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こ、こんにちは。えっと、ここの登場人物、アヅマです…これからあらすじは登場人物で書きます。
今回は…日常のつまらない小説です
僕と猫助の短くて長いそんなお話を、お楽しみ下さい
僕の猫の猫助。普通にゃん太とかだけど、ちょっと珍しい名前かなって思ってる。三歳の時はそんなことも思わず付けた名前だけど…
あ、因みに今は32歳。猫助は僕が三歳の時5歳だから、2つ上の35歳。
そう…猫助はもう20歳を超えて、長生きし続けてる。
因みに姿は…妖怪とか、人型とかになる訳でもなく、僕の足の隙間をすり抜けてゴロゴロと鳴いている。ご飯をあげると、やっぱり減るし、ご飯を吐く事もなくおかわりを要求するぐらいに元気で、
可愛い。
…猫助はずっと僕の前にいる。そんな、いつもの光景に僕は安心した。ふとしたら僕の幻覚で、もう居なくなってしまうかもと変な妄想を巡らせながらスーツに腕を通すと、猫助はいつも通りの顔で、こう言った
「行ってらっしゃい、ツムギ。ご飯ちゃんと食べて帰ってくるんだよ」
そこは飼い主とかじゃないの、とか、おかんか!と思うのを全面に出した顔で、いつもの顔で。僕は猫助に行ってきます。と言った
猫助の声は透き通っていて、可愛い声をしている。
自分の声はあんまり表現が出来ない。どう言ったらいいのだろうか。…まぁそれもいいか。僕の口癖を頭の中で呟いてみる。
あんまり猫助とはラブラブだったりではない。ましてや赤ちゃん言葉なんて…猫助が拗ねる原因だったりするので、僕はあんまりしない。でも僕達は仲良く二人同じ屋根の下で暮らしてる。
幸せだったりする。
電車の中手帳型のスマホを開けると、やっぱり猫助。僕が18歳で、就職先が決まって嬉しくなって、猫助と一緒に写真を撮った時。
猫助は笑うでもなく、泣くでもなくただ、僕を祝福した顔でこっちを見ていた。
(おめでとう、ツムギ。就職先でも頑張るんだぞ。)
でも、当時の記憶は薄れて、お母さんとお父さんの記憶しかない
猫助の声がしない。少し冷たい感じが頭に芽生えた。
猫助のロック画面にポチポチと暗証番号を押して、小説アプリを開くと途中で読んでいたノベル小説があった。最近人気、という訳でもない。1年ほど前のミステリー小説である
冒頭の言葉使いが詩的で、魅入った…それでそのまま読んでいるが…
この小説は、終わりがなかったのに最近気づいた。
作者さんが印税や、その他のお金を持ち逃げしたそうで、そのまま1年経ったのなら、もう続きは無いのだろう。
だけど、あの時の「気になる」を、また思い出したくて読んでいる。トリックは殆どもう分かってる。
そんなこんなで、立ったまま何処かのおばあちゃんに席を譲る事もなく到着した所は会社への道。他の人にとっては愛の巣とやらの道であり、嫌いな親の居る家への道なのかもしれないが、そんなのは気にしていて意味が無かった。
だけど、そんな意味もない事を考えるのは社会人としてあんまり良くは無いが僕は好きだ。
なんであの掲示板の人は殺人なんてしたのだろう。
なんであの看板はそんな名前なのだろう
そんなこんなで、会社に着いた僕は、ビルへと足を運んだ。
横にはナカムラさん、隣は何故か昇進しても机を移動しない課長が居るオフィス。
いつもの日々、いつもの通り、良かった
変わらないとは、凄く大変な事で、それを大切にするのはもっと難しい。
だって、日常とは日常と思ってない、幸せな時こそが日常だから。
挨拶を済ませて、仕事をする。
カタカタと皆のパソコンがなり始めた会社で
やっぱり猫助の事を考えてる。
僕ってだから浮いた話の一つもないんだろうか…別にとほほとは微塵も思って無いし、このまま、変わらないで良いと思う自分。
あ、もうすぐ休憩時間だ…そう思うと時間はゆっくり回りだすので、考えないように仕事をしていると、
新人のナカムラさんが僕に話しかけてきた
「あの、これ」
ナカムラさんの手から出てきたのは…紙コップ。猫が書かれた。柄は三毛猫で、猫助とは違う柄だけど、…やはり年下はこういうのには目がないのだろうか…中にはコーヒーが入ってるのか、少し湯気が出ていて、美味しい香りが辺りに漂っていた。
えへへ、アヅマ先輩猫がお好きだそうで、あの…さっきあそこからコーヒー入れてきたので、飲んで下さい。それとも、コーヒーお嫌いですかね…」
コーヒーは大好きだ。多分課長から聞いたのだろうか…課長とは日常の他愛もない話を良くしている。
猫、コーヒー、断る理由は無かった。
