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こはる
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第98話
次の日は、二日酔いだった。最悪。
一杯しか飲んでないのに……
それで、リナは覚えてなかったみたい。セーフだ。これで覚えていたら、どうやって返せば良かったのだろうか……
「ノア。今度の休み、出かけない?」
リナが、キッチン掃除をしながら急に口を開いた。
「いいけど、何で急に?」
「ふふっ。一緒に見たい所ができたの。だから……良い?」
「勿論。どこまでもついて行く」
「ありがとう」
そう言ってリナが微笑んだ。少し頰を染めて嬉しそうに。
俺は、いつ何時でも、リナの事をついて行く。
……そして、絶対に守り抜く。
❂
リナの誕生日、二週間前。
昼間はまだ夏の暑さが残るこの時期に、私の兄……ローベルトお兄様が大怪我をしたという話が入った。
帰ってきたお兄様は、動けるし、頭も普通。頭を強く打ったわけでもなさそうだから、安静にして治療中。
カトリーナさんが、お兄様のお手伝いをしている。
お兄様の怪我は、崖から落ちたらしい。命はとりとめたみたいどけど、頭からの出血や、骨折り……そのくらいかな。
それと、お兄様が、ストラップを衝動買いしてて……助かった。
落下しながらあれに、魔力が入って風魔法が暴発した。一応、あまり形を考えなければ、鋭くはならない。
……運が良すぎ。本当、凄いよ。
そう言えば、一番上の兄はケスラー家を継いで、二番の兄は婿に行った。二人とも直ぐには帰ってこない。
私もあまり会った事ないから、何かあった時には、お父様か、ローベルトお兄様か、私の夫――エックハルトとその家族に頼るしかない。
エックハルト・フェルステマン。だから私も一応、私もグレーテ・フェルステマンだ。
まぁ、攻略結婚であるのは変わりないけど……顔立ちがめっちゃ良い。
でも、失礼ながらタイプでは無いから、顔で一目惚れ……って事は無かった。
まぁ、優しいから、一緒にいて悪い気にはならないけど……
「グレーテ様。セリーナ様と、ノア様がいらっしゃいました」
執事が、扉越しにそう言った。
リナと、ノアが?
「えぇ。分かりました」
私は、扉を開けて、客室に向かった。
私は扉を二回鳴らした。
「グレーテよ。入るね」
ガチャリと扉を開けて中に入ると、いつも通りの二人が座っていた。
……何があったのだろう? 全然見当がつかない。
ちょっとした雑談から入って、気づけば一時間経っていた。
「それで、本題に入るけど……」
その言葉がリナから出た。
私は無意識に身構えた。だって、二人で来たことなんて片手で数えられる程しかない。
「ねぇ。あれから、異世界に行ったりしてる人知らない? もしかしたら、一つ世界が潰れるかも……」
え? 世界単位……? 国じゃなくて……?
「いないと思う……うん。多分いないはず。でも、一応、ライナーに聞いてみたほうが良いかも」
「そっか。ありがとう」
そう言ってリナと……リナだけ退出した。
え? ノアは何?
「俺はまた別件なんだ」
「別件って……リナに聞かれちゃいけない事?」
「まぁ……そうだな。ルディって王姉様お付きの騎士について聞き回ってるんだ。できれば、その上の兄の事も聞きたい」
ルディって、王姉様お付きの騎士……でも、その兄?
でも、強いって事だけは知ってる。
それに……第一部隊、エリートバッチを持っているんじゃなかったっけ……?
「えぇ。ルディって人はライナーが連れてきた事があるわ。それに、その兄……確か、クルトって人も、エリートバッチを付けてる強者って事は小耳にしたわ」
ノアはそこまで聞くと、耳をペタッと垂らして、尻尾をくるくると巻いた。
否、怖いのだろう。私もノアが一体に怖がっているのか分からないけど、とても怖いのだろう。
「とても嫌な予感がするんだけど……何を調べてるの?」
「……呪いについてだ。そのルディって人は、俺の実兄。俺を産んだ後に、実父に実母は捨てられて……色々あったんだ」
今のノアの赤い瞳には、光が灯ってない。辛そう。
……私には何もできない。
「そっ、か……大変だったんだね。確かに、リナには話せないよね」
私だって、お兄様がそんな事してたなんて……いや、想像が全くつかない。
……そんな酷い事を……まぁ、辛いよね……
ノアの手はプルプルと小刻みに震えていた。呼吸も安定してない。
「ま、また……何で俺に、またそんな事を……何で」
「大丈夫よ。貴方には、沢山仲間がいるでしょ。人は沢山の人に守らねて、沢山の人を守る」
ノアは、体を強張らせながら、頷いて……その後は一人でサントラップへ帰っていった。
コメント
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うわっ、今回重い展開きたね…! ノアの実兄の話とか、呪いの調査とか、リナに言えない秘密抱えてるのが切ないわ。でもグレーテが「人は沢山の人に守られて、沢山の人を守る」って励ましたシーン、グッときたよ。そしてリナとノアの「どこまでもついて行く」やり取りは相変わらず尊い…! 世界が潰れるってリナの懸念も気になるし、続きが待ちきれない🔥