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「事前に少し調べたけど、駅の近くにも勿論店があるけど、平和記念公園の中間ぐらいに、お好み村ってあるんだって」
「へえ……。私に侵略されるために、あるような村じゃないですか」
真顔で言ったからか、尊さんは「ぶふっ」と噴き出す。
「魔王アカリンが通ったあとは、麺一本残らない……」
「ふひひひひ」
「そこ、行ってみるか?」
「はい! 平和記念公園が近くにあるなら行ってみたいけど、もう夜ですしね……。昼間に行きたいからまた後日にでも」
宮本さんとは明日話す予定だ。
彼女は呉市に住んでいるらしいけど、私たちに合わせて広島市まで来てくれるそうだ。
話す時は宮本さん一人だけど、ご家族も一緒に来るらしい。
多分、旦那さんも彼女を心配しているだろうし、宮本さん自身も今の自分の家族を見せて「幸せだよ」って伝えたいんだと思う。
「じゃあ、ちょっと寝ます」
「ん、一応一時間でアラーム掛けておくな」
「あい」
そのあと私たちは黙ってベッドの上に横になり、夜みたいにすぐ眠たくならないけど、一時間ゆっくりする事によって、次の行動への気力、体力を回復させた。
**
広島市の中心部は八丁堀と言って広島駅からは少し離れているそうだ。
私たちは広島電鉄という路面電車に乗り、中心部に向かう。
途中で二つ橋を渡った時の川は猿猴川と京橋川というらしく、もともと一本の京橋川から二股に分かれた川らしい。
駅前には猿猴川がどんとあって大きな橋が架かっているので、地下にある通路を通って地上に出て歩く……なんてルートもあるみたいだ。
「道路、広いですね」
外を見てお上りさんみたいな感想を漏らしてしまったけれど、尊さんも広島市の街並みを物珍しそうに眺めている。
「そうだな」
やがて八丁堀駅まで着いた私たちは、路面電車から下りる。
「わぁ……、凄い」
東京にいても勿論高層ビルはあるけど、広い道路を囲むビルたちを見ると、旅行に来たぞという気持ちになってドキドキする。
「村はこっちらしい」
スマホのマップを見た尊さんは、横断歩道を渡って左手側に歩き始め、私は周囲をキョロキョロしながらついていく。
ビルの一階にヴィトンが入っている横はアーケードになっていて、そこを抜けるとパルコがある。
その側に、アーチの上にでかでかと〝お好み村〟と毛筆ロゴのネオンが光っている村の入り口があり、人々が大勢ひしめいていた。
提灯もズラッと高く並んでいて格好いい!
「尊さん、尊さん、記念写真」
「ん」
私は自撮り棒にスマホをセットし、お好み村を背景に記念写真を撮る。
「よしっ」
写真を確認したあと、私はスマホをしまって自撮り棒を折りたたみ、元気いっぱいに言う。
「村だ! 食い尽くしましょう!」
いい匂いを嗅いで鼻をスンスンさせつつ言うと、尊さんは「マジで魔王だ」と笑い崩れる。
「イチオシのお店とかあります?」
「俺も詳しくないんだけどなぁ……。『あとむ』って店が良さそうだから、行ってみるか」
「はい!」
その後、ビルの四階にあるお店に行くと、人気店らしく行列があったので大人しく並ぶ。
黄色い暖簾には『あとむ』と書かれてあり、順番になってから私たちは鉄板に面したカウンター席に座った。
メニューを見てソワソワしつつ迷うも、尊さんはドヤ顔で言う。
「俺は富豪だからスペシャルをいく」
彼は一番高い、色々入っているやつを頼むらしく、私は「おお……」とうめく。
「私も同じの! ……に、お餅とチーズトッピングしていいですか?」
「よきにはからえ」
さらに私たちはシェアするとんぺい焼き、鉄板焼き部門ではタン、豚トロ、牡蠣のバター焼き、飲み物は尊さんはビール、私は梅酒サワーを頼んだ。
コメント
1件
魔王アカリン、お好み村へ襲撃🍴!😁www お好み焼き、良いなぁ〜美味しそう🤤💕💕今のうちにお腹いっぱい食べて、寛いでね…😆🍴👍