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カナメ視点
……眩し…。てことは朝…?今、6時30分時か。昨日寝た時間は0時30分ぐらいだったか。
久々に6時間ぐらいの睡眠取れたな。けど、体の重さは変わらない。まずは鏡を見て…通常の顔色とはまでは行かないが、最近見た中では綺麗だ。隈もまあまあ。今から用意して海外へ行けば予定の13時には辿り着けるか。
えーと、制服で夏ので良いか。身なりはちゃんとして、髪もいつもよりちょっと良くして…。
よし、これなら母さんと父さんを綺麗な姿で送って行ける。
((…?こんな時間から葬式の人が…))
「…はい。はい、もう少しで家を出れます。予定通り実行出来ます」
「え?近くのホテル予約してくれてるんですか?分かりました。軽く用意しておきます」
「はい…家族の住んでいた場を観光します。ありがとうございます」
ありがたいな。こうしてホテルも用意もしてくれて。優しい人で助かった。…さて、泊まれる用意も出来たし、早く行こう。
あれから電車やら使って、今飛行機に乗って母さん達が住んでいた場へ行っている。幸い隣は誰も来なくて助かった。
1人でここまで遠出なんて珍しい方だろうか?
なんでここまで金があったかと言うと、母さん達が俺が住んでる場を去る時に大金を手渡してくれていた。中1でこれはおかしいだろって言う程に。
だから今普通に行けている。なんならまだ余ってる。
…あ、母さん達が住んでる国へ来た。
…凄く綺麗。雨が降っていてもこの絶景。綺麗だけど、綺麗な場所で母さん達はここで死んだのか…。美しいまま死んだだろうか…なんて、場違いすぎるな。
ここの空港を降りて、10分くらい歩けば今日行う葬式へ行けるな。
…着いた。今は、12時30分。思ったより早く着いたな。にしても暑い。日本よりも暑い…。
…あ、葬式の場着いた。思ったより少ないな。
日本人もいる…わざわざ海外まで来てくれたのか。
カナメ母の友達「…あ、君カナメくん?」
「…誰ですか?」
カナメ母の友達「ごめん!自己紹介してなかったね。カナメくんのお母さんの友達」
「そうですか。わざわざ遠方のここまで来て下さりありがとうございます」
カナメ母の友達「カナメくん辛くない?」
((知った口を開いて))
「…どうでしょう…?今日くらいは笑顔で見送ると決めてるので」
カナメ母の友達「そう。良い息子に育ってるわね!」
「では、俺は葬式の方とお話があるので、先に入りますね」
辛くない?…ね。辛いに決まってんだろう。だけど、今日くらいは泣かないし、辛い思いもしない。するとしても、これが終わってから。
葬式の人「こんにちは」
((そうだ、英語で喋んないと))
「…こんにちは。わざわざ準備をしてくれてありがとうございます」
葬式の人「こちらこそ。もう15分程で始まるので、お待ちくださいね」
「わかりました」
…ちゃんと喋れたかな?発音も練習したけど、不安定なもあるから。にしても、何回も思うけど凄く綺麗だ。やっと母さん、父さんに会えるな。
ちゃんと綺麗な姿で送るから、安心してね。
葬式の人「始まりますよ」
色んな人「…」
泣く人も多いな。それもそうか。だけど、俺は泣けない、というか泣かない。あ、俺の番来た。
((母さん、父さん。綺麗だよ?世界一家族の中で綺麗だよ。今までしんどかった?俺をここまで良く育ててくれてありがとう。家事も、掃除も一般的な事を厳しく教えてくれてありがとう。ちゃんと、夢の中ででも愛を受け止めたよ。ちゃんと、俺の事見ててね?…次も、俺が家族の中へ産まれるのなら、また母さん父さんの間に産まれたいよ))
ここまで長く話したのは久々だな。ちゃんと届いただろうか。…いや、届いたんだ。
そうして葬式は終わった。終わった後、外へ出たら色んな人が一気に泣いた。ずっと堪えていたのだろう。傘を差して泣いてる人、手に持っているが差さずに泣く人。
唯一泣かなかった人は、俺だけだった。雨に打たれてただ俯いていただけ。どうして涙が出ないかなんて、知らない。
その雨は冷たいはずが、不思議と温もりを感じた
何人から海外の人込みで「あなたは泣かないの?」「1番身内なのに、辛くないの?」
そんな言葉が多かった。泣きたいよ。辛いよ。本当は今すぐ叫びたいし、泣きたいし、跡を追いたいよ。だけど、約束もした。泣かないと決めた。綺麗な姿で送ってやると決めた。だから、泣くのは後にするんだ。
今日は母さん達が暮らしてたここを良く見て寝て帰る。
葬式の人「無理をせず、今日はゆっくり休んで下さいね。」
「ありがとうございます」
さて、まずは近くの店で飯食おうかな。あっついな。けど、雨のおかげで少し涼しい。傘、持ってくれば良かったな。
綺麗な店だな。絶対ここ美味い。ここにしよ
ほーらね。もう周りの人が食べてる物から見て美味そう。中もめっちゃ綺麗。
ここ、母さん達も来た事あるのかな。
