テラーノベル
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風が吹く。
白い花びらが、空へ舞う。
一歩、世界へ足を踏み入れた。
足元いっぱいに咲く花は、見たことのない形をしている。
鈴蘭にも似ている。
けれど、花びらは雪みたいに透き通っていた。
「……すげぇ」
思わず声が漏れる。
どこを見ても白だった。
花畑。
白い木。
白い草原。
遠くには、小さな家がいくつも建っている。
煙突からは煙が昇り、人が暮らしているようにも見えた。
「⋯ここ、人いるんすか」
「いるよ〜」
らっだぁは花を踏まないように歩く。
「ここは珍しく、人間の世界」
その言葉に少し安心する。
「やっと普通の世界か……」
「どうだろ」
らっだぁは苦笑した。
「普通かどうかは、人によるかな」
意味深な言い方だった。
「……どういうこと」
「見てれば分かるよ〜」
それ以上は教えてくれなかった。
風が吹く。
花びらが舞う。
その一枚が肩へ落ちる。
冷たい。
それこそ雪のように。
「……花なのに冷た、」
指先で摘まむ。
すると。
サラサラ、と。
花びらは光になって消えた。
「っえ、」
思わず固まる。
らっだぁは振り返り、小さく笑った。
「この世界の花はね、」
目の前の一輪の花を見つめる。
「記憶で咲くんだよ」
「……記憶?」
「誰かが忘れた思い出が、花になる」
風が吹く。
無数の白い花が揺れる。
「だから、花を摘むと」
らっだぁは静かに続けた。
「誰かの思い出が、一つ消える」
思わず、手の中を見る。
さっきまであった花は、もう残っていない。
ぞわり、と背筋が冷えた。
「……それ、マジっすか」
「さぁ?」
また笑う。
冗談なのか、本当なのか分からない。
「でも、嘘だとしても、摘まない方が綺麗でしょ」
ぐうの音も出ない。
そのまま歩き続ける。
白い花は、どこまでも続いていた。
やがて。
丘の上へ出る。
この、花の世界のすべてが見渡せた。
花畑の中心。
小さな鐘楼。
その周りを囲むように、穏やかな村が広がっている。
煙が昇る。
子どもたちが走る。
笑い声が風に乗る。
「平和……」
思わず呟く。
らっだぁはその景色を眺めながら、ぽつりと言った。
「ここはね」
少しだけ目を細める。
「世界で一番、嘘を吐くのが上手な村なんだ」
ふわり、風が吹く。
白い花びらが、二人の間を静かに通り過ぎていった。
NEXT=♡1000
花の世界の話は、今後回想とか色々交ざってくるので少しわかりにくいかもしれないです(ネタバレ)
ご了承のうえで次回以降も読んでいただけると嬉しいです。
よろしくお願いします( ꈍᴗꈍ)
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#らっだぁ運営
青槍 未来
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コメント
2件
花を摘んだら誰かが忘れた記憶が消えるって最高な設定どうやったら考えつくんですか?! 世界一嘘をつくのが上手い村…どんなのかすごい気になる✨️