テラーノベル
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それでは、
どうぞっ。
ーーーーー
夏が始まる頃、焼け付くような日差しの中、私たちはとある屋外フェスの出演が決まっていた。
事前に約2時間程度のリハーサルを行い、準備万端で迎えた本番当日。
生憎の雨だったが、運営側は続行を決めた。
ステージ上は滑りやすかったけど、それ以外はいつも通りに進み、いつの間にかラストの曲に。
いよいよ曲が始まり、みんなのボルテージが最高潮へ。
ビリッ。
全身に針を突き刺すような痛みが一瞬で広がった。
機材の劣化、導線から漏れていた電流を濡れた手で触ったことによる感電だった。
💜「柚葉、!?」
すぐ隣にいた桜花が叫ぶ。
咄嗟に耳を押さえてしゃがみ込む。
突然、身体に電流が走ったことによる筋肉の硬直と、脈の乱れで動けなくなった。
すぐに他のみんなが駆け寄ってきて、私を支えてくれた。
🧡「ももちゃんと桜花はファンの方達から見えないように前に立って。」
💙「うん。分かった。」
💜「了解、後で私たちもそっちに行くね。」
どんな時でも美咲が発した事に異論を唱えず、すぐに行動する。
そういうところが、私たちの良いところなのかな。
💛「柚葉!大丈夫?!しっかりして!」
綺羅や未渚美がそう叫んでいるのが聞こえる。
來亜も震える手で私を支えながら、私の名前を呼んでいる。
けれど、声が出なかった。
喉の奥がきゅっと縮こまって、息が細く途切れる。
震える手は段々冷えていき、胸の奥で鼓動だけが速さを増す。
浅い呼吸が、ますます焦りを煽った。
自分の意思とは無関係に意識が遠のいていく感覚がした。
🧡「柚葉、落ち着いて。大丈夫、安全な場所に行くから。」
その言葉に私は安心し切って、瞳を閉じた。
その後、他のメンバーにイヤモニを外すよう促したり、機材を確認するよう指示を出してるうちに、音楽は止まった。
百花と桜花が突然の出来事により会場がざわめくのを対処していた。
ーーーーー
病院に運ばれた私は、目を覚ましベットに横たわって処置を受けている。
すると、病室のドア越しに、靴音と共に緊迫した声が聞こえてきた。
🧡「どういう管理体制なんですか?」
美咲の声で、でも冷たく、鋭く、発せられた。
💛「何年も前の機材を使うって、…笑。」
どうやら会場の運営者も一緒に来ているようだ。
💜「安全確認はしてなかったんですか?!」
美咲に続いて、桜花の声色にも聞きなれない鋭さが混じっていた。
🤍「本当に何考えてるですか!後遺症だって出る可能性もあるのに…!」
感情的になった來亜が声を荒げる。
怒りに満ちたその声が、なぜか私の胸まで締め付けられた。
少しの沈黙。
運営者の誰かが息を呑む音がした。
ーーーーー
そんな声を聞いていると、扉が開いた。
全員が私を見て無事を確認し、胸を撫で下ろす。
🩷「柚葉、大丈夫??痛くない、?」
ほぼ半泣きの状態の未渚美が私のところに飛び込んできた。
💛「ほんとに、良かった…。」
綺羅も涙ぐんだ顔で私の手を優しく握ってくれる。
🩵「…みんな、ありがとう。大丈夫。」
私がそう告げると、みんなの表情が少しだけ曇った。
少しの安堵と、胸の奥で密かに残る不安。
まだ安心しきれていないような顔。
すると、美咲が私の頭を優しく撫でた。
桜花も「無理しないでね。」と呟いた。
私は自然と笑みをこぼした。
來亜はまだ怒っているけど、その視線は自然と私を気にかけるものに変わっていた。
そんな中、運営者側の1人が口を開こうとした。
けれど、みんなからの冷たい視線に一瞬で黙り込んだ。
『え、えっと…いや、あの……』
言葉を探しながら口を開け閉めし、周りのスタッフも視線を落として静かになった。
🤍「言い訳する暇があるなら、最初からちゃんとしてよ!!」
そう言って、來亜が前に出て詰め寄った。
一通り落ち着いた頃、美咲が運営側に視線を向けた。
🧡「こんなミス、本当に許されると思ってるんですか?」
『…誠に申し訳ございませんでした。今後は安全確認を徹底して……』
💜「…は?……今後って、笑。今回の件はどうなるんですか?」
謝罪の言葉を遮るように、桜花ぎ呟く。
🩵「まぁまぁ、…私は、大丈夫だから。」
弱々しくも私がそう笑うと、みんなも少しは納得してくれたようだった。
そして美咲が深呼吸をして、話し始めた。
🧡「今回は、…運が悪かったって事にします。柚葉が無事で本当に良かった。」
🧡「でも、次は無いです。」
運営側は頭を下げて「然るべき対応を取ります。」と言い残し、部屋を後にした。
部屋には静かさが戻った。
みんなはまだ少し緊張の名残を残しつつも、私のそばに寄り添っている。
私は胸の奥がじんわり温かくなるのを感じた。
こんなに大事にしてくれる人たちがそばにいてくれることを改めて実感したから。
end.
コメント
1件
一気に引き込まれました……! ライブ本番中の感電事故、あの瞬間の「ビリッ」という表現が本当にリアルで、思わず手が止まりました。そして何より、メンバー一人ひとりの動きや言葉の端々に、日頃の信頼関係がにじみ出ていて、すごく温かい気持ちになりました。美咲さんの運営への冷静な抗議と、最後に「今回は運が悪かった」と引くところも印象的でした。柚葉さんが「大丈夫」と言うたびに、みんなが一瞬曇る表情が切なくて愛しかったです。また続きが読みたい……!
#jpna
ゆ な 𓂃 🖤
32,133
#krpt