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#恋愛
#長編
シズクと出会った瞬間、欠けてズタボロになって壊れていた心に温もりが芽生えた。ずっと望んでいた、世界で誰よりも大切で、彼女がいて、始めて生きていると実感する。
大事にしたい。
傍に居たい。
叶うことなら──。
そう思いながら理性で全ての感情を抑え込む。あれだけの罪を重ねておきながら、傍に居てくれ?
一緒になりたい?
叶うのなら、何を願うというのか。
あまりにも浅ましく、身勝手で、罪深い。シズクは『怖い夢』ということで、少しずつトラウマを話してくれた。その内容はあまりにも酷く、一つ知る度に心臓を貫かれたような痛みが走った。
(あれだけ傍に居ながら、どうして──)
何度、後悔しただろう。
何度、浮かれた自分を呪ったか。
出会った《片翼》に浮かれて、舞い上がっていた。それこそ海竜魚族の王族と同じように、周囲も手放しで祝福してくれていると本気で思っていたのだ。
本当はもっと一緒に居たい。昼も会って話をしたいし、食事だって一緒に食べたい。
ずっと一緒にいたい。離れたくない。
でも魔力炉を早く形成しないと、彼女が呪いで死ぬと言われて必死だった。
医師も術者も全員がグルだなんて、気づかなかった。
死んでほしくない、生きていてほしい。特別な呪いだと教えてくれた幼馴染と、弟の言葉を信じて彼女との会話する機会を自分で潰していた。
蓋を開けてみれば呪いなどなく、毒を盛っていた張本人の言葉を信じるなど、本当に愚かだ。
シズクは、前世を覚えているのだろうか。
いや覚えていても、覚えていなくても私のしたことは、罪は消えない。だから「伴侶になりたい」なんて口が裂けても言えない。けれど気づけば好きだという気持ちが抑えられず、言葉にしてしまう。
本当はずっと一緒に居たい。
シズクの特別になりたい。
時々幼いシズクが大人の女性に見える時がある。幻覚かもしれないけれど、その姿を見る度に愛したい、愛されたいと願ってしまう。
(本当に、愚かだ……)
シズクに三百六十年前のことを打ち明ければ、この生活は瓦解する。一緒に居る時間を僅かでも引き延ばせるのなら、それでもいい。
それ以上望むべきではない。
望む資格などないのだ。
シズクが十六歳になって私の元を去ったら、追いかけずに彼女の幸せを遠くで見届けて──それから自分の幕を下ろそう。
それが私にできる唯一の贖罪なのだから。