テラーノベル
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それを聞いて色々と合点がいった。前世でラフェドが炭酸飲料水を頭から被って抱きついてきたことがあったのだ。あの時はラフェドがなんだか照れていたので、私が揶揄ったことに対しての反応だと思っていた。
(あれは……求愛行動だった? それともしかしてお風呂場にザラメを大量に入れて甘い香りを漂わせたまま私に抱きついたのも?)
前世の奇行的な行動にはちゃんと意味があったらしい。当時は悪ふざけと思っていたが、よく考えたらそのあとは甘々な展開になったのもあり理由を聞き忘れていた。というか、そんな意味があるなど全く考えてもいなかったというのが正しい。
「何を悩んでいるのか、とんと分からないが……ベルナールに頼るよりも俺が先だろう?」
ぷい、っとそっぽを向くので、嫉妬というか拗ねているのがわかった。俺様かつツンツンさは欠片もない。
(悩みの元凶は貴方なのだけれどね!)
「?」
声を大にして言いたかった。けれど呪いが発動している今、包み隠さず話したとしてそれが好転するかは正直未知数だ。
「よし、これで匂いの上書きは出来たな」
(またよく分からないことを……? 匂い?)
手を借りてアルベルト様に起こしてもらい、土いじりを諦めて屋敷に戻ることにした。とりあえずシャワーだけでも浴びてスッキリしたい。
アルベルト様は黙々と片付けを手伝ってくれた。たぶん私が話すのを待ってくれているのだろう。
「うーん。まだ自分の中でもうまく消化できていないのだけれど」
「それでもいい、聞く」
蜂蜜まみれだけれどその表情は真剣そのものだった。この状況でなければほれそうなほど私の顔をジッと見返す。なんだこの状況。
「自分の大事だった物をいつの間にか失っていて、それを取り戻せるかもしれない。でも取り戻した対価として厄介ごと……うーん、今大切なモノが失われるとしたらどうします?」
「そんなのなくした物を取り戻さないだろうの一択だろうが。今ある大切な物を失ってまで取り戻したいとか思わん。まあ、全部引っくるめて総取りするのなら別だが」
そうでした。そういう人でしたよ、貴方は。理想をさらっと口にして現実に近づけるように努力する。
なんだか毒気を抜かれた気分になった。
「それで何らかの契約か、あるいは呪いかを心配しているというところか?」
「え!?」
いきなりピンポイントで言い当ててきたので、声を上げてしまった。しかしアルベルト様は頬の蜂蜜を拭いながら、さも当然のように言葉を続けた。
「お前、本当に外の国の知識が乏しいんだな。大抵相手を縛り、ペナルティーや対価を必要とする場合、契約か呪いぐらいだ。祈りと同じくらい呪いは魔法が使えれば割と簡単にできる」
「え、そうなの!?」
そこまで身近な物だとは知らなかった。それなら解除する方法も割と簡単に見つかるのではないか。少しだけ希望が見えてきたと思った矢先、アルベルト様は私の額にキスを落とす。
「!?」
「今のが祝福だ」
「へ?」
あまりにもさらっと言うので、慌ててステータス画面を確認してみる。
アルベルトとの関係【恋人関係を構築、伴侶を目指して求愛行動中】とあった。【盟友】が完全に消え去っている。しかもやたら長い。
状態:魔王、夜月羊種族からの求愛、祝福の接吻
アルベルトの好感度測定不能
(測定不能ってなに!?)
「要は自分の魔力を相手に纏わせることを意味する。加護の場合は魔法や物理攻撃から身を守るもので、祝福は精神干渉などの耐性をあげるといえばわかるか」
「なるほど。……だとしたら私はやっぱりこの世界についてあまりにも無知なのでしょうね」
「(この世界?)……ああ。そうだな」
ふとアルベルト様の表情が揺らいだ気がしたが、何をすべきかはある程度見えてきた。前世と違って呪いの認識があり、加護や祝福の存在があるのなら、絶望するには時期尚早だったと思える。
「アルベルト様。呪いの解く方法についてのレクチャーと、そう言った情報が集まる場所をご存じですか?」
「そうだな。この国で最もそう言った情報媒体があるのは、王城の王立図書館か教会本部の図書館だ」
(教会本部!?)
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#長編
コメント
1件
第22話、読みました! 前世ラフェドの奇行が実は求愛行動だったって気づく場面、すごく良かったです。あの時はただの照れ隠しだと思ってたけど、ちゃんと意味があったんですね。 そしてアルベルト様の祝福のキス!「測定不能」って表示に私も「えっ!?」ってなりました(笑)。なのにあのツンデレ拗ね顔…「俺が先だろうが」の台詞、最高です。呪いの仕組みや祝福の設定もしっかり説明されてて、この世界の魔術体系にますます惹かれます。