第九話:屋上
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屋上で見たのは、
靴を脱いだ君。
少し癖がついた、
桃色の髪をなびかせながら
フェンスの奥に立っている。
君は、自殺をする気なんだろうね。
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俺は止めるべきか分からずに
立ち尽くす。
その間に君の体が傾く。
目を閉じた瞬間、
俺の目の中からいなくなった。
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俺は気づいたら、
君の後を追っていた。
手を伸ばす先には驚いた顔をした君。
やっと空中で追いついた。
もう少しで地面というところで
君が下、俺が上という立場を逆転し
君が上、俺が下になった。
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君は何かをずっと叫んでいるけれど
風の音で何も聞こえない。
この状況に後悔はなかったし
恐怖もなかった。
ただあるとするなら
君への心配だった。
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なんて考えていたら
もう地面に頭が着いた。
君は無事だろうか。
俺の頭からは大量の血が流れている。
鉄の匂いがして
とてつもなく、不快な感覚だ。
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薄れゆく意識の中、
君の顔が見えた。
君は、泣いていたね。
俺に助けられたの、
嫌だったかなぁ…。
そうだとしたら、ごめんね
桃くん。
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コメント
1件
誰が桃くんと一緒に落ちたか気になる、、