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「君が双剣使いのジス?」
旅の途中で寄ったさして大きくもない町で俺は不思議な少年に出会った
どこか異質な空気をまとった彼に呼ばれて振り返る
するとそこには綺麗な少年がいた
一番に目に入るまるっこいつり目の瞳は赤く鼻梁も整っている
しかしそれ以上の異質さが彼にはあった
彼は常にかすかにスキルを使っているのだ
弱く内側から漏れでる様なスキルの使用だったがそれは鮮烈な意思を訴えていた
それは少しピリピリするような拒絶
「あー···ちがった?」
呆気にとられて黙ってしまっていると 彼の質問に答えていなかったため彼は首をかしげて聞いてくる
「あっいや俺だけど」
「なら良かった」
ここで俺は再び違和感を感じた
彼の感情が全く分からない
口元まで隠れそうな上着のせいではない
感情を隠しているやつでも普通はもっと感情の機微を感じられるはずなのだが彼は···感情が無い?
と、そこまで考えて俺はすぐ彼の内情を探りたくなる思考を断ち切った
「それで、俺に何か用か? 」
俺が先を促すと彼は再び口を開いた
「俺と、旅をしてくれない?」
唐突な誘いに思わず固まる
「··· なんで?」
彼とは顔見知りでもないし、まあ俺はそれなりに戦えるが、それでも理由が分からなかった
「んー。この町の人にジスっていう腕利きの双剣使いが旅して来てるって聞いて。戦闘の場面ではおれは奇襲とか不意打ちに弱いから」
淡々としている彼はそこまで言って少し良いよどむ
「···あと、何かが違ったんだ。他の人と」
彼はぎこちなく口角をあげる
微笑んだつもりなのだろう
俺はそのぎこちない笑みに強く惹かれた
ほっとけない、といった感情だろうか
先ほど思ったとおりあからさまに寂しそうだとかそうゆう感情が見えるわけではない
でも彼の拒絶の意思が見えるスキルもあってか彼の事を知りたいと思った
「どうかな」
「···わかった。じゃあその旅に同行されてもらう」
俺がそういうと彼はかすかに安堵したように見えた
感情がないわけではないのだろうか
「良かった。」
「そういえば名前は?」
彼を見ていてまだ名前を聞いていないなと思い至る
「そっか、まだ名乗ってなかったね。俺はサク。よろしくね。ジス」
「よろしく。サク」
俺はこうして彼、 もといサクと出会った