2話目ですっ!
今回は早速不穏です!不穏です!
西村ケヤキ(17)
女子高校生。みんなから好かれている。
|ケヤキmain
この時期の風は生暖かくて、
ちょっと苦手だ。
テニス部の助っ人を頼まれたり、同級生から
遊ぼうと誘いを受けたが、
私は全部”いい感じ”に断って今1年生の階の
廊下を歩いている。
1-8……あ、あった。頻繁に来ているのにすぐ
忘れてしまう。
「おーい」
私がいつもの調子で呼びかけると
「「「ケヤキ先輩!!」」」
と後輩が応えてくれる。
私は軽く挨拶し、後輩たちと廊下に出た。
「んで、なんの話してたの?」
「放課後の話っす、
ゲーセンかカラオケ行こうって」
サカキくんが答える。
「ゲーセン!ゲーセンでいいですよね?!」
クヌギくんは今日も元気いっぱいだなぁ。
「先輩、今日はパン争奪戦勝てました?」
「うん!ばっちり」
シオンちゃんの問いかけにOKマークで返す。
「私もゲーセン行きたい!連れてってよ」
「じゃあ決まりだな」
私は同級生たちよりも後輩たちといるのが
好きだ。
特にクヌギくん。
4月にあった交流会で一緒の班になったから
だろうか。
よく私に懐いている。
そして私もクヌギくんは好きだ。
彼を見てると元気をもらえる。
やっぱり彼氏を作るのなら、年下がいいな。
ゲーセンはあまり混んでなくて、みんなで
プリクラを撮ったり、
ぬいぐるみを取ろうと奮闘したりと、
いつも通り楽しんだ。
「先輩さよならー!」
「声でけぇよ」
クヌギくんがぶんぶんと手を降って、
サカキくんがすかさずツッコミを入れた。
2人は本当に仲良しだなー。
シオンちゃんも最後まで
ウサギのぬいぐるみを取ろうと
頑張っていたけど、諦めたのか店から
出てきて私に挨拶をしてから
サカキくんたちに小走りでついていった。
「お前ホント先輩のこと好きよなー、
告ってみれば?」
ちょっとサカキくん。聞こえてるんだけど。
「なにそれ、私も気になる 」
シオンちゃんまで。
「いやそんなんじゃねーし、
先輩は気が合うし、ホント色々助かるって
だけの、あくまで”先輩”なんだよ 」
クヌギくんは笑って答えた。ふーん。
ちょっとその言い方は酷くない?
やがて声は聞こえなくなっていって、
私は少しいじけたまま帰り道を歩いた。
マンションの二階。私の家の前に着いた。
鉄製の黒い扉が私の顔を反射する。
……なんだこの顔。
いつもみたいに笑えなくて。
眉間にシワが寄ってて。
正直とても不細工だ。
さっきのクヌギくんの言葉が、
頭に大きな鐘が鳴ったように響いて_。
胃からなにかが込み上げてくる感覚がして、
扉を強く開いて家に入り、すぐさまトイレに
駆け込んだ。
「………………」
出ない。喉のあたりがぐるぐるしている。
仕方なく私はトイレから出て、
制服をハンガーに掛けて、テレビをつけた。
火事や交通事故の報道が聞こえてくるが、
私は下着姿のままボーッとしていた。
「私、クヌギくんのことが
好きなのかもしれない。」
誰もいない部屋でぽつりと呟いた。
|クヌギmain
サカキとシオンと別れたあと、
なんだか体が気怠い気がして
すぐ家に帰った。
玄関のドアを閉めて、
居間に出るとオレはすぐ気がついた。
「また倒れてる。」
そう呟いて棚にそっと戻した。
足場が悪いな。
なにか改善できるものがあればいいけど。
そうしてふと目が合って、
オレは立て直した母の遺影を見つめた。
今までに何万回も言ったであろう言葉が
頭の中に浮かんでくる。
痩せこけた姿でも毎日働きに出た母。
家に連れてきた男に酒瓶を投げられて、
顔の半分がトイレットペーパーで
ぐるぐる巻きになっていた母。
夜はオレを寒い中ベランダに出すも、
朝になればケロッとした様子で
迎え入れてくれた母。
そんな母がトラックとの衝突事故で呆気なく
死んでしまうなんて思わなかった。
葬式の後、 祖父母に「家に来ないか」と言われ
たけれど、なんとなく行きたくなかった。
体がふわふわ浮いてる感覚がする。
熱を計ってみたら微熱だった。
とりあえず眠かったし、
着替えてご飯は食べずに眠ることにした。
展開が鬼速いですね。
まあ「( ◉¸◉)ホーン」という 顔で見てくれると
嬉しいです。
また次回!
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