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「手前、またそれかよ」
薄暗い路地裏、中原中也の吐き捨てた言葉に太宰治はひどく場違いな、それでいてひどく美しい笑みを浮かべた
太宰の口元から鮮やかな赤色のアネモネがひとひら血に濡れて零れ落ちる
「やあ中也、奇遇だね」
「こんなところで私の最期を看取りに来てくれたのかい?」
「黙れ」
「死ぬ死ぬ詐欺は聞き飽きてんだよ」
中也は苛立ちを隠さず太宰の胸ぐらをつかみあげた
だがその手は微かに震えている
片想いを拗らせ肺に根を張った花が気道を塞ぎやがて死に至る奇病
治療法はたった一つ
想い人と想いが通じ合うこと
「誰だ」
「何がだい?」
「その花を誰に咲かせてやがるって聞いてんだ」
太宰は困ったように眉を下げ、中也の頬をそっと撫でた
指先から伝わる体温が熱くて苦しい
「君は本当に自分のことになるととことん頭が回らないね」
「は…?」
太宰は再び激しく咳き込む。
今度は花弁ではなく一輪ごとのアネモネが鮮血と共に吐き出された
「…私に死んで欲しくないなら」
太宰は中也の耳元で消え入りそうな声で囁いた
「君がその答えを私の口の中に探しに来て…」
煽るようなその言葉が終わる前に中也は太宰の髪を掴み乱暴に唇を重ねた
肺を刺すような花の香りが二人の間で溶けていく
太中じゃなく中太にしました
死ネタ苦手な人はこれ以上先に進まないことをお薦めします
それでは
コメント
2件

初コメ失礼します! …死ネタ苦手だけど…めちゃくちゃ気になるので見ます!! 続き楽しみにしてます!!!