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何故、花は散ってしまうのか…。
嗚呼どうか散ってしまわないで。
僕を置いていかないで。
「あなたは辛くはないのですか…。」
重たい沈黙。こんなことを言うつもりは無かった。いつも通り、挨拶をして、そのままマニュアル通りのことだけしていれば良かったんだ。すぐにこの言葉を取り消さなくては…、こんなことを言ったところで、僕が彼女にしてあげられることなんて1つも無いのだから…。
「失礼しまし………」
「辛くは無いですよ。」
「…え………。」
彼女は僕の言葉を遮るようにそう言うと、儚げに笑った。
「何を言われても、どんな目で見られても、それが真実であっても、嘘であっても、私が気にすることではありません。以前の私は、記憶の無い私にとっては他人のようなモノですから。これから何があるのかは分かりませんが、それが『巫女』としての役目と言うのであれば、私は受け入れましょう。」
彼女はそれが当たり前であるようにそう言った。僕はその後、「そうですか。」と言ってから、用事があると言って彼女の部屋を出ていった。実際用事などはなく、ただこれ以上、彼女の側にいたくなかった。彼女の側にいると、辛くてしょうがない。
諦めきれていないのは、僕じゃないか。
そうだ…、辛いのは彼女が死ぬのがかわいそうだからじゃない。僕が彼女に死んでほしくないだけなんだ。ああ、そうか…。
彼女が死んだら、きっと僕もすぐに消える。でも、違ったら?僕は心の何処かで彼女と同じところであると勝手に思い込んでいた。でもそうじゃなかったら?
そう、これはただのエゴの押しつけだ。
それでも一緒に生きて欲しい…、一緒に逃げてほしい、なんて我儘だろうか。