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23
「翔太、ありがとう」
「……………ん」
自身を引き抜き、体重をかけないように注意しながら上から覆い被さり、頬にキスを落とすと、翔太の弱々しい小さな声が耳元へと聞こえてきた。
俺は堪らなくなって翔太を抱きしめる。
なんだか、すごく離れがたい。
「る、ひかる……」
囁くような小さな声の中に、甘さ以外が含まれているような気がして、翔太の顔を見た。 目の縁が少し赤くなっていて、うっすらとついた涙の跡にその時初めて気がつく。
「……んっ」
思わずぺろりと頬を舐めると、翔太が少し嫌そうなそぶりを見せた。
「はなれろ、ひかる」
「……ごめん」
今度は横並びに寝転び、身体を翔太の方へと向けた。
しかし、翔太はそのままくるりと背中を向けてしまう。
まばゆく輝く色白な背中が拒絶するように今、俺の目の前にある。
諦めきれず、腫れ物みたいに後ろから翔太を抱きしめた。
…今度は拒絶されなくてほっと胸を撫で下ろす。
「やだった…?」
「やじゃない、けど…」
「うん?」
「まともに顔見れない」
「どうして…?」
「なんか、照れくさい」
「あー、ね」
翔太は照れ屋だから、甘い雰囲気が苦手なのだろう。それでもぽつぽつと、背中越しに自分の想いを伝えてくれた。
「さっき、の、ことは」
「うん」
「おれも、その、のぞんでしたことだし」
「……うん」
「やっぱり、ひかるのこと、好きだし」
「っ!!俺も……っ…」
愛おしさに我慢できずに腕に力を込めれば、慌てたような声を上げて、翔太が振り向く。堪らず勢い任せに口付けをし、無抵抗な唇に舌を割り入れ、しばらく濃厚なキスが続いた。
「んふっ、あっ、ひか…」
「好きだよ翔太。俺も愛してる、大好き」
「ふっ、ぁ、んぅ……」
驚いて固まっていた身体が、徐々に弛緩していき、瞳を閉じる。口内をひとしきり味わった後で口を離すと、とろけた瞳がまた開かれて、俺を見上げるその可愛らしさに笑みがこぼれた。弱々しい拳が、俺の胸を叩く。
「ちょっとは、ふつうに、話、させろ」
「………ごめん」
「照、嬉しいか?俺とこうなれて」
「そりゃあもう。最高に嬉しいよ、夢みたいだ」
「………そっか。そんなら、よかった」
ふわぁ、と今度は翔太が笑う。
優しく、美しいその笑顔に、胸がぎゅっと締め付けられるような愛おしさを感じた。
翔太のことはもともと大好きだけど、付き合いだしてから堪らない瞬間が幾度もあって、その度にさらにのめり込んでいくような感覚に陥る。
ほんの数分前まで、初めて繋がっていた俺たち。
翔太は、男に抱かれる経験がなかったから、初めはかなり緊張していたけど、どうにかこうにか事を終えた。俺だって男を抱くのは初めてだった。それでも翔太の側の肉体の負担は、想像に余りある。
俺は、翔太とこうなれたことが嬉しくて、夢みたいで、逸る自分を抑え込むことに苦労しながら、いつもより大分もたずに終えてしまった。もうなんだか、胸がいっぱいだった。とんでもない幸福感に満たされていた。
「ひかる、おれも、嬉しかったよ」
柔らかい笑顔のままに、弱々しく教えてくれた翔太は、言った後で少し後悔したらしく、両手で自分の顔を覆った。
「恥ずかしい……」
「なにそれ。超可愛い」
「可愛くないもん」
「可愛いよ」
顔を覆った小さな手の甲にキスを落とせば、ぴくり、と手が反応した。指の隙間から目が合う。くすくすと笑う俺に、やがて諦めたように、可愛い顔を見せてくれた。
「照」
「うん」
「浮気とかしたら、ぶっ殺すぞ」
「はは。絶対にしないよ」
「そんなら、いいけど」
「あ。翔太もしないでね?」
「……どうしよっかなー笑」
「翔太!」
「んふふ。俺に嫌われないよう、せいぜい努力しろ」
軽口を言い返す翔太の声に、いつもの力強さがない気がして、気になって覗き込む。翔太はあんまりジロジロ見るな、とひとつ憎まれ口を叩いた後で、言いにくそうに言った。
「なんだか身体が痛いし、腰も怠い」
「あっ、そうか。気づいてあげられなくてごめん」
「………ん」
よく見ると、また目が潤んでいる。
男相手の性交を強いた身体が、大分ダメージを受けているようだった。よく見ると顔色も悪い。
「どうする?お風呂行けそう?運ぼうか?」
「すぐには無理そう……少し寝てもいい?」
ゴムをつけてしたから、すぐにどうこうはないはずだ。俺は翔太の柔らかな髪を撫でた。
「いいよ。少し休みな」
「ひかる」
「ん?」
「あの」
「うん」
「寝てる間、抱きしめてても、いいぞ」
語尾は殆ど聞こえなかった。それでも精一杯甘えてくれたことがわかるから、俺は何も言わずに愛しい翔太を抱きしめた。
「……こうされてると、なんだかちょっと安心する」
「よかった」
翔太の耳が赤い。俺はさらに翔太が愛おしくなったけど、何も言わずに黙っていた。
……どれぐらいこうしていただろう。
よっぽど疲れていたのか、そんなに経たない間に、翔太は規則的に寝息を立て始めた。
こうして守るべき存在が身近にできたことに喜びを感じる。
俺たちが付き合ったのは少し前だけど、身体を繋げたことでより強固に結びついた気がする。
翔太の形のいい小さな頭を撫でながら、愛おしさに胸がいっぱいになっているうちに、いつのまにか俺の瞼も重くなり、重なるように二人で眠った。
コメント
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事後かぁ〜 こんなに大事に書いた事ないなぁ🤔 勉強に、なりました✨
わああ素敵...!!お互いを大切にしながら愛し合う2人が大好きなんです🥹 私は当たり前に刺さりましたよ〜!笑 まきぴよさんのいわなべ大好きです!
ふふふふふ🤭🤭🤭🤭🤭💛💙