可不視点
ミク「…実はこのセカイ、一歌の想いだけじゃないんだよ」
みんな「えっ!?」
私もびっくりした。その話は聞いたことがないし記憶もない。
ミク「可不ちゃんは一歌の想いだけで作られてるからね〜…記憶がないんだよ」
まふゆ「じゃあ、ミクは星乃さんの想いと他の人の想いが重なり合ってできたっていうこと?」
まふゆちゃんが分かりやすく説明してくれた。
ミク「うん。そうだよ。その人はもう、いないけどね」
愛莉「ミク…」
ミクちゃんは寂しそうに笑った。
可不「ん〜…確かにそうだけど、ミクちゃんはその人と一緒にいる時って楽しくなかったの?」
ミク「楽しいに決まってる」
ミクちゃんが食い気味で返事をした。
ミク「あのね、マスターは虐待といじめが凄く辛かったんだよ。でもね、私のためにいっつも曲を作ってくれたの。凄く綺麗で、繊細で…触ったら消えちゃいそうで怖いの。なのに笑顔で…いい人だったんだよ」
彰人「大切な人なんだな」
ミクちゃんと彰人くんが優しい笑顔で話す。
ミク「うん!すっごく…すっごくいい人なんだ!本当に、いい人なんだよ…最期まで、私のために曲を…歌って、ほしいって…ッ」
可不「ミクちゃん…」
ミクちゃんの目には涙が滲んでいた。
ミク「…歌えないのにね」
穂波「えっと…歌えなくてもいいんじゃないの?」
ミク「駄目」
ハイライトの失った目で訴えかける。
可不「ねぇ、話それてない…?」
ミク「あ、そうだね」
ハイライトが失ったままミクちゃんが喋る。
ミク「…まぁ、一歌のことを追いかけたら良いよ。そろそろ壊れる頃だからね」
みんな「こわ…ッ!?」
みんなが驚いて立ち上がる。
ミク「一歌はあっちにいるよ」
可不「私達だけじゃ救えなかった。…お願いね。みんな」
みんなは真剣な眼差しで「任せて」と言い、走って行った。
ミク「………ねぇ、可不ちゃん。私達は、元々壊れている存在だった。そんな存在が急に救われたらどうなると思う?」
可不「…セカイのバランスが崩れて壊れる」
嫌な現実だけど受け止めなきゃいけない現実でもある。
ミク「そう。救われちゃ駄目なんだよ。私達は」
可不「そんなこと…ッ!」
ミク「あるの。救われたら、駄目なの。これはもう…決まってるの…ッ歌いたいのに歌えない。それは、私のせいだから…ポロポロ」
ハイライトがない青緑の目から雫がこぼれ落ちる。
可不「ミクちゃんのせいじゃないよ…?歌えないのも、寄り添えるのも、全部ミクちゃんでしょ?大丈夫だよ。歌えるから。手助けする側が想いを殺したら駄目だよ」
ミク「じゃあどうすればいいの!?運命は変えれないんだよ!?」
ミクちゃんが悲しみのこもった声を荒げる。
可不「だからみんなが_」
ミク「…救われたく、ないの」
ミクちゃんはそう吐き捨て、独りで歩いた。
可不「…一歌ちゃんのところに行かないと」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!