テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
電話を切って、自室のベットに飛び込んだ。
「はぁ…。」
ため息が止まらなかった。
会いたいと言ってきたのが明來だとしても、一度傷つけた相手に会うのは怖い。
僕は、一度間違えてしまったのだ。
これだから、自分の意志で歩きたくないんだ。
親や周りが敷いたレールを走っていれば、間違えることはない。
でも、いつかこのレールは途切れる。その前に、自分の力で歩まなければならない。
分かってる。分かってるんだ。
悶々としているうちに、眠気が襲ってきた。
あぁ、まだ何も考えがまとまっていないや。何か、何か答えを…。
「―アルビナに、会いたい。」
気がつくと、川の畔に居た。
「あれ、俺、いつの間にこんなところ…。」
のろのろと体を起こし対岸を見ると、特徴的なヒジャブの少女が佇んでいた。
「アルビナ!」
でも、アルビナは何も喋り返してはくれなかった。
「アルビナ、本当にごめん!俺、アルビナの辛さを理解してなかった。それなのに酷いことばっかり言って、本当にごめん!」
慣れない大声ですぐ喉が痛くなるけど、気にせずに叫び続ける。
「死ぬ前に会いに行かなくてごめん!こんな風になる前に謝れなくてごめん!許してなんて我儘言わない。本当にごめん!」
いくら謝っても足りなかった。一生分のごめんなさいをかき集めても、まだまだ足りなかった。
ならせめて、贖罪くらいはさせてくれ。
「なあ、アルビナ。俺、アルビナとの約束、絶対守るから!『世界中の人に戦争の辛さを知ってもらう』って約束!」
こんな口約束、信用してくれないかな。あんなに酷いこと言ったもんな。
でも、これは本気だった。信じてほしかった。
すると、アルビナは黙ったまま、すっと小指を差し出した。
「っ!」
俺も小指を出しながら、川に飛び込んだ。
夢を見ていた。都合の良い、夢だった。
行き場をなくした小指を戻した。そのまま拳を胸の前に持っていく。
もう一度、俺は自分の意志で歩かねばならなかった。一生消えない罪を背負って。
そのためにはまず、あいつに会わなければ。