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それから20年後…



大阪 ミナミ


某クラブ




「ご指名ありがとうございます! 真美…で……す……。」




「お!毎度!萬田金融ですぅー!

わざわざこっちから店まで出向いて指名したったでぇ!事務所になかなか顔出さんからほんま心配したわぁ…ほなまぁ!楽しい夜にしてもらおかー!」


「ちょ…ちょっとなんぼなんでもお店まで来るのはやめてくださいよぅ…」


「わざわざ店にまで来させとんのはそっちやろがい。利息の支払いの期限!とっっっくに過ぎとんのやぞ?」


「声が大きいですって!皆に聞かれてしまいますやろ…」


「利息分も支払わんと!誰かに聞かれて恥ずかしい事しとるのはお前の方やろ!わざわざ店まで出向いて指名までしたってんねやから、サービスしてやぁ」


「い、今ほんまに手元にお金が残ってないんです…父親が突然倒れてしもうて…急な入院費が必要になって…だから…もうちょっとだけ待ってもらえませ…」


「高岡はん!そないなでまかせ、ワシには通用しまへんでぇ」


「ま、萬田さん…」


「兄貴!この女!利息分支払われへんとかふざけたことぬかしとるんですわ!」


「どうせあんたの事や… そのへんの男かホストにでも貢いで散財したんやろ。こっちが何も知らん思うて同情買おうとしたかて、そうは行きまへんでぇ。」


「そないな事言われたかて… 無いもんは無いんや!無いもんをどないして支払え言うんや!」


「ほーら!さっそく本性あらわしよった!開き直りよってからに!」


「ほな、今からソープにでもいって働いてもらおかぁ。あんたやったらその気になれば一晩で30万くらいは稼げるやろ」


「そ、そんなん…無茶やわ!」


コツコツ…

「あの!失礼ですが、先程からなんや騒がしいようですけど…うちの真美がお客様に何かご迷惑おかけしましたでしょうか?」


「あぁ…!明香先輩ー!助けてくださいぃ!私この人らに脅されてるんです!」


「なんやとぉ!このアマぁ!兄貴ぃ!」


「…………。」


「あ、兄貴ぃ…?」


「………。 迷惑も迷惑。大迷惑かけられとりますなぁ。ワシこの女に300万の金貸しとりますんや。それが利息分の支払いもできひん、そない言うから支払えるような金策をこっちから提案したってるんやないか。」


「こ、この人ら私に今すぐソープいって働いて返せってそんな事言うんです…!」


「そういう事ですか…。

フッ。 たかだか300万ぽっちのお金返して貰われへん言うて、こないに騒いで! 女、ソープに叩き売ろうとするなんて…あんたらも、ちっさい男やなぁ!」


「なんやとぉー! 借りたもん返さん人間の方が根性腐っとるんと違うんかいー!!!」


「ほんまやかましいなぁ!300万くらい私が払ったるわ!」


「……な、なにぃ…?」


「それで文句ないやろ?300万きっちり用意してあんたらのとこに払いにいったるわ」


「いや、先輩…そこまでしてもらわんでも!」


「助けて言うてきたんはあんたやろぉ?黙っとき!」


「そやけどこれは私の借金です!」


「今更なに見栄張ってんの!そしたらあんた返せる当てでもあるんかいな?」


「いや、それは……」


「あ、兄貴ぃどないしまひょ…」


「ふ… どないもこないもあらへん、金さえ払てもろうたらこっちはそれでええんや。

言うときまっけど、あんたの後輩の借金は今からあんたの借金や。利息はトイチでっせぇ。」


「トイチて……上等やわ!お金は明日きっちり用意して持っていったる。」


「ほうでっかぁ… 言うときまっけど300万言うのは元金の事や。利息分と合わせて360万。耳揃えて返してもらいまっせぇ。それにワシはまだあんたの事、まだ信用したわけやあらへん。」


「心配せんでも…どんなことがあったかて約束は守ったる。もし約束破ったらその時は、私の事、売り飛ばすなりなんなり好きにしたらよろしい。」


「ふ……… ほな、今日のところは帰らせてもらいまっさ。竜一、行くで。」


「え……?へ、へい!」


「ちょっと待ちぃ!お金返しに行く言うてる相手に自分の名前も名乗らんと帰るつもり?それはなんぼなんでも失礼と違うの?」


「ふ………。名乗らんかて… あんたはワシの事、よう知ってるはずや…。」


「はぁ…?どういうことやの!」


「ほな、明日、待ってまっさ」


「ちょ…ちょっと兄貴ぃ! あ!事務所の場所はあんたの後輩から聞いてきなはれ!ほな!兄貴ぃー!待ってください!」


あ、ありがとうございましたぁ。


カランカラン……


「せ、先輩……ほんまにごめんなさい… 私、こんなつもりなかったんですぅ!」


「こんなつもりもどんなつもりもあるかいな!あんな暴利な闇金からお金借りるやなんて!ほんま信じられへん!アホにも程があるわ!!」


「だってぇ…」


「だってもクソもない!今回の事であんたもさすがに懲りたやろ!男に入れ上げて、お金で男をものにできるやなんて思てる、その根性がこういうドツボを招くんや!真面目に働き!男はその後や!」


「はい!もう二度とこんなアホな真似しません…これからは真面目に仕事します!!!で、でも…ほんまに300万もの大金大丈夫なんですか?あの男の取り立て…ほんま鬼みたいにえげつないんですから…」


「私も伊達にこの世界で働いてないわ。 これでもそこそこ稼いでるし、貯えかてある、300万くらいのお金どうってことあらへん。」


「先輩…神様や…… ほんまにありがとうございます!!!この埋め合わせは一生かかってでもさせてもらいます!!」


「また調子のええ事言うてぇ!あんたのこと全然信用してないからなぁー。とにかく!仕事に戻るで!」


「ほんまですってばぁ!それはそうと先輩…あの”萬田”いう人のこと知ってはるんですか?”ワシの事よう知ってるはずや”とか帰り際に言うてたけど……」






「え…今、なんて………言うた…?」


「え?だから”ワシの事よう知ってるはずや”って言っ…」

「そ……そうじゃなくて! その前の…あの男の名前……」


「え………。だからあの人は 萬田金融の”萬田”いう名前です…。」



「萬…田……。

下の名前って…?」




「確か…… “萬田銀次郎” やったと思いますけど…」

…!!

まさか……

あの…萬田くん……

いや、そんな訳……。





ミナミの鬼の恋慕

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