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※特殊要素的なのあるよ
課題、まだ終わんねぇのか。
リビングの机に広げたノートを睨みつけながら、シャーペンを回す。五線譜に並ぶ音符はさっきから大して進んでいない。集中できていない原因は、確実に部屋の奥にいるあいつのせいだった。
(……あいつ、腰、痛めてねぇかな)
昨夜の熱が、まだ肌の裏側に残っているような気がする。思い出すだけで、首の後ろがじわじわと熱くなった。何回も名前を呼ばれて、そのたびに強く抱きしめた。いつもは冷静な冬弥が、オレの腕の中でだけ見せる蕩けた顔。思い出すのは、さすがに反則だ。
進まない作曲を諦めて、背もたれに体重を預ける。静まり返った部屋の向こう、冬弥の自室の扉を見つめた。あいつは真面目だから、今も机に向かって黙々とペンを動かしているはずだ。だけど、一晩中オレに付き合わせたせいで、絶対に疲れている。
気がつけば、椅子から立ち上がっていた。
「冬弥、入るぞ」
声をかけながら、ゆっくりとドアを開ける。案の目、机に向かって参考書を開いていた冬弥が、驚いたようにこちらを振り返った。少しだけ眠そうに細められた目が、オレの姿を捉える。
その少し赤くなった目元を見た瞬間、愛おしさが一気に込み上げてきた。
オレは迷わずあいつの傍まで歩み寄り、椅子の後ろからそっと手を伸ばした。まずは、少し癖のある柔らかな髪に触れる。そのまま、ゆっくりと頭を撫でてやった。
「おまえ、根詰めすぎ。少しは休憩しろよ」
手のひらから伝わる冬弥の体温が心地いい。オレの手の動きに合わせて、冬弥の口元が自然と緩んでいく。嬉しそうに目を細めて笑うその顔は、いつ見ても、男のオレから見ても、本気で可愛いと思ってしまう。
頭から滑らせた手を、今度は少し冷えた頬へと移動させた。親指で優しくそこを撫でると、冬弥はさらに表情を和らげて、オレの手に自分の頬を預けてきた。
(……あ、ダメだ。これ以上可愛くされんのは、普通に耐えられねぇ)
昨夜の余韻が残る身体が、また勝手に熱を帯びていくのが分かった。だけど、今は課題の邪魔をするわけにはいかない。
オレは繋ぎ止めるように、もう一度だけ冬弥の頬を指先で愛おしそうに撫でた。
「…ん……、…彰人」
「……なんだよ」
頬に添えた手に少しだけ力を込めると、冬弥がさらに身を委ねてくる。吐き出された吐息がオレの肌をかすめて、昨夜の記憶をいとも簡単に引きずり出してきた。おまえがそんな風に甘えた声を出すから、ただでさえ低くなっている理性の壁が今にも崩れそうだ。
(オレの名前、そんな声で呼ぶなよ。我慢できなくなるだろ……)
本当は今すぐその椅子ごと身体を反転させて、オレの膝の上に引き上げたい。そのまま、まだ少し赤いおまえの唇を塞いでしまいたかった。だけど、机の上に広げられたままの課題のノートが目に入り、なんとか踏みとどまる。
オレは溜息を飲み込みながら、親指の腹で冬弥の柔らかい頬を何度も優しく撫でた。
「集中切らしちまったのはオレだけどさ。そんな顔でオレを見んのは、マジで反則」
少し低くなってしまった声を隠すように、ふっと笑ってみせる。おまえは自覚がないんだろうけど、その無防備な笑顔も、掠れた声でオレを呼ぶ癖も、全部オレを狂わせるには十分すぎる。
「休憩にするか? 温かいもんでも淹れてきてやるよ」
