木製のベッドへ横になった。
……痛い。背中がギシギシする。帝国の城ではフカフカのベッドで寝ていたから、これはキツイな。明日、ワラとか……せめて草ぐらい敷いた方がいいな。こんなの身体中が痛くなって大変だ。
「スコル、今日は寝辛いかもしれんが我慢してくれ」
「は、はい……これ、固いですね」
「そうだな。この時だけは城がちょっと恋しいよ」
「お城ではラスティさんは、どういう生活をしていたんですか?」
急にスコルはそんな質問を寄越す。スルーしても良かったが、俺はなんだか無性に話したい気分だった。
「ぐうたらな毎日だったな。寝て食べて……寝て食べて……」
「だらしないですね」
「第三皇子だからな。やる事もないし。まあ、お見合いくらいはあったけど拒否ってたし」
「どうしてですか? 結婚とかしちゃえば良かったのに」
「誰かと運命を共にするって興味ないんだよね。でも、今はちょっと違うかな。置かれている立場が変わって価値観さえ変化した。今は誰かといる方が楽しいな」
そう自然に本音を語っていると、俺は気づいてしまった。俺、スコルに何言ってんだよぉー!! 恥ずかしいヤツやん!!
「良かった。わたし、ラスティさんに興味を持たれていたんですね」
「ま……まあな。この無人島唯一の仲間だし……これから長くなるかもしれないし、大切にするよ」
「えへへ、嬉しいな」
そうだ、この子は大切にしなきゃ。
俺はいずれこの無人島を開発しまくって最終的には『国』にしてやるんだ。その時、スコルが隣にいてくれていたら、また別の達成感があるんだろうな。
彼女を失望させない為にも俺は必死になって、足掻いてやるさ。
◆
ゴキッと背中が鳴った。
骨が軋んでいる。
筋肉痛さえ起こし、俺はガチガチ人間になっていた。そうだ、昨日は使っていなかった筋肉さえ使い、初めてまともに労働に励んだ日。そりゃ、運動不足の俺はこうなる。……くそう、そこら中が痛いぞ。
「おはようございます、ラスティさん。って、なんかバケモノみたいな絵面にー!!」
「すまねぇ……。体のあっちこっちが痛くてな」
「お疲れなんですね。分かりました、お任せください」
両手を俺に向け、スコルは何かを唱えた。すると、俺は緑色のオーラに包まれた。一気に擦り傷とか疲労が回復した。
「こ、これって……魔法?」
「ええ、回復魔法の『ヒール』ですよ」
そうか、スコルはエルフだから魔法が使えるんだ! 体が一瞬で軽くなって痛みも消えた。こりゃ良い!!
爽やかで最高の気分だ。
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