「ありがたく貰うよ。美味しそうだなぁ…猫も、ナカムラさんが書いたの?」
仕事中、というより今は皆はクッキーやお茶を楽しんでいる時間を過ごしている。
だから、僕に話しかけて来たのか…この雰囲気様様だな。こんなに美味しいものと少し可愛い紙コップが貰えるなんて。
言葉の奥に何処か暖かみを感じるナカムラさんのの笑顔はとても猫助が重なる、ような気がする。
早速貰ったコーヒーに舌鼓を打ち、飲んでみると、
少しほろ苦い味わい尽くした会社のコーヒーメーカーの味がふわりと広がった。
まとめると美味しい。
目を瞑るのは、少しキザになってしまうかもしれないので、まっすぐコーヒーを見て、飲み干した後はナカムラさんを見てみた。
ナカムラさんはにっこりこっちを見ている
「美味しかった!仕事頑張れそうだよ。ありがとう」
恋愛ならではの様なシチュエーションだが、僕はナカムラさんはあまり、恋愛対象には見ていない。可愛い後輩ぐらいである。
そんな可愛い後輩にも、恋人が居て、それかもう結婚してたりしている訳で。
そういうのは、少し僕にとって素敵な事である。誰かが何処かで幸せなのは、見ていてとても嬉しい事で、ナカムラさんの幸せな顔は見ていて幸せになれる。そんな、そんな…
平和が、何も変わる事の無い平和が。そんな日常が続きますように。
そう思いながら、ナカムラさんとの談笑を終え、仕事を言った通りに頑張って、タイムカードを入れた。
カシャっと入り、上へスライドしながら出てくる。それを受け取ればもう仕事は終わり。猫助に早く会いたい気持ちを解放して、笑みが自然と溢れた顔で、タイムカードを手に取った。
猫助は、ちゃんとお昼ご飯を食べただろうか。と同時に思いながら歩き出すと、
「先輩!」
…?僕の事だろうと思い、振り返っても
違う先輩の事を引き止めていた。僕は固まって、目を違う方向へ伸ばした。
…気まずい…そんな空気を読み取ったのか ナカムラさんがタイムカードを入れながらこっちを見ている。
非日常に引き込まれた僕を、また片足を突っ込む様にナカムラさんは苦笑いの様な、緊張している笑いを浮かべて近づいてきた。
「き、き、今日、あの、あ、えっと、」
僕より少し背の低いナカムラさんが、頭を真下にしてしまったので、更に顔が見えなくなってしまった。
今日?…今日の仕事何かしてしまったのだろうか。時間外労働はいつも通りだったりもするが…申し訳ないがお断りしたい。
「今日、一緒に帰りませんか、?」
…まぁ、時間外労働よりは全然マシなお願いだし、気まづい空気も薄れて、ザワザワとしだしたこの雰囲気に押されて頷いた。
言っとくが、本当に恋愛対象ではない。どれだけ可愛くてもである。
ナカムラさんは頷いた僕を見て随分喜んでいる。分からない。こんなおじさんと帰って何があるのだろうか…
僕はナカムラさんに、帰る道を聞くと、逆に聞き返してきたので僕はこう言った
「ナカムラさんを見送ってから僕は帰るよ」
ナカムラさんは驚き笑いみたいな。造語だけど…でも顔を顰めて言った
「先輩を送ってから帰りたいんです」
確かに、そっちの方が僕は帰るだけだから別に良いが…先輩としてどうなのだろうか。
そんな譲り合い戦争が始まった日の落ちた会社の外で…
結局。と言った感じで僕が見送られる事になった。
季節は冬。だが東京なので別に雪も降らず、ましてや積もる事もない何時もの東京。
少し寒く、身震いをしながら話を聞いてると、
「先輩、今日はショートケーキの日なんですよ」
ちょっと気になる事を言われた。
「…なんで?」
初めて、返事らしい返事をしてみた
楽しそうに笑い説明し始めるナカムラさんに、ドラ〇もんで学んだ暖かい目。と言うやつでナカムラさんを見ていると、なんだかんだで家に行ける駅に着いた。
「また明日。会社で会いましょう」
「楽しかったです。では!」
本当に他愛もない会話だった。
猫助に帰ってきた。
「おかえり。ツムギ。」
「ただいま猫助〜…」
猫助を見て、安心してしまい、僕は服を速攻で脱いで、お風呂に入った。
シャワーしか浴びないけど、結構スッキリして僕は好きだ。
お風呂から上がると、猫助はもう寝ているみたいで、電気は全部消えていた。
風呂場の電気のおかげで何とかタオルと着替えを見つけて、音もなく着替えた。
あとは、寝るだけだ
そう思うと僕は小躍りする程嬉しくなる。
もう、考えるのもめんどくさい。
おやすみ、猫助。
僕の1日はこれで終わりだ
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