撫でていた手を少しだけ上にずらし、今度はおまえの額にかかる前髪を指先で優しく払った。
「…ううん、彰人が来てくれたから、大丈夫だ」
おまえの口から出た言葉の意味を頭の中で反芻して、すぐに顔が熱くなるのが分かった。オレが部屋に来ただけで満足したみたいに、またそうやって嬉しそうに笑う。おまえのそういう、真っ直ぐで嘘のない言葉は、いつだってオレの胸の奥を激しく揺さぶる。
(……ほんと、おまえには敵わねぇわ)
椅子の背もたれに少しだけ体重をかけて、冬弥の頭をもう一度、今度はさっきよりも乱暴に、だけど愛しさを込めてガシガシと撫で回した。髪が少し跳ねて、おまえが困ったように眉を寄せる。その顔すらも、今のオレには愛おしくて仕方がなかった。
そのまま手を滑らせて、細い首筋から鎖骨のあたりに指先を這わせる。服の隙間から覗く肌には、昨夜オレが残した痕がまだうっすらと赤く残っていた。
それを見つけた瞬間、喉の奥がカッと熱くなる。
「おまえさ、そういうこと無自覚に言うの、本当にやめろ」
少しだけ声を低くして、わざとおまえの耳元に顔を近づけて囁く。
「大丈夫なのはおまえだけだろ。オレは全然、大丈夫じゃなくなってきたんだけど」
そっと手を移動させて、冬弥の細い肩を後ろから抱きすくめるように力を込めた。おまえの身体から香る、いつものシャンプーの匂いと、微かに残る昨夜の熱が、オレの理性をじわじわと削り取っていく。
「あ…そうだ、神代先輩から、誕生日プレゼントが渡せていなかった、と伝言を貰ったんだ。今、渡してもいいか?」
(神代センパイから……?)
冬弥の口から出た突拍子もない名前に、せっかく甘い空気になりかけていた脳みそが、一瞬で現実に引き戻された。あの変人天才演出家の顔が浮かんで、思わず顔をしかめてしまう。誕生日なんて、もうとっくに過ぎてんじゃねぇか。
(つーか、なんで冬弥経由なんだよ。嫌な予感しかしねぇ……)
あのセンパイが用意するプレゼントだ。まともなものであるはずがない。また変な仕掛けがついてる機械か、あるいは爆発でもするんじゃないかと、警戒心が跳ね上がる。渡せていなかったってことは、ずっと温めてたってことだろ。余計に恐ろしい。
抱きすくめていた腕の力を少しだけ緩めて、冬弥の顔を覗き込んだ。おまえは純粋だから、あのセンパイのことも真っ直ぐ信じ切ってるんだろうけど、オレはそうはいかない。
「今渡してもいいかって……。おまえ、それ今持ってるわけ?」
冬弥が机の引き出しに手を伸ばそうとするのを見て、オレは思わずその手の上から自分の手を重ねて止めた。
「待て待て、ちょっと待て。心の準備させろ。……センパイ、まさか変なもん冬弥に託してねぇだろうな? リビングじゃなくて、おまえの部屋で開けるなら、まだ安全か……?」
重々しく溜息をつきながら、重ねた手の指先を優しく絡める。警戒はしているものの、冬弥が嬉しそうにそれを話すもんだから、無下にするわけにもいかない。
「……ハァ、分かったよ。覚悟決めるから、見せてみろ」
「これなんだが…アクセサリー、だろうか」
冬弥の手から差し出されたのは、手のひらにすっぽりと収まるくらいの小さな箱だった。てっきり、もっと馬鹿デカくて煙でも噴き出すような怪しい機械を想像していたから、拍子抜けして拍子抜けして、思わず凝視してしまう。
(なんだよこれ。……逆に不気味なんだけど)
