コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
じおるside
僕は今書庫の整理を行っています
本好きな僕は光栄なことに、書庫の管理という仕事を
はるさん直々に頂いているので、この書庫はいわば僕の城
僕より詳しい人はこの城内には居ないのではないかというほどに熟知しています
今日はそんな書庫でいまだ手を付けられていなかった歴史の棚
つい最近まで触ることが許されていなかった。
まぁこの国は数年前に建国されたばかりなので、はるさんのことですし、なにか恥ずかしいものでも隠してたんでしょうね
だからこの国の歴史は少し前にはるさんが整理したいたところは見ていたけれど
実際に触れたことは一度もないんです。
そう思いながら、少し背の高い台に登り、本の背表紙を撫でる
本を並べ直そうと一冊の本を取り出した所
はらりと本と本の隙間から一枚の紙が落ちた
じお「…これは…写真?」
そこに写っているのははるてぃーさんとうたくんを中心に緑、紫、橙、水、灰、桃
いろんな色の方々
少し古ぼけてはいるが、写真の人たちは全員楽しそうで
皆屈託のない笑みを浮かべていた
その中心でひときわ笑顔な二人
今と格好は違いますが、はるさんとうたくんでしょうか
なんだか微笑ましい写真
じお「なんでこんなところに…?」
小さく呟くと、コンコンと扉が優しくノックされた
聞こえるように少し声量を上げてどうぞと答える
すると控えめに扉が開き、きれいな白髪の頭が顔を覗かせる
あす「じおる、これはるさんから、あと国境付近の調査行けってさ」
そう言いながら手渡された書類
じお「承知しました。どこですかね」
あす「えっと…確か道って言ってたから…」
じお「正門から西の方角ですね。」
そうそこ!と言いながら
あす「じゃあ早く終わらしちゃうかぁ〜」
扉を開けてくれる
写真をポケットに仕舞って
重厚な扉をくぐった
あすたside
今日ははるさんの指示でじおると一緒に国境からちょっと離れた誰のものでもない場所
簡単に言えば「道」の視察に来ていた
あす「ん〜至って普通の森な気がするけどなぁ…」
じお「そうですね…あ、この木、高いところに爪痕がありますよ」
あす「ホントだ、高いってことは大きな動物が住んでるってことかな?」
じおるが危ないなぁとぼやきながら手元の報告用の書類にサラサラと書きつけていく
こういうときに率先してこんな仕事をしてくれるじおるはやっぱり真面目だ
あす「あ、あれなんか木に模様が入ってない?」
じお「ホントですね…盗賊か何かでしょうか、一応模写しておきましょう」
そう言って真剣な顔で模写を始めるじおる
数分もすれば全く同じといっていいほどの模様が紙の上に現れた
あす「器用だねぇ…」
感心したように呟くと、
じお「そうですかね…?」
少し照れくさそうに頬をかくじおる
すると、ふと背に影がさした
じお「あ、あすたくん…」
真っ青な顔で僕の後ろを指すじおる
恐ろしい風圧の生暖かい風が首筋を撫でる
ギギギと油の刺されていないブリキの様にぎこちなく首を動かすと
すぐ後ろにとてつもなく大きな熊
頭の小さくまるい耳はぱっくり割れて、大きな拳の後が額についており、どこからか猛者感を感じる
あす「に…」
「にげろおぉぉぉぉぉぉおおぉぉ!!!!」
次回「水と紫」