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「ハァッ……ハァッ……!」



あたしの顔の横に包丁が深々と突き刺さっている。恐怖で頭が真っ白になるような感覚を覚えた。



なぜ避けることができたんだろうとか考える余裕はない。



死を目前にして火事場の馬鹿(ばか)力がでたのだろう。



あたしは無我夢中(むがむちゅう)でうさっちを突きとばし、四つんばいで階段を這(は)い上がった。



痛みなんて思考の外だった。



「っ助けて……!」



迫(せま)りくる死から逃れようと必死に手足を動かす。



階段を上ってすぐ近くにある自室に逃げこみ、急いでドアをしめた。



うさっちが入ってこないようドアに背をあずける。



「ハァ……ハァ……」



とりあえず安全な場所に避難(ひなん)できて、身体から力が抜けていく。それと同時に麻痺(まひ)していた痛みもよみがえった。頭部の激しい痛みに手をやるとぬめりとした感触がする。



「う……」



強打したせいか血が出ているようだ。

こんな状況でケガをするだなんて最悪だ。死ななかっただけマシだけど。



「そうだ……明澄は……」



どこに行ったんだろう。

もし合流できたら……。



そこであたしは顔を陰らせる。



たぶん恐怖がキャパオーバーを起こしたんだと思うから、突き落とされたことはしかたないと割り切れる。明澄をむりに参加させたあたしの自業自得だ。



だけど、いくら怖くても友達を見捨てるなんてひどいよ。



「とにかく合流しないと……」



合流したとしてもすべてはふたりかくれんぼを終わらせてからだ。怒るのも問い詰めるのも今やることじゃない。



もう少し休んでから動こうかと、痛みに顔を歪めながら軽く足を上下させていると。



「……?」



暗闇にポツリと浮かぶ光。

暗順応した目ではそれはあたしのスマホの光だということがわかった。



「ウンともスンともいわなかったのに……」



ひとりでに現れた光は少しぶきみだ。勝手に電源が入るだなんて気持ち悪い。



でも明澄はスマホを持っているから連絡が取れるかもと、あたしはゆっくりとスマホへ近づいていった。ドアへの警戒も忘れない。



光をのぞくと、画面には明澄からのLINEの通知が来ていた。

なんとなくいつものクセでロックを解除し、LINEを開いた。

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