箱が小さいってことは、中身もそれなりに絞られる。まさか中に変な虫型ロボットとか、開けた瞬間にバネで飛び出すビックリ箱的な何かが仕込まれているんじゃないかと、オレの警戒メーターはまだ下がらない。冬弥の言う通り、アクセサリーな気もしてきたし…でも神代センパイのやることだ、油断したら負け。
冬弥の顔を見ると、中身を知っているのか知らないのか、ただ真っ直ぐな目でオレを見つめている。昨夜の余韻でまだ少し色っぽい空気が残る部屋の中で、オレたち二人で小さな箱を囲んでいる図は、客観的に見てもちょっと妙だった。
「……なぁ、冬弥。おまえ、これ中身知ってんの?」
受け取る前に、一応確認しておく。差し出された箱の角にそっと触れながら、もう片方の手でおまえの頬を軽く突いた。冬弥の柔らかい肌に触れると、少しだけ緊張が解ける。
「変なスイッチとか入ってねぇよな。開けた瞬間、オレの部屋が爆発するとか、そういうオチじゃねぇなら受け取るけど」
文句を言いつつも、冬弥の手からその小さな箱を慎重に受け取った。おまえがわざわざ預かってくれたんだから、無下に突き返すわけにはいかない。
オレは箱を軽く振ってみた。中で小さな音がコトコトと鳴る。
「……よし。じゃあ、開けるぞ」
箱の蓋をそっと持ち上げると、中に入っていたのは手のひらに収まるくらいの透明なガラスの小瓶だった。思わず声が裏返りそうになる。変なバネも飛び出してこなければ、煙も上がらない。
「……小瓶…。意味わかんねぇ」
「綺麗な色の液体だな」
拍子抜けしながら、その怪しげな液体で満たされた瓶をつまみ上げた。
(なんだよこれ。……まさか変な薬品じゃねぇだろうな)
光に透かすと、中の液体が怪しくきらめいているように見える。あのセンパイのことだ。ただの置物や香水をよこすとは思えない。ラベルも何も貼られていないのが、余計に恐怖を煽ってきた。
「なぁ冬弥、これマジで何なんだ? センパイ、おまえに渡す時なんて言ってた?」
怪訝な顔のまま、瓶を冬弥の目の前に突き出してみる。おまえの綺麗な瞳に、怪しげな小瓶が映り込んだ。
そのまま、空いている方の手で冬弥の頭をもう一度、今度は少し不安を紛らわすように優しく撫でる。おまえのサラサラした髪に触れていると、センパイのせいで乱れたペースが少しだけ戻ってくる気がした。
「飲むな危険、とかじゃねぇよな。……開けたら変な匂いして、二人ともぶっ倒れるとか、そういうオチは勘弁してほしいんだけど」
瓶のコルク栓に指をかけながら、眉間にシワを寄せて冬弥の顔を見つめた。
「あ、彰人。紙が入っているぞ」
オレのただならぬ様子を不思議そうに見つめてくる冬弥の顔を見て、ハッと我に返った。神代センパイの達筆な文字をもう一度睨みつける。
『東雲くんへ。遅くなったが誕生日おめでとう。これは僕の自信作さ。冬弥くんに飲ませると、なんと身体が小さくなってしまう魔法の薬だよ。ちなみに、戻る方法は──』
あの独特の胡散臭い喋り方が脳内で再生されて、一気に頭が痛くなってきた。本当にタチが悪い。いたずらにしては手が込みすぎているし、あのセンパイなら大真面目に怪しい薬を開発していてもおかしくないのが一番恐ろしいところだ。
「……あー、いや。なんでもねぇ」
慌てて紙を裏返し、冬弥の視線から隠すように机の上に伏せた。
(冬弥が小さくなるって……マジで言ってんのか? )
