついさっき、ステージを威風堂々と歩いていた嶽丸を思い出す。
あの時、怖いくらいカッコよかった人と、2人でここにいるなんて…ウソみたい。
軽〜く芸能人を見てる気すらして、そんな自分の色眼鏡が恐ろしい。
こんなにカッコいいくせに、平気でどエロ発言してくるのが嶽丸なんだから…しっかりしろ、自分。
…黙ってれば文句のつけようがないイケメンなのになぁ…
「明日、本当に行くの?」
ヘアショーが終わったら休みを取るという嶽丸との約束を守り、明日から3日間の有休を取っている私。
詳細は教えてくれないけど、嶽丸が旅行の計画を立ててくれているはず。
…なんだけど、細かい話はなにも聞いてないので確認してみた。
「もちろん行くぞ。明日、朝早く出発するから、今日はエッチできない」
「わ、わかってるよ!そんなこと、期待してないしっ!」
もぅっ!言うことがイチイチ嶽丸でムカつく!
プリっと怒ってみれば、ヘラリとした笑顔を浮かべたまま、嶽丸はマッサージしていた腕を急に引っ張ってきた。そして、その腕のなかに私を閉じ込める。
「2人っきりで…のんびりしような」
しようって…するってこと?
勘ぐってしまう私は、ここでもまた返事に困ってしまう。
でもきっと、嶽丸に仕掛けられたら拒否なんてできなくて、すごい高みにまで連れていかれるんだ…
なんて、アダルトに考えるのは、やっぱり私も嶽丸に相当かぶれているせいなのかもしれない。
ピロピロ…♪と、お風呂が沸いたと知らせるメロディ。
「ほいっ!風呂沸いたから入っておいで!」
嶽丸が私を閉じ込めた腕を開くから…なんとなく名残惜しい気持ちになってしまって。
ホント私も、しょうもない。
……………
翌朝は快晴!
梅雨明け後だけど、夏休み直前の平日のせいか、道路が混んでいなくて助かる。
「この感じだと、向こうもすいてそうだな」
「それで…これから私はどこに連れていかれるの?」
「んー…どこだと思う?」
まだ教えてくれないのか…と思いながら顔を見上げると、ちょうど信号で停まった嶽丸にキスをされた。
チュっと音がして…少し恥ずかしい。
「自然豊かなとこよ〜?…人が少なかったら、青かんもし放題!」
「青かんって…え、?!」
意味がわかって焦る…!
外で…ってことだ。
ったく…!昨日からイチイチ変なことばっかり言うのやめてほしい…。
顔を赤くして仏頂面をしてみれば、嶽丸がそんな私を見て笑う。
その後も、何でもスケベに話を変換させる嶽丸に、呆れたり怒ったりするのを通り越して笑ってしまう。
これはある意味才能で、これが嶽丸の話術なのかも…とさえ思った。
「お待ち~到着したよん」
嶽丸が車が乗り入れたのは、海が見える場所にあるグランピング施設。
「わぁ…なにこれ?」
足元は、カーペットみたいな一面の緑。
大きな木があちこちに立っている広大な草原のような場所だ。
キャンピングカーやコテージなどが立ち並ぶ宿泊施設が見えて、私たちが泊まるのはテントらしい。
「気持ちいいとこだね!」
車は泊まるテントのすぐそばに置けて、テントから繋がる日除けの下には、BBQが出来るようにテーブルと椅子がセットされている。
荷物を置きながら、興味深々でにテント内も見てみると、そこにはWベッドがひとつ…。
ちょっとあたりを見渡してみると、他のテントはシングルベッドが2つ、というところが多い。
ちゃんとダブルベッドを指定するところが、嶽丸だな…ってつくづく思った。
「受付の売店でBBQセットを頼めるみたいだぞ。美亜は何にする?」
そんなダブルベッドに座って案内を読む嶽丸。
「何にするって、BBQセットって1種類じゃないの?」
「いや、いろいろあるみたいだぞ?…見てみ?」
手招きされて近づいてみれば、急に手を引かれてあっという間に膝に座らせられてしまった…!
「ちょ…いきなり近いって…!しかも!BBQ1択じゃん!」
メニューを指差して文句を言ってみれば、ニヤリと笑う嶽丸の悪い笑顔がすぐそこ。
「他にもいろいろあるとか言うから…!」
文句を言ってみれば、いつもの余裕ある表情で笑われて、そんな嶽丸の笑顔には、私はめっぽう弱いと実感させられる…!
「肉の種類がいろいろあるだろ?鶏とか牛とかさ?海老とかサザエなんかもあるじゃーん!」
「…ん?」
あぁそういうことかともう一度メニューを見ると…嶽丸がぎゅうっと腕に力を込めて、耳に唇を寄せて言う。
「俺は全種類の肉を食う。あと美亜肉も追加で」
コショコショ耳がこそばゆくて…背中がゾク…っとする。
「…耳元で言うことじゃないでしょっ!離れろ…っ!」
ゾクゾクしながらも、くすぐったくて笑ってしまう。…そうなるとどこを触られてもくすぐったい!
きゃあきゃあと笑っていれば、もう一度耳元に唇をつけて、嶽丸の低い声がささやいた。
「美亜…愛してるよ」
…え。
さすがにそんな直球な言葉、言われたことがないし、なによそれ…今ふざけてたんじゃないの…?
思わず体をよじって嶽丸を見つめると、意外なほど真剣なまなざしに出会って焦った瞬間…
唇を塞がれた。
コメント
2件
嶽丸ぅ〜お泊まりデート楽しみだね〜💖 きょんお嬢!ネオでも待ってるよ〜😉あっ!キラティン♡モネチモ…
最近更新ペース早くなりましたね! テラーの方も早くエブに追い付け〜!!