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「ね、ねぇ?」
「ん?」
「本当に逃げてきてるけどアレブチ切れてない?」
「まぁ、十中八九ブチギレてるだろうなぁ」
ベルノとミーシャは守護者カールマと対峙し勝てないことを察したため隙を見て現在全力で撤退しているところである。
「私ら確実に目の敵にされてるじゃん!?」
「だからこうしてマップの中心に来てるんだろぉ?私もこれ以上悪目立ちしたくないし早く目的のプリンに会いたいんだから。」
「それ言ったら私だってルーマちゃんに会いたいんだけど?」
「まぁ、今はカールマから逃げることに専念しようか。」
「逃げる事に賛成した私も私だけどやっぱりクソ魔法使いだよね。」
「今このイベント戦を見てる人もいるだろ?やはり魅せるプレイだけじゃなくてこういうトンチキやってるやつも欲しくなるんだよ。ま、ここまで悪目立ちするとは思わなかったけどなぁ……。 」
「とりあえずこれどこまで逃げるつもりなの?」
「さっきも言ったがマップの中心付近、そうだなぁ【森林エリア】なんかに行けば身を隠せるからそこでだま〜って過ごそうか。」
「お尋ね者みたいな経験したくなかったなぁ私……。」
「貴重な体験できるって前向きに考えていこうぜ!」
「私よりも馬鹿でしょこのクソ魔法使い!」
「もっかいカールマの前に差し出すか。」
「最低の脅し文句やめて!?」
同時刻プリンとゴザルも森林を目指して徒歩で移動をしていた。こちらは徒歩移動の為一定数喧嘩をふっかけるプレイヤーが出てくるがみなほぼ瞬殺されていき二人のポイントだけが徐々に上がっていっていた。
「これもう私目立ち過ぎてて隠居生活みたいなの出来なくないですか?」
「まぁ、ポイント狙いで襲ってくる奴らは増えてくだろうけど、【森林エリア】に入れればこっちのもんだよ。」
「単純に視認しにくくなるからって訳か」
「それもあるけど多分最終戦時には各エリアで特殊効果が発動すると思うんだよね。そのひとつに『探知魔法妨害』っていうイベントが発生すると予想してるんだよ俺は。」
「それってなに?」
「簡単に言えば他人を察知するレーダーが使えなくなって情報による有利が取れなくなるって言う効果だね。」
「他のゲームで言うところのマップが意味もなさないみたいなもん?」
「そうだね。簡単に情報というアドを取るという行動、これを断つことが出来るそういうイベントが出てくると思うんだ。それを見越して俺達は歩いて森林エリアを目指してるんだよね。」
「その過程でこう襲われるのは仕方ないってことですか…。」
「必要経費と割り切るしかないかな。もちろんまだやられても復活できるけどやっぱりやられると面白くは無いからあんまりやられたくないのが本音だよね。」
「そーいえばゴザルさんがなんでイベントに参加してるのか聞いてなかったんですけど、なんで参加してるんです?やっぱり私みたいに賞金とかですか?」
「んー。俺はいわゆる興味本位かな?自分以外のプレイヤーがどんなレベルなのかを知りたくて参加してる。賞品とかその辺にはそんなに執着はないかな。」
「へー。やっぱりそういう人もいますよねぇ。私みたいな俗物もいれば単純にゲーム楽しむ方もいますわな。」
「むしろ君はMMOを一番楽しんでると思うよ俺はね。強くなるにはお金が付きまとうからそのお金稼ぎでこういうイベントに参加するのも、初心者だからこそなのかこうして初対面の人と会話をして運営が見たかったVRMMOめいっぱい楽しんでるのは君だ。」
「そ、そうですかねぇ?」
「ちなみにイベントが終わったあとの目的は決めてるの?」
「そうですね〜、とりあえず友人がいるのでその子と次の街に行くための準備とかになりますかね。」
「そうなると必然的にこのゲームのストーリー部分に触れる形になるからそれも楽しむといい。」
「ゴザルさんはストーリーある程度進めてるんですか?」
「むしろ俺はストーリーしかやってないまであるね。このゲームの世界観がとても好きでね。色々語りたいが、そうだな……。次の街に行くためのイベントの終盤が面白いからぜひ楽しみにしておくといいよ。」
「わっかりました〜!」
「それじゃあまた歩いていこうか。」
他愛ない話をしながら歩んでいると進む先で大きな炎の渦が空に登るのを確認し、二人は顔を見合せ少し慎重に進むことにした。
「今の炎の渦は…」
「たぶん…ていうか十中八九グレンさんでしょうねぇ……。」
「【炎帝 グレン】それが彼女の二つ名らしい。自身の身長に合わない大剣を片手剣の如く軽々と操り、その刀身に紅の炎を纏わせ相手を焼き殺す。情け無用の戦闘スタイルとその姿に憧れた様々な人物が彼女に弟子入りを懇願しギルド員としてならと手打ちをして出来上がったのが【焔のグリフォン】というギルドだな。 」
「そんなとんでもない人と私やり合ってたの?こっわ………。」
「やり合えてるアンタも大概だけどな。」
「一応今は停戦協定を結んでるので私には襲ってこないでしょうけどゴザルさんは狙われるかもしれないですね…。」
「もしかしなくても彼女戦闘大好き娘?」
「まぁ、そうとも言うかもしれないです。」
「よし。俺も真正面からの戦闘は好きじゃないしなんなら面倒事はゴメンだから遠回りをして森に入るぞ。」
「りょーかいです…。」