もしこれを飲んで、こいつが子供みたいに小さくなったら。オレの服にぶかぶかに埋もれながら、頼りなげにオレの裾を掴んで見上げてくるんだろうか。想像しただけで、心臓の奥が妙に変な跳ね方をした。昨夜あんなに激しく抱き合って、オレの腕の中で蕩けた顔をしていた冬弥が、小さくなってオレに甘えてくる。……いや、さすがにそれは反則すぎるだろ。
「なぁ、冬弥」
オレは机に伏せた紙をそっと引き寄せて、もう一度だけ、戻る方法が書かれた部分を盗み見た。……なるほど、戻し方は意外と簡単、というか、これならオレの手でいつでも戻せる。
じっとオレの反応を待っているおまえの頬に、片手を添えた。親指の腹で柔らかい肌を優しく撫でると、おまえはまた嬉しそうに目を細めて、オレの手に顔を預けてくる。その無防備な可愛さに、オレの胸の奥で、少しだけ意地悪な好奇心が頭をもたげた。
「これさ……神代センパイからの、ちょっとした実験の誘いみたいなんだけど。……おまえ、オレのこと信じて、これ飲んでみる気ある?」
小瓶を指先でトントンと叩きながら、わざと少し意地悪く笑ってみせる。おまえが「彰人が言うなら」って、真っ直ぐな目で頷く姿が、簡単に目に浮かんで仕方がなかった。
「…ああ、彰人がしたいなら、彰人へのプレゼントだしな」
言わんこっちゃない。
躊躇いもなく、オレを100%信じ切った目でそう言いきるから、胸の奥がぎゅうっと締め付けられる。プレゼントだからって、中身も知らねぇのにオレのために飲むなんて普通言えねぇだろ。本当に、おまえはオレに甘すぎる。
(そんな目で見られたら、調子狂うだろ……。けど、マジで飲む気なのか)
嬉しそうに、でも少しだけ不思議そうにオレを見つめる冬弥の髪を、今度は愛おしさを抑えきれずに指先で優しく梳いた。昨夜、何度もオレの名前を呼んだあいつが、今から小さくなる。戻る方法が分かってるとはいえ、オレの手でこいつを小さくするっていう背徳感に、喉の奥が小さく鳴った。
オレは机の上の小瓶を取り上げると、ゆっくりとコルクの栓を抜いた。変な匂いはしねぇ。光にかざすと、やっぱり怪しくきらめいている。
「……後で文句言うなよ? 変な感じになったら、オレがちゃんと責任持って面倒見てやるから」
もう片方の手で、おまえの冷えた頬を優しく包み込む。親指で唇の端をそっと撫でてから、小瓶を冬弥の唇へと近づけた。
「ほら、口開けろ。……一気にいけよ」
「…ん……。…っわ、」
「……っ、おい! 冬弥!?」
間抜けな音と一緒に、目の前が真っ白な煙に包まれる。オレは思わず腕で顔を覆いながら、激しく咳き込んだ。マジで煙が出やがった。あの変人センパイ、本当に何仕込んでやがんだ!
(クソ、冬弥は……っ!?)
慌てて視線を机の前に戻すと、さっきまでそこに座っていたはずの大きな身体が、忽然と消えていた。代わりにあったのは、冬弥が着ていたはずのぶかぶかのパーカーが、椅子の座面にぽつんと丸まっている塊だけ。
オレは心臓がバクバクと嫌な音を立てるのを感じながら、その服の塊に駆け寄った。
「冬弥! どこだ、おい……っ!」
焦ってパーカーの襟元を掴んで、がばっと 持ち上げる。
すると、めくれた布地の隙間から、小さな小さな頭がひょこっと顔を出した。
くりくりとした大きな目が、驚いたようにオレを見上げている。全体的に丸っこくて、オレの片手で簡単に包めちまいそうなサイズ感。服にすっぽりと埋もれて、袖から手すら出ていない。
(……マ、マジで小さくなってんじゃねぇか……っ!!)
