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次の瞬間、何者かに背中をつかまれ、俊哉は宙に飛んだ
俊哉の体は突き飛ばされ、勢いよく生垣にぶつかった
柚彦に渾身のキックを受けた俊哉は、体から力が抜けて立ち上がれないほどだった
俊哉は経験したことのない屈辱感に襲われた、今までは常に勝者だったのに
俊哉の前にゆらりと立っている柚彦を睨んだ、手は相変わらず前に拘束されてはいるが、タダならぬ殺気を醸し出している
俊哉は初めて自分の身の危険を感じた、すると地面にナイフが転がっているのを見つけた
形勢逆転打だ、俊哉は素早くそのナイフを手に取り、柚彦に向けた
「こいよ・・・」
柚彦は向けられているナイフなど目に入っていないかのように、俊哉の前に立って言った
「お前だけは絶対に許さない!・・・さぁ!刺せよ!」
俊哉は大声でわめきながらナイフを突き出して柚彦に突進した
だが柚彦の目には異様にゆっくりしたスローモーションで動いているように見えた、戦闘時は常に自然にそうなる
回し蹴りで俊哉のナイフを飛ばし、柚彦は待ち構えていたとばかりに渾身の力をこめて、繰り出した両手の裏拳が、俊哉の頬骨をぐしゃりと砕いた
手応えは十分だった、これほど人を憎いと思ったのは生まれて初めてだった
俊哉は大きく仰向けにのけぞって、どうっと地面に倒れた、鼻と口から血が溢れ、咳込んでむせている
両目はうつろに天を見つめ、失神した体はピクピク動いている
「警察を呼んだぞ!」
「これはいったい何事ですか? 」
「キャァ!!」
「人が倒れているぞ!」
「よぉ!ユズ!」
柚彦は周りを見渡した
次から次へと騒ぎを聞きつけた施設の人が溢れかえってきた、次に信也、レオ、健司が息を切らしながら現れた
「なんで兄さん達が?しかも総出で?」
「ブラックから聞きつけて来たんだが遅かったな」
「無事か? 」
「うん 」
柚彦はあたりを見回した、俊哉以外に白目をむいて倒れている手下が二人、それぞれ違った苦痛と後悔を抱えて地面に伸びていた