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日が経つにつれ、ルカは森の秘密を知るようになった。
この森には時間を操る魔法が隠され、街の人々が夜だけ現れるのは、ゆっくりと流れる時間の中に引き寄せられているからだった。
だが、光の橋を渡る者は二度と元の世界に戻れない。
ある晩、ルカは決意する。
「僕も橋を渡る。セリナと一緒に未来を見たい」
二人は湖のほとりで最後の夜を過ごした。
水晶の光が二人を包み、森の精霊たちがそっと見守る。
夜明け前、霧が濃く立ち込める中、二人は手を握り、空に浮かぶ光の橋へ歩みを進めた。
橋を渡る途中、二人は「心の欠片」と呼ばれる幻影に襲われた。
それは過去の後悔や恐れの化身だった。
ルカはかつて自分を見捨てた友人や、言えなかった言葉の後悔に立ちすくむ。
セリナも家族と別れた悲しみの幻影に涙を流す。
しかし、二人は手を取り合い支え合った。
恐れをひとつずつ乗り越え、幻影を消し去る。
そして、橋の先には柔らかな光に包まれた新しい世界が現れた。
その世界は、二人の願いや思い出が形になった場所だった。
花畑には二人の笑い声が咲き、夜空には希望の光が輝く。
ルカは思った――森の記憶も、街の光も、セリナとの日々も、すべて自分の中で生き続ける、と。
二人は静かに手を取り合い、未来へ歩き出した。
悲しみも切なさも、すべてこの世界に包まれ、温かな希望とともに溶けていった。