目の前のありえない光景に、頭がクラクラした。
昨夜、オレの腕の中で熱く喘いでいた高二のあいつが、今はぬいぐるみてぇなサイズになって、ぶかぶかの服の中でパチパチと瞬きをしている。
そのあまりの可愛さと、現実離れした状況に、オレは声も出ずにその場に固まってしまった。
「あ……。…なにが、おきたの…?」
「……おまえ、その声、マジで言ってんのか?」
ぶかぶかのパーカーの隙間から聞こえてきたのは、蚊の鳴くような、だけど聞き覚えのある冬弥の、いや、もっとずっと幼い声だった。本人は普通に喋っているつもりなんだろうが、舌足らずで、掠れた高音になってしまっている。
(あ、ダメだ。これ、普通に心臓に悪い……っ)
オレは思わず片手で顔を覆った。指の隙間から覗き込むと、自分の何倍も大きくなったパーカーの襟ぐりをもぞもぞと動かしながら、不思議そうに首を傾げる小さな冬弥と目が合う。本人は自分が小さくなっていることに、まだ全く気づいていないらしい。
オレは息を整えながら、両手をそっとそのぶかぶかの服の塊へと伸ばした。
壊れ物を扱うように慎重に、脇のあたりをすくい上げるようにして、その小さな身体を持ち上げる。高二の冬弥ならずっしりとくるはずの重みが、今は両手のひらの上で、嘘みたいに軽かった。
「……何が起きたの、じゃねぇよ。おまえ、鏡見てみろ」
オレは小さくなった冬弥を自分の胸の高さまで持ち上げ、目線を合わせた。おまえの着ていた服の袖が、だらんと下に垂れ下がっている。
「神代センパイの薬、マジで本物だったわ。おまえ……今、オレの片手サイズになっちまってんだよ」
そう言いながら、オレは空いている片手の親指で、小さくなったおまえの、さらに柔らかくなった頬をそっと撫でた。昨日、オレの腕の中で熱くなっていたあいつと同じやつだとは、どうしても思えねぇ。だけど、その真っ直ぐな瞳だけは、間違いなく冬弥のままで。
手のひらから伝わってくる、いつもより小さな体温が、オレの胸を妙にそわそわと焦らせていた。
「…かがみ、」
急に自分の身体の異変に気づいたのか、小さな冬弥がぶかぶかの袖の中で、もぞもぞと必死に手足を動かし始めた。本人は鏡を見に行こうと焦っているんだろうが、オレの手のひらの上じゃ、ただ芋虫みたいに丸まってジタバタしているようにしか見えねぇ。
「おい、暴れるなって。落ちたら危ねぇだろ」
(……くそ、マジでどうなってんだよ、この可愛さは)
焦って少し潤んできたその大きな瞳で見つめられると、胸の奥がキュンと鳴る。高二の冬弥の時だって十分に可愛かったのに、こんなミニチュアサイズになって慌ててられたら、オレの理性がいくらあっても足りねぇ。
オレは落とさないように細心の注意を払いながら、冬弥の小さな身体をそっと自分の胸に抱き寄せた。おまえの丸い頭が、オレの鎖骨のあたりにちょこんと収まる。
「待てって。今オレが、鏡の前に連れてってやるから」
そう言いながら、おまえの小さな背中を指先で優しくトントンと叩いてやる。手のひらから伝わってくる心臓の音が、いつもより少し早くて、こいつが本当にテンパっているのが伝わってきた。
オレはそのまま椅子から立ち上がり、おまえを胸に抱いたまま、部屋の隅にある姿見の前にゆっくりと歩み寄った。
「ほら、よく見てみろ。……冗談抜きで、オレの服に埋もれてんぞ、おまえ」
鏡に映ったのは、大きなパーカーの塊を大切そうに両手で抱えるオレと、その襟元から顔だけをひょこっと出している、ぬいぐるみてぇに小さな冬弥の姿だった。
「…ちっちゃい……。…いつもは、彰人“お兄ちゃん”より、おっきいのにー…。」
「お兄ちゃん、って……、おまえ何言ってんだよ!?」
鏡に映る自分を見つめながら、ぽつりと溢したその言葉に、オレは思わず素で声を裏返らせた。お兄ちゃんって、なんだよ。いつもはそんな呼び方しねぇだろ。身体が小さくなったせいで、頭の中まで子供に戻っちまってんじゃねぇか。
(……いや、待て。いつもはオレよりデカいって、気にしてたのかよ)
普段はそんなことおくびにも出さないのに、小さくなった途端にそんな可愛いことを言い出すから、顔が急激に熱くなっていくのが分かった。いつもはオレよりちょっとだけ背が高くて、昨夜だってオレの腕の中で男らしい身体を揺らしていたはずなのに。
