テラーノベル
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---少し時間が遡ります---
🤍「何してるの?」
最悪だ。
俺はすっかり忘れていた。
今日は、村上先生の都合で、家庭教師の時間が午前中に繰り上がっていたことを。
前日の夜に翔太と遅くまで怖い映画を見ていたせいで、なかなか寝付けずにトイレも一人で行けなくなってしまった翔太を宥め、あやし、終いには泣き出す翔太を抱っこして寝ていたらふつうに寝坊した。
寝坊した今朝、俺はタイミング悪く夢精していて、汚れた下着をいつも通りに洗面所で洗っていたのだ。翔太は今になって部屋で爆睡している。廊下を音もなく後ろから近づいてくる第三の人物の気配に無防備だった俺はそのことに全く気付かずにいた。
💚「えっ、あっ、何でもありません……」
消え入るような声で動揺を隠し、何とか答えると、後ろ手に下着を隠す。村上先生は初め不思議そうにしていたが、悪戯っぽく笑うと、その長い腕で俺の手から素早く濡れた下着を奪い取った。
💚「あっ」
🤍「………これって…」
💚「……………」
🤍「ごめん。返すね」
💚「はい………」
恥ずかしくてもう泣きだしそうだった。村上先生は先に部屋に行ってるね、と優しく笑って、俺を洗面所に置き去りにして去って行った。
下着についた残った染みを俺は大急ぎで石鹸で落とすと、いつも通り、洗濯機へと放り込んだ。どこかへ逃げ出したくても、逃げ出しようがない。俺は諦めて、子供部屋へと向かった。
◆◇◆◇
それからの家庭教師の時間は苦痛でしかなかった。
俺は集中力を欠き、簡単な計算すら間違え、何となく俺を気遣う村上先生に終始、優しくされている。その気遣いが逆にますます俺をいたたまれなくさせて、俺はその日とうとう一度も先生の顔を仰ぎ見ることができなかった。
授業終了の間際になって、何か考え事をしていた様子の村上先生は、唐突に言った。
🤍「ねぇ、亮平くん。キミの体はもう大人と同じなんだよ。それはちっとも恥ずかしいことじゃない」
💚「っ…………」
🤍「俺もちょっとは驚いたけどね。でも、今日のはなかなか良かった」
💚「え?」
何が良かったのかわからないまま、恥ずかしさに視線を落とすと、先生の股間のあたりが膨らんでいるのを見つけてしまった。前がとても苦しそうに張り詰めている。俺は驚いて声も出なかった。思わず上げた視線が先生の視線とぶつかる。先生は笑っていた。俺の手を導き、自分のその熱くなった部分へともっていく。
💚「なにするんですか…」
そこはとても硬くて、脈打っていた。そして大きくて凶暴に感じた。同時に何だかとてもいやらしくてどきどきした。
🤍「亮平くんがえっちだから、俺もつい、そんな気分になっちゃった」
💚「やっ、やめてください!!」
慌てて手を引き抜くと、先生は今度は声を出して弾けたように笑いだした。
🤍「亮平くん、可愛い。また来週ね。今日見たことはお互いに内緒にしよう」
人差し指を口元に立て、先生はそのまま席を立った。ひらひらと手を振り、涼しい顔で子供部屋を出て行く。俺はそんな先生を呆気に取られて見送ると、机に顔を突っ伏し、胸の鼓動を押さえ、熱を持った顔が冷めるまでずっと頭を抱えていた。
◆◇◆◇
💙「泣いてるの?」
………どれくらいの時間が経ったのだろう、すぐ近くで翔太の声がする。さっきまで寝ていた翔太が今になって起きてきたようだ。時計を見ると時刻はもう正午に近くなっていた。
💚「泣いてないよ。おはよう、翔太。随分お寝坊さんだね」
💙「んー。お腹すいたぁ」
甘ったるい翔太の声が、俺を現実へと引き戻して行く。今は、愛らしい弟の我儘が何よりも有り難かった。翔太の手を取り、階下へと向かう。用意された素麺を二人分、茹で、冷やし、薬味を切る。翔太は重たい冷蔵庫のドアを開けて、二人分の付けつゆを用意してくれている。小さい手で一生懸命に働くのが何とも可愛らしい。
💚💙「いただきます」
まだ上手に箸では麺をつかめない翔太が、子供用のフォークをクルクルと回して、まるでパスタのように素麺をちゅるちゅる啜るのを俺はぼんやりと見ていた。
食卓へ射し込む陽差しはもう真夏を過ぎたそれで、耳を澄ませば去り行く夏を惜しむような蝉の声が聞こえる。毎日暑かったが、気がつけば暦はもう8月も半ばを過ぎていた。
💚「夏が終わればこんなに毎日会わなくていいんだ」
💙「んゆぅ?」
上目遣いに俺を見上げる翔太の、頭を軽く撫でてやると、翔太が嬉しそうに微笑んだ。
💚「翔太、それ食べたらアイス買いに行こうか?」
💙「行くっっ!!」
ぱあっと華やかな音がするくらいに満面の喜びで顔を輝かせた可愛い翔太を見ていて、俺は村上先生のことは頭の隅へと必死に追いやろうとしていた。
続
コメント
7件
弟しょぴがとにかく可愛いよね💙
んゆぅ?でギュンってなった可愛すぎ