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夢花𓂃𓂂ꕤ*.゚
3,633
3話!いっくよぉー!!!
放課後の校庭。
夕日が長い影を落とし、空はオレンジと紫に染まっている。
翔太はいつものように、無言で校門をくぐる。
灰色の世界に慣れたはずの彼の心は、少しだけ落ち着かない。
その理由は、もちろん――阿部が今日は先に来ていたからだった。
「おい、遅いじゃん」
阿部は笑顔で手を振る。
でもその目には、ほんの少しだけ心配が混じっていた。
「……別に、遅くはない」
翔太はつい口を尖らせる。
ツン、とした口調は変わらないけれど、どこか心臓が早くなるのを感じていた。
「じゃあ、一緒に帰るか」
阿部はそう言いながら、校庭の小道へ歩き出す。
翔太は仕方なくついて行く格好になった。
でも、その途中で――
校庭の小さな段差に足を取られ、翔太はバランスを崩してしまう。
「うわっ!」
必死で手を伸ばすが、次の瞬間、阿部が反射的に腕を伸ばした。
「っ…!」
翔太は、予想外に近い距離で阿部に支えられた。
その瞬間、二人の体温が重なり、心臓が跳ねる。
「……大丈夫か?」
阿部の声は、いつもより少し低く、真剣だった。
「……あ、ああ」
ツンとした口調を維持しようとする翔太。
でも胸の奥が熱く、手のひらまでじんわり温かい。
夕日が二人を包む。
校庭の影が二人の間に伸びる。
灰色だった世界に、ほんの少し色が差し込む――
翔太は、それが阿部の存在のせいだと、ようやく自覚した。
「ありがとう……」
小さな声が漏れる。
「別に、気にしてない」
阿部は少し照れくさそうに笑った。
二人きりになった時間は、まるで世界が止まったように静かで、
でも心は互いに近づいていた。
「なあ、翔太」
阿部がふいに言う。
「……何?」
翔太は少し戸惑う。
「俺、君の光になりたい」
翔太は目を見開く。
「……光?」
阿部は頷き、そっと手を差し出した。
触れることなく、手の気配だけで、翔太の心を揺らす。
「……わかった」
翔太は小さく息をつき、心の中で決めた。
灰色の世界でも、阿部の光を受け止める――
そして、もう一度、色を取り戻すことを。
夕日が沈む前に、二人の距離は確かに縮まった。
灰色の世界に、初めて二人だけの光が生まれた瞬間――
それは小さくても、確かな希望だった。
🌙 × 💙
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