上品な笑顔に整った顔立ちの美しい従業員。雛瀬真結美さんの存在が。
何故…こんな時にあの人が気になるのだろう。まだ大して話したこともないのに。
ーーそれとも気になるのは…あの人と店長の関係…?ーー
(っ…違う違う…これは、仕事として…気になるだけ…!!)
「藤塚さん…?」
言いかけた状態で黙りこんだ私を、不安そうな店長の視線が捉える。
(…そう。仕事上、必要な質問。)
箸をゆっくりとテーブルに置く。音も出なかった。
「…雛瀬さん…て、仕事…は、どんな…感じですか…?」
「ん?雛瀬さん…?」
予想外だったのか、店長の目が丸く見開かれる。
「あっ…いや…その…今後一緒に…遅番をする時があるので…どんな方なのかっ…知っておこうかと思いまして…もし苦手なところとかあったら…フォローできるかなと…!!」
すると店長は、納得したように手を叩いて頷いた。
「ああっ…なるほどね!!雛瀬さんなら、多分大丈夫さ。なかなか飲み込みも早いし、真面目だからきっと大丈夫だと思うよ。」
迷いのない笑顔が私を見つめる。よかった。それなら私の仕事に支障はなさそう。
心配事がなくなった。そう…思っているはずなのに。
心はざわざわと波打っている。訳が分からなかった。
「そう…ですか。」
「いやぁー、わざわざ心配してくれるなんて、藤塚さんは優しいなぁ。」
私の様子にも気づかず能天気な笑顔で話し続ける店長。
その度に心の波は大きく揺れ動いて止まらない。
この感情の正体はきっと…苛立ちだ。一体何をそんなに苛立っているのだろう。
店長が能天気なのはいつものことでしょ?
そう、それに知りたいことも知れて満足。もうこの話題は終わりにしよう。いつも通り、平常心でーー
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