キヨくんの口から出た
「好き」という告白に、俺は息を呑んだ。
心臓がうるさいくらいドクドクと鳴り響いて、目の前のテーブルが揺れて見えた。
「え、…今、なんて?」
咄嗟に出たのは、確認するような間の抜けた言葉だった。俺の頭は処理能力を超えた情報を前に、フリーズしている。
視線を下げていたキヨくんはゆっくりと顔を上げ、俺の目をまっすぐに見つめる。
その瞳には、さっきまでの落ち着かない様子ではなく、強い決意と、ほんの少しの不安が混じっていた。
「だから…俺、レトさんが好きなんだよ」
繰り返された言葉は、確実に俺の胸に突き刺さった。それは、あの日されたキスよりも、ずっと破壊力のあるものだった。
俺は一瞬言葉を失った。頭での理解が追いつかない。
「…キヨくん、本気?」
俺の心中は
嬉しい…嬉しい嬉しい嬉しい…
それと同時に不安や動揺も混じる。
「うん。本気だよ」
キヨくんは力強く頷いた。
「別に返事は急がないから」
そうマイペースに言い放って、床に寝転ぶ。
「ほんとに…?」
「ここまで来て嘘なんてつかねーよ」
言いたいことは全て言い尽くしたのか、安堵の表情を浮かべていた。目を閉じて、返事は気長に待つさ、と得意げな声で話しかけてくる。
「夢じゃない?」
「なぁ…俺を疑いすぎだろ」
俺はキヨくんの言葉を何度も確認した。
自分の頬をつねってみたりした。
これは夢なんかじゃない、本当に、キヨくんは俺のことが「好き」なんだ…
心臓のバクバクが止まらない。
ずっと前に自覚してから抑え込んでいたこの気持ちを伝えたい。
俺は寝転ぶキヨくんの顔を上から覗き込み、震える声で言った。
「返事は待つって言ってたけど…俺の答え、もう決まってるから」
「え?」
「俺も…
俺もキヨくんのことが好き…」
その言葉を聞き、目をカッと開いて俺を凝視する。そして勢いよく起き上がって俺の両肩を鷲掴みにした。
「マジで言ってる!?」
「大マジだよ」
さっきは俺が驚いた顔を見せていたが、今度は俺がキヨくんの驚いた顔を拝めている。
ちょっとだけ優越感。
俺はニッと笑ってその頬をつねる。
「ほらな、夢じゃないだろ?」
To Be Continued…
コメント
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「もしも取り戻せたら。」ってタイトルでしたっけ、、ウォッカさんの全ての作品大好きすぎるんですけど、記憶喪失になってしまう小説で大号泣したことあって特にお気に入りです💞何度読んでも泣けてきてしまう😭 また書いてくれて嬉しいです。本当に 何年でも気長に待つので、これからもよろしくお願いします!取り敢えずまた再開してくださって安心しました👀✨️今年終わる前に楽しみできて良かった〜