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_2人の出会いは、些細なものであった。
ウパパロンは、生まれのおかげで次は皇になることが確定しており、その重圧から逃げるかのように外に出ていた。
河川敷で川をぼんやり眺めているウパパロンに、1人の少女が_話しかけてきたのだ。
「ね、そこでなにしてるのー?」
少し驚いた様子で少女を見る。
「わっ、あなたは?」
「あ、びっくりさせちゃった!?ごめん、私ね、らてっていうの。」
「…えと、私はウパパロン…」
当時、少しだけ他人と話すのが苦手だった。
だがLatteは気にする様子もなく、笑顔で話してくれた。
ウパパロンは少し言葉を詰まらせながら話した。
「…何となく、川、見てたの。」
「みて!きれい…じゃない?」
Latteも流れる川を見ると、目を輝かせた。
「…!うん!すっごくきれい!!」
「えへへ、そうだよね…!」
「となり、すわってもいーい?」
「…!うん!いーよ!!」
_そうして、街という、子供にとっては広すぎる世界を歩くうち、初めて出会ってから、1ヶ月が経った。
2人は公園のベンチで、徐々に差し込んでいく夕陽を眺めていた。
「ウパパロンはそーいえば、こう?ってみぶん?なんだよね?」
「…そう、だよ!」
「うーん、でも…わたしにできるのか、わからなくて…」
「…え〜、ウパパロンはやさしいからさ、できるとおもうよ?」
「…えへ、そうかな…?」
「うんうん!」
夕陽の下で、そう言って笑うLatteは、あまりに儚く思えた。
そうしているうちに、1年ほどが経った。
相も変わらず、ウパパロンはLatteと共に、色んな場所をただ歩いていた。
_それだけでよかった。
_それが、あの頃のささやかな幸せだった。
ウパパロンは、漠然と思っていた。
夕陽の下で笑うLatteが、あまりに儚くてたまらなかった。
そう思ってしまっていた。
_彼女が、いつか消えてしまうのではないか?
そんな、たんぽぽの綿毛みたいな_儚さがあった。
_子供の頃はこの感覚を言語化することは出来なかったが_今ならわかる。
皇であることを知られたりして、いなくなってしまうのではないか?と_思っていたのかもしれない。
___
(…実際、長い間それは…現実だったんだもんね。)
ウパパロンは再会したという実感こそあれど、今は完全に受け止めることは出来なかった。
_嬉しさで、塗りつぶされてしまいそうだから。
あまりにも長かった、きっと10年はろくに会っていなかっただろう
_互いに、まだ小学生だっただろうか。
_第2戦争が、全てを引き裂いたのは。
___
「…っう、げほ…げほ…!」
Latteはふらついていた。
(…お父さんも…お母さんもいない…し)
(…どこ…?やだ、痛いよ…)
(だ、だれか…)
意識が朦朧とする
撃たれたのだ。
_錯乱した男が、こちらを撃ってきた。
「…っう…」
(…だ、ダメだ、喋るのも…できない。)
(どうしよう…?)
(どうし…)
瓦礫に躓くと感覚が狂い、Latteは倒れ込んだ。
(…あぁ、タヒぬ、のかなぁ。)
虹花 ありさ @て い ふ
7,178
うp主
48
#学パロ?
(…)
残酷な青空を、Latteはながめた。
寒い空気がこちらを煽ってくる。
Latteはもうじき、目を閉じてしまいそうであった。
(……あ)
時が経つにつれ、あまり関われなくなっていたウパパロンが、こちらに気が付きすぐに駆け寄ってきた。
もう、何も喋れなかったLatteを見て、涙を流しながら懸命に治療をしていた。
_もう喋る気力も、なかった。
_必死に、大丈夫だと言おうとした、だが声は掠れて、もうじき…なんて考えていた。
だが、そんなLatteの目を見たかと思うと_ウパパロンの身体が震えて、酷く動揺したかのような目を向けてきた。
(…え?)
(…ウパパロン…?なにしてるの?)
ウパパロンは包丁を取り出したかと思うと_
それを、自分の左手首に突き立てたのだ。
(まって、ちがう、違うよ。)
(お願い、止まって…私は)
(だいじょう…)
(ぶ…)
声も出せないまま、嫌な音が鳴り響いた。
肉が残酷にも_切り裂かれる音。
変な形の機械が、血を被ったまま取り出された。
(………???)
(…それ…皇が…)
___
「…!?」
_一瞬、ほんの一瞬の、幻覚だった。
「…ずっと、なんで私が…持ってるのか分かんなかった、けど」
「…そ、そっか。」
「……ウパパロン、が…?」
「そうだよ…。」
「…ずっと怖かった。」
「…Latteに、何か言われるんじゃないかって…」
「嫌いなんじゃ、ないかって……」
Latteは、静かに首を振った。
「…全部思い出した訳じゃない、けどさ。」
「…ここまで何日歩いたと思ってんのさ…」
「1週間は、歩いたんだよ。」
「い、1週間…?」
「そう、1週間。」
「…嫌いな奴のために…ここまですると思う?」
ウパパロンは、恥ずかしそうに…だが嬉しそうに笑った。
「…そっか、そう、だよね。」
Latteも、つられるように笑った。
「そうだよ…嫌いなわけないじゃん…! 」
「…ずっと…謝りたかったよ…」
「なのに…なんにも思い出せないのが、怖かったよ…」
「…でも……」
「…ここまでこれたのが…さ、嬉しくて…たまんないんだよ……!」
ウパパロンは言った。
「…ごめん、ごめん…」
「ずっと会えなくて…ごめん…」
「もういいんだよ…」
2人は、同じタイミングでそう言った。
刹那、少しだけ_時が止まったみたいだった。
互いに少しびっくりした顔をして、不器用に笑った。
_それが、また通じ会えたみたいで、本当に嬉しくてたまらなかった。
なんだか、子供の頃に戻れたみたいで、嬉しかったのだ。
_あぁ、やっと…やっと会えたのだ。
互いの顔を滲ませた涙が、好きや、嫌いだなんて直接言わなくとも_世界一互いを思っていたことを、表してくれた。
_雲が少し晴れ、青空が見えた。
そうして、この冷たくてたまらなかった部屋に、温もりが戻った。
何十年も追い続けてきた影は_そちらから迎えに来てくれたのだ。
割れかけた窓から、雲の隙間をすり抜けてこちらに差し込む陽。
それが、2人にささやかな祝福を贈った。
_そんな気がした。
今はこんなにも_この場所は、あたたかいのだから。