うっわ、メニュー表の端から端まで食べたい。けど、1番目に止まったピザトーストにする。
店員「おまたせしました。ピザトーストです」
((いただきます))
やっぱ海外はまた味がマイルドで美味いな。何で俺ピザトーストとかにしたんだろ、ハンバーガーとか頼めば良かったのに。
((ごちそうさまでした))
店員「お会計○○ドルです」
「これで」
店員「丁度お預かりします」
「ありがとうございました」
店員「あの」
「…?はい」
店員「…その、傘貰っていきます?」
「良いですよ?そんな」
店員「良いんです!迷惑もないですし、風邪引かれたら困りますので」
「では、ありがとうございます」
街が綺麗で良い人しかいない国って最高かよ。次は、あそこの綺麗な所へ行ってホテルに戻ろうかな。それできっと19時前には戻れるだろう。
「綺麗…」
思わず口に出てしまった。周り英語なのに1人だけ日本語ってヤバいじゃんか。
でも本当に凄く綺麗。明かりと薄暗いのが丁度良くして日本では見れない感じだ。
母さん、父さん。俺、母さん達が住んでたこの美しさ、ちゃんと目に刻んだよ。
あの後、綺麗な景色を眺めながらホテルへ戻った。ホテルから見落とす景色も綺麗。ここに住んでしまいたいが、イズミが日本にいる。イズミがいないと、きっと今の俺はもっとイカれちまう。早く帰りたいような帰りたくないような、この曖昧の気持ちが地味に嫌。
風呂も飯も全部凄かったな。あんな豪華なのほぼ初めてかも知んない。飯もどれ食べても全部美味しいし、風呂も金持ちが毎日入ってそうな豪華さだったし…マジでやばいや。
ここならぐっすり眠れそう。寝よう
((ん〜…床痛った))
母「かーなめ」
「あ、え?母さん?」
((待って夢だろう?俺今寝てたし…))
母「また夢の中お邪魔してごめんね…。でももう今日で終わりだから」
「今日で…終わり?邪魔なんて…そんな事ないよ」
母「葬式の時、カナメが発してた心の中ちゃーんと届いてたよ?厳しくしたのに、母さん達を愛してくれてありがとうね」
「…そんな…お礼言われる程なんて…。だって、嫌われてるって確信して、隠された愛にも…!!全然…気付けなかった」
母「そう思っても仕方ないわよ。逆で、ここまで愛してくれるなんて母さんたちも思って無かったの。わざと嫌われるように、忘れてくれるように厳しくして、愛を告げなかったのに…」
「何で…わざと嫌われるようにしたの?」
母「初めはカナメに病気の事話そうと思ったの。けど、まだ幼いから黙っておこうって父さんと話をしてね。そして月日が経つ度に病状は悪化して、長期海外まで通院することになっちゃってね。カナメに病気を教えるより、まだカナメに教えさせるもの何一つしてなかったから…長期海外出張って事にして、家事も掃除も厳しく教えてたの。
長期だから、カナメに辛い思いさせたくないからって思って、わざと嫌われるような態度を向けたけど…難しいものだった。
カナメの頬を叩く時も、叱るのも凄く嫌だった…。けど、こんな親だからきっとしばらく経てば忘れてくれると思った。
正式に海外へ行く事になってカナメが見送りしてくれたの凄く嬉しかったわ。本当は何もせずに行こうとしたけど、最後くらい…カナメを抱き締めたいって思って…抱き締めちゃった。それがカナメに取って呪いのようにさせちゃったかもしれないわね…ごめんなさい」
「そんな事ない!俺、ちゃんと母さん達に愛されてたんだね…」
母「ごめんね。伝えずに死んじゃって」
「良いよ…今会えてるんだし」
母「そろそろ時間かなぁ…カナメ、じゃあn」
「嫌だ…!嫌だよ…。俺を1人にしないで!!もう一度、もう一度だけ!いつか会いに来て!!夢の中でいいから!」
母「…分かった。また会いに行くね」
「…うん」
…夢から醒めてしまった。母さんを止めてしまった。分かってたのに、もう止めても会えない事なんて。会えなくても、母さんと父さんの事は忘れられない…変な呪い。
ベッドから立とうとしたら、足に力が入らなくて、ベッドへ倒れてしまった。その瞬間、昨日を超えた体のだるさが襲って来た。やばいかも…。でも、また泊まるのは流石に金かかって困るし、明日学校があるし…。
無理やり足に力入れて、少し大きめの鞄に今日の私服入れてたから、それを着た。
鏡で顔色を見ると、昨日より悪かった。早く帰って休もう。
何とか力を振り絞って、やっと俺の住んでる場所へと帰れた。ここでイズミに会わなければ良いな…。というか、午前中だしいる訳ないな。
ヤバい。視界がおかしい。…ここ、多分いつも見てる公園…だよな?後、3分くらいで着く…か?
イタチ「…カナメくん…?」
前を向くと、イタチくんがいた。視界がおかしくて、イタチくんかも曖昧だ。最悪だ。誰もいないと思ってたんだけどな。
イタチ「か、カナメくん…?ホントに大丈夫?」
喋れる余裕もない。今立ってるだけで精一杯。やばい…倒れる…。
イタチ「カナメくん!!!大丈夫!?」