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コメント
2件
やっぱり最後を締めるのは舘さまですよね👍
最後の最後まで抜かりないですね✨✨
ドライヤーの音だけで、数時間前とは様変わりする室内。物の配置は何一つ違わないのに、動く人影も同じなのに、蜜が絡まり溶け合うような気配はとうに消えた。不思議だ、どちらも二人には心地良い。
「…よし、終わり。次は俺、頼める?」
「ありがとう、すっごく気持ち良かった。うん、任せて」
髪を撫でる暖かい風と指先に酔い、瞑っていた双眸を阿部は開け、振り返り際感謝と微笑みを背後へ贈る。
ソファへ膝立って受け取ったドライヤーを濡れ羽色へ当てる道すがら、阿部は気に掛かっていた事を問いてみた。
「…ね、俺の服とか……後、色々…全部片してくれたの?」
「ん…ん?ああ、ふふ…そう、服は洗って乾燥中。阿部ちゃんのナカもちゃーんと綺麗に洗ったから安心して。でしょ?一番気になってるの」
「っ…~ばっ、ばか!…そういうのは濁して下さい。これ以上恥ずかしくなったらどうにかなっちゃう。……ごめんね、たくさん迷惑かけて」
「だってハッキリ言った方が伝わるじゃん、特に阿部ちゃんには。どうにかなって欲しいしね。あー…迷惑なんてちっとも思ってないよ。だから、ごめんよりありがとうって言って。」
「…絶対どうにかなってやらない!…うん…ふふふ、うん。ありがとう、めめ」
「ははっ、こちらこそありがとう。もう乾いたんじゃない」
戻った静寂に優しさが生まれる。満ちて行く。関係の名が変わっても、大切に思う気持ちは同じ。より増すだけで変わりない。仲間だろうと、恋人だろうと。
噛み締め合いながら、二人寄り添って眠る場所へ向かって行った。
数日経って、メンバー全員揃っての撮影日。目黒は端正にやや緊張を滲ませて待機している。 あの日から顔を合わせるのは、初めて。何度か文章で訊こうと試したが、性分故か上手く行かなかった。やはり直接話をしよう、決意を宿らせた目を楽屋端へ流す。
「でさ~、そこでの嫁がまた可愛くって!何度惚れさせるんだー!って絶叫したもん!」
「へぇ。良かったら見せてよ、その可愛い場面。それと、絶叫は控えなね?ご近所さんが可哀想だから」
「うんっ、秘蔵円盤全貸しするね!えぇ~…って、んにゃ?……何か用、蓮」
「…めめ?顔強ばってるけど、どうし……」
黙って立ち竦む目黒の視界に入るのは、佐久間のみ。当人はいち早く意図に気付き、不敵な笑みを浮かべて迎え撃つ。完全に外野に置かれた阿部は、戸惑ったまま二人を交互に窺うしかない状況。
そんな阿部をチラ見し、佐久間の胸中は呆れ半分、感心半分が占める。
『…なぁんで今にしようと思ったかな。多分頭にそれしかないのか、…蓮らしいっちゃらしいけど』
周りへ目線を巡らせる。予想通り二・三個かち合う。最後に止まった深澤へ小さく頷いて見せ、佐久間は目黒を見上げた。唇はちゃんと弧を描かせて。
「…佐久間くん、この前のアレ…で」
「はい、ストーップ!…あのさぁ、此処、楽屋。みんな居るんだよ。阿部ちゃんを独り占めしたい気持ちは分かるけど、俺もみーんなも阿部ちゃん大好きだからさ。…ね?俺の言ってる事、分かるよな?蓮なら」
「────…っ!」
「なっ…なに、言ってんの佐久間!?めめはそんな事一言も…」
「阿部ちゃんもストップ、ステイ。蓮、周り見てみなって」
鼻白んだ顔の目黒が背後を煽り見た時、見守っている微笑み達と出会った。若干二名ぽけーっとして居たが。全身の力が抜けた目黒は漸く、本当に漸く阿部を見付け、ぎゅっと抱き締めた。
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ルカ🐬💤
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「はー……そういう事っすか。たく、もう…うん、俺阿部ちゃんが大好き」
「にゃっはは~、俺っちも阿部ちゃん好き!もちろん蓮もな!ん~可愛いねぇ、どっちも」
「え?話に着いて行けないの俺だけ?ちゃんと説明してよ…~わっ!佐久間、頭掻き混ぜないで!」
「……髪ぐしゃぐしゃになるから止めて、佐久間くん」
笑い声をあげながら二人の髪を撫でる佐久間の手付きは、明らかに阿部の方が優しいし甘いし、長ったらしい。目敏い深澤がパンパン手を打ち割って入った。
「はいはいはーい、そろそろ休憩終わるから切り替えてこー。阿部ちゃんとめめは髪直して、なる早で」
納得行かない面持ちの阿部と目黒が仲良く鏡へ駆ける様子を、凛と立った姿と足を組んで椅子に座る姿が見詰める。表情は共に穏やかだ。
「上手く誤魔化して丸く収めたね。佐久間のヤキモチも暫くは平気そうかな」
「…何だ、お前も知ってたの。なら手伝ってやれよ、ふっか一人じゃ大変じゃん」
「まぁね。目黒は素直だし、阿部は付き合いが長いから何となく分かる。そういう翔太が手伝ってあげれば?俺は静観が性に合ってるから遠慮しておく」
「さらっとマウント取るなって。…うわっ、やだ。俺も一緒に遠慮する」
「はははは」
完