必死に森の間を縫って逃げる
武器があればまだしも完全丸腰な今の僕らにこの熊に勝つすべはない
右に行ったり左に行ったり撒こうとして木に登ったり
それでも熊は俺達を追い続ける
じおるも俺もバテてきていい加減限界だ
あす「誰か…助けてッ…」
誰に言うでもなくそう呟いた瞬間
眼の前から高い風切り音がして、頬のすぐ横を何かが通る感覚
狙撃かと思って勢いよく振り返ると、熊が悶え苦しむ姿
右腕に矢が刺さっており、狙撃したのが分かる
腕をかばいながらそそくさと逃げていく熊
??「こむさんッ!」
??「任しときぃ〜!」
離れた位置から聞こえる掛け声とそれに答える声
すると、大柄な男が矢と同じ方向から飛んできた
??「も〜許さんでお前、何回人様襲えば気ぃ済むねんッッ!」
そう言って蝶のタトゥーが入った腕をあげ、熊の頭を殴りつける
熊の頭についていた拳の後と、今入った拳がシンデレラフィットする
この会話からも察するに何回も対峙している相手なのだろう
脱兎のごとく逃げ出した熊を深追いせずに、すぐにこちらを向いて手を差し伸べてくれた
??「大丈夫か?すまんのぉあいつ懲りんやっちゃで‥」
ボブくらいの長さのサラリとした水色の髪の男の人、
服は黒いタンクトップに柄物のシャツという森にいるとは思えないほどの軽装で
沢山のタトゥーが目立つ人だった
あす「あ、ありがとうございます…」
??「俺は…義盟、好きなように呼んでな〜」
じお「義盟さん…危ない所ありがとう御会いました…」
ぎめ「平気平気〜義盟さんに任しときぃ〜あ、優真くん!こっちこっち!」
そう言って義盟さんが虚空に手を降ったと思ったら、
ガサガサガサッ
と音を立てて上から顔のついたニット帽の人が降りてきた
??「こむさん、やっと追いついた…」
そう言った後、こちらを向いて
ふわりと笑い小さく会釈をした
??「はじめまして、僕は優真、こむさんと放浪の旅をしています」
優真と名乗った男は艷やかな紫髪を揺らした
ふたりとも美形と言えるほどに顔が整っており
人見知りをしてしまう俺らには辛いものがある
自己紹介をしようにもなんて言えばいいかわからなくてどもってしまう
ゆう「貴方達は…?」
優しい声で優真さんが僕達のせいでできた沈黙を破ってくれた
じお「め、メメリ国幹部のじおる…です」
あす「同じく幹部のあすたです…よろしく…お願いします?」
おどおどと返事をしても優しい顔でこちらを見てきてくれている
正直言って関わりやすいタイプの人種で助かった
ゆう「メメリ国…ですか…」
一瞬憂い気な顔をした気がしたが、なにか思うところがあるのだろうか
聞きたくてもなんだか濁されそうで聞けない
ぎめ「あ〜…まぁ、俺らん家近いし、このあたりは魔物も結構出るし、一旦家来おへん?」
じお「いやいや、申し訳ないですよ!」
ぎめ「ええねんええねん。あんまし人来おへんからせっかくやし仲良くなりたいねん。メメリ国のことも教えてほしいしな」
あす「でも優真さんは…」
ゆう「こむさんもこういってますし、僕も平気ですよ。同居人も賑やかなのが好きなので大丈夫でしょう」
そう言っていると、不意にピッと機械音がした
僕らの携帯だろうかと慌ててポケットに手をやると
優真さんにやんわり静止されて
ゆう「すみません。噂をすればその同居人です。聞いてみますね」
と、自らの紫色のカバーをした携帯を見せてくれた
すみません。と小さく会釈しながら携帯を操作し、
携帯についた一本の剣を模したチャームを揺らてそそくさと離れていく
小さいけれど話し声が聞こえてきたけど
特に危なそうなことは言っていなかったし、まぁいっか
次回「山の中」
コメント
5件
ここでこむゆーが出てくるんだ....発想がすごい(?) なんか写真との伏線あるんじゃね?って勝手に思ってる♡1000押させていただきます!
神ってる … 🫠 え進め方天才では ? 🥹 次も楽しみにしてます 💓💞