テラーノベル
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自分には、幼少期から仲の良い女の子がいた。
誕生日は同じ、名前も響きが似ていて、自分より幾分か小柄な女の子。
家がご近所同士だったこともあって、家族ぐるみの付き合いだった。
学校行事だけでなく、町中で開催されるイベントごとにも必ず彼女と出かけた。
だから、アルバムの中には彼女との写真ばかりが並んだし、着ているものも選ぶお土産も、大抵同じだった。
お互いに、お互いの選ぶものを見ないようにして選んだとて、袋を開けるときは全く同じものを手に持っていることが当たり前だった。
だからなのか、彼女の口癖は
『またかぶっちゃった!』
これである。
照れくさそうに笑う彼女と、また今日もやる意味のないお土産交換をして、楽しいだけの時間を過ごした。
お土産交換は彼女が提案したものだったから、自分も悪い気はしなかった。
・・・・・
成長してくると、思春期ゆえの反骨精神だろうか____彼女とともにいることが、内心気恥ずかしくなった。
彼女に出くわすと、何かと理由をつけて離れることが多くなった。
それでも誕生日の日はプレゼントをこっそり贈っていたし、家族に叱られない程度には関わりをもっていた。
結果、高校は別々となり、寮生活の彼女とはしばらくお別れになってしまった。
・・・・・
大学受験を控えたある冬の日、塾の帰り道での出来事だった。
彼女のことなどすっかり頭の片隅に追いやられていた自分は、その焦りから、暗闇の中を自転車で走り抜けていた。
長い下り坂を駆け下りていく。
その時。
ライトの向こうに見えたのは。
『人っ…!?』
道路をのんびりと歩く、非常識な老婆で。
渡り切ろうとしていた老婆と、自分の自転車は真正面から衝突した。
・・・・・
逃げてしまった。
ライトを急いで消して、暗闇の中、ひしゃげた自転車を脇に抱えて、逃げた。
足をひねってしまったらしく、ジンジンと痛む。
冬の気配が浸透しつつある時期だというのに目元が熱く、嫌な汗が止まらなかった。
・・・・・
それからの自分は、人の声がまともに耳に入らなくなった。
細かく言えば、聞こえているのに言葉として響かない。
聞き返すことが多くなった。
高校に警察が来たときや、呼び出されたとき。
全身が落ち着かなかったし、体の芯が冷えて、痺れる感覚が止まらなかった。
受験に落ちてもいい、だからバレないでほしい、と。
そんな身勝手な気持ちばかりを募らせた数週間後。
試験当日、鉛筆を動かした記憶はなかった。
・・・・・
試験が行われてから数日後。
事は、突然に動き始めた。
例の出来事以降、とにかく人目のつかないところに留まるようになった自分は、ふと、スマホのネットニュースに流れてきたそれに、目を見開いた。
『犯人が逮捕って……』
あの老婆を轢いた犯人が逮捕された、と。
これが現実か確かめたくて、隅々まで記事を見通した。
そして、改めてこのニュースが自分の知る例の出来事だと分かった。
『代わりに逮捕された人がいたってことか…』
犯行は、自分と同い年の18歳、女子高生のものだという。
本人は、好きな人が嫌いな相手を殺めただけだと供述しているそうだが、老婆の家族曰く、その女子高生と老婆に面識はないらしい。
『人のこと言えないけど…自分以外にもヤバイ奴っているんだなぁ…』
他人事のように呟いてみる。
一抹の不安は残れども、ひとまずはバレる心配などなさそうだと思ったのだった。
・・・・・
『…18歳、ねぇ…』
『あいつ、今高校でどうしてっかなぁ……』
おそろいだね
コメント
1件
読了しました。幼い頃から“同じ”を共有してきた幼なじみとの空気感が、とても淡くて優しくて、すごく好きな導入でした。だからこそ、事故を起こして逃げた後の主人公の閉じた孤独や罪悪感が、じわじわと胸に響きます。最後の逮捕ニュースでほっとしたような、でも16年間ずっと一緒だった彼女の話題にすり替わる一文に、まだ終わらない予感があって、続きが気になります……!
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86
召死 メアリ
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みな🐇🥀🌒
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