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第40話『受け継がれる炎』
麃公が突撃する。
全てを懸けた最後の一撃。
戦場の音が消える。
誰もが見ていた。
麃公。
そして。
龐煖。
「うおおおおおおおお!!」
麃公が咆哮する。
龐煖も矛を振るう。
ドォォォォォン!!
天地を揺るがす激突。
次の瞬間。
龐煖の胸へ。
麃公の矛が突き刺さった。
「なっ…!」
趙軍が息を呑む。
しかし。
同時に。
龐煖の矛も麃公を貫いていた。
静寂。
誰も声を出せない。
二人が動かない。
やがて。
麃公が笑った。
「ガハ…。」
「やるじゃねぇか。」
龐煖も初めて膝をつく。
胸から血が流れる。
武神が傷を負った。
だが。
麃公の傷は致命傷だった。
なおきりが駆け寄る。
「将軍!!」
信も飛び出す。
麃公は二人を見る。
そして笑う。
「騒ぐな。」
「まだ死んじゃいねぇ。」
誰が見ても限界だった。
それでも麃公は笑う。
「信。」
信が膝をつく。
「はい。」
「お前は強くなる。」
「俺よりも。」
信の目に涙が浮かぶ。
麃公は続ける。
「なおきり。」
なおきりも前へ出る。
「なんや。」
麃公は笑う。
「お前の槍。」
「好きだったぜ。」
なおきりは何も言えない。
麃公は空を見上げる。
戦場。
仲間。
兵士たち。
全てが見える。
「いい戦だった。」
そして。
ゆっくりと目を閉じた。
静寂が流れる。
秦軍最古参の大将軍。
本能の怪物。
麃公はその生涯を終えた。
誰も声を出せない。
すると。
突然。
龐煖が立ち上がる。
重傷を負いながら。
なおきりたちを見る。
そして初めて言葉を発した。
「なぜだ。」
「なぜ人はそこまで他者のために戦う。」
誰も答えない。
だが。
信が前へ出た。
「仲間だからだ。」
なおきりも並ぶ。
「家族みたいなもんや。」
龐煖は沈黙する。
理解できない。
だが。
その答えが。
自分にないものだということだけは分かった。
やがて。
遠くから再び撤退の角笛が鳴る。
ブオォォォォォ!!
李牧軍が離脱を始める。
龐煖も振り返る。
そして。
最後に信となおきりを見つめた。
「また会おう。」
そう言い残し。
武神は趙軍と共に去っていった。
合従軍。
その敗北は決定した。
しかし。
麃公という一つの大きな炎が消えた代わりに。
信。
なおきり。
そして虹桃軍団の胸に。
新たな炎が受け継がれたのだった…。
コメント
1件
うわ…、泣いた。 麃公将軍が笑いながら「まだ死んじゃいねぇ」って言うとこ、もう無理だった。最後まで将軍のまま、なおきりの槍を「好きだったぜ」って言い残すの、胸に刺さるよ…。 それで龐煖が「なぜ人は他者のために戦う」って聞くシーン、信が「仲間だからだ」って答えたの、本当にその言葉が重かった。引き継がれた炎、ちゃんと見届けたよ。 カッコよすぎるよ…🍙さんの描くキャラ、死に際まで美しいんだね🥀
#リゼロ
すず
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