俺はついてない。最悪の人生だ。
糞みたいな親、糞から生まれた塵。
俺は何度も死のうかと考えた。
でも俺より辛い思いをしている人は何人もいる。
だから、俺がこれくらいでへばってたら怒られてしまう。
「でも、もう限界なんだ…」
俺は1人で木にもたれかかった。
「お前は、どんな暴風が吹こうが大雨が降ろうが、必死に耐えて生きている。凄いよ、お前は」
俺はしっかりと根を張っている立派な木のようになりたかった。
木に切り傷がついている。お前も小さいとき誰かにいじめられたのだろう。それでも今は立派な木となっている。
「すごいなぁ」
俺はお前のようにはなれない。お前はすごいよ。
俺は気づいた。
なぜ俺はあいつを恐怖対象としていなかった?
監禁されてぐちゃぐちゃにされて酷い扱いをされていた。なのになぜ?
俺はどうなってしまったのだ?
『お兄さん、大丈夫?』
俺の横には鬼がいる。しかし俺は何も感じない。
「お前は、俺をどうしたいのだ?」
それだけ聞いて死のう。
『…、』
何か言いたげな顔だ。
『お兄さん、辛かったね』
「は?」
何を言っているのだ、鬼は。
「理由を聞いてる」
『辛かったね、大丈夫』
俺は意味がわからなかった。
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神作品★★★