岩本のおかげでなんとかパニックの淵から戻ってきた康二だったが、体はまだ小刻みに震えていた。 その時、それまで黙って様子を見ていた渡辺翔太が、ついに耐えきれないといった様子で口を開いた。
💙おい、お前さ…
渡辺は康二のそばにしゃがみ込むと、その青白い顔をじっと見つめる。
そして、彼の視線はゆっくりと下がり…康二がパーカーの上から必死に押さえている腹部で、ピタリと止まった。
パーカーの裾が少しだけめくれ、そこから覗くTシャツに、不自然な黒っぽい染みが滲んでいる。
血だ。
💙…これ…
渡辺が、その染みを指差す。
その瞬間、康二の顔からサッと血の気が引いた。
🧡いや!いややぁ!!見ないで!!お願いやめて!!
康二は絶叫し、必死にパーカーの裾を押さえる。バレたくない。これだけは。この最後の惨めな証拠だけは、絶対に見られたくない。
しかし、渡辺は康二の抵抗を無視した。いや、彼なりに真実を確かめなければいけないという焦りで、周りが見えなくなっていたのだ。
💙いいから見せろ!
弱った康二の体では、渡辺の力に敵うはずもなかった。
強引にパーカーとTシャツを捲り上げられ、隠し続けていたものが、ついに8人の目に晒される。
そこにあったのは、カッターでつけられた生々しい切り傷と、その周りに無数に広がる、黒紫色の醜い痣だった。
素人が手当てしたせいで、傷口はちゃんと塞がっておらず、じくじくと血が滲んでいる。
それは、誰が見ても明らかに、悪意のある暴力によってつけられた傷だった。
楽屋が、再び静まり返った。
だが、さっきまでの心配そうな静けさとは違う。空気が凍りつくような、冷たい、重い沈黙。
渡辺は、その傷口を見たまま、震える声で呟いた。
💙お前…これ…なんで、隠した…?
その問いに、康二はもう抵抗する気力もなく、ただ壊れたおもちゃのように繰り返すことしかできなかった。
🧡ごめ、ごめんなさい…!ゆるして…!
💜おい翔太…!もうやめろ!
ようやく、深澤が叫ぶように渡辺を止めた。
渡辺はハッと我に返り、自分がしてしまったことに気づいて、そっと康二の服を元に戻す。
だが、もう遅かった。
メンバー全員が、その惨状を目に焼き付けてしまった。大切な仲間の体に刻まれた、暴力の痕跡。
それを彼はたった一人で隠し、耐えていたのだ。
ラウールが、静かに涙を流し始めた。
佐久間が、わなわなと拳を握りしめている。
宮舘の瞳からは、いつもの優雅な光が消え、冷たい怒りが宿っていた。
阿部は、唇を噛み締め、俯いている。
そして、岩本と目黒の目には。
静かな、しかしはっきりと形になった、『殺意』が湧いていた。
コメント
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こーじ大丈夫だよね? 幸せなスノーマンが一番なのに! 続き楽しみにしてます!!!!

メンバーの怒りがこみ上げてくる。康二くんが幸せになりますように。続き楽しみにしてます。
また康二の幸せな笑顔を見れるようにメンバー頼むよぉ!!!