オレは鏡の前から一歩退き、胸の中の小さな冬弥をもう一度、目の高さまで持ち上げた。
ぶかぶかの服の隙間から、少し不満そうに、でもトロンとした潤んだ瞳でオレを見上げてくる。その舌足らずな喋り方も、お兄ちゃんっていう響きも、マジでオレの理性を容赦なく削りにきている。
「おまえさ、自分が今、どんな可愛い顔してそんなこと言ってるか分かってんのか?」
オレは少し掠れた声のまま、空いている手の親指で、柔らかい冬弥の頬をわざと強めにむにっと 抓った。子供みたいに柔らかい肌が、オレの指圧で簡単に形を変える。
「いつもはオレよりデカいくせに、こんなにちっちゃくなりやがって……。なぁ、冬弥。そんな風に甘えられたら、オレがどうにかなりそうなの、分かれよ」
そう言いながらも、おまえの丸い頭を手のひらでそっと包み込んで、愛おしさを堪えるように優しく、何度も撫で回した。
「ん…ふふっ」
手のひらの上で、くすぐったそうに体を揺らして笑うおまえを見て、口元が緩むのを必死で堪える。
小さくなっても、頭や頬を撫でると嬉しそうに笑う癖は、そのまんまなんだな。
「……笑うな。オレはマジで困ってんだけど」
むしろ、このサイズでそんな風に無邪気に笑われたら、破壊力が普段の比じゃねぇ。
(……くそ。昨日の夜の余韻が残ってる頭で、これは本当に刺激が強すぎる)
ぶかぶかのパーカーに埋もれたおまえの小さな体を、落とさないように優しくベッドの上に下ろした。
布の海に沈んだおまえは、本当にぬいぐるみのようで、今すぐポケットにでも入れて連れ歩きたい衝動に駆られる。
オレはベッドの横に膝をつき、目の前の小さな冬弥と視線を合わせた。
細い指先で、おまえの柔らかな頬をもう一度、そっと撫でる。
「神代センパイの戻し方の紙、ちゃんと読んどいて良かったわ。これ、いつでも戻せるからな」
おまえの顔にじわじわと近づきながら、わざと少し意地悪く、だけど低く掠れた声で囁いた。
「けど、もうちょっとだけ、このままの可愛いおまえでいろよ。……いつものデカい冬弥に戻ったら、今の仕返し、倍にしてベッドで可愛がってやるからな」
そう言って、おまえの小さな額に、そっとオレの唇を落とした。
「…きす、した」
「……キスくらい、いつもしてんだろ」
額に落とした唇を離すと、おまえが小さな顔を真っ赤にして、ぶかぶかの袖に顔を埋めようともぞもぞと動き出した。身体が小さくなったせいで、照れる仕草までいちいち大袈裟で、マジでオレの心臓に悪い。
(……あー、クソ。ほんと、どうしてくれんだよこれ)
ベッドのシーツに埋もれるようにして、上目遣いでオレを見てくる。昨夜、オレの腕の中で熱っぽく名前を呼んでいたあの冬弥と同じ奴だとは、到底思えねぇ。だけど、その真っ直ぐな瞳の奥に宿る熱は、間違いなくオレの知っているおまえのものだった。
オレはベッドに肘をつき、さらに顔を近づけて、今度は指先でおまえの小さな唇の端をそっと 撫でる。
「額へのキスだけでそんなに照れてんなよ。いつもはもっと、深いとこまで全部オレに 晒してんの、忘れたわけじゃねぇだろ?」
わざと意地悪く囁きながら、親指でその小さな唇を軽く押し開いた。
本人は隠れているつもりなんだろうが、ぶかぶかの服の隙間から覗く首筋には、オレが昨日刻みつけた痕がまだはっきりと残っている。そのアンバランスさが、オレの理性をさらに激しく揺さぶった。
「なぁ、冬弥。そんな風にオレの名前呼ぶなら……今度は額じゃなくて、ちゃんと口にしてやろうか?」
「ん……や!だーめ!」
まさかそんな風にハッキリ拒絶されるとは思わなくて、思わず面食らってしまった。しかも、小さな手をぶかぶかの袖の中でパタパタと動かしながら、必死に抵抗している姿がこれまた無性に可愛い。
(拒否の仕方まで子供っぽくなりやがって……。マジで反則だろ、それ)
いつもなら、オレがキスしようと顔を近づければ、少し照れながらも嬉しそうに目を閉じるくせに。小さくなったせいで、いつもより自己主張が幼児退行してるっていうか、素直になりすぎてて調子が狂う。
オレは苦笑しながら、ベッドの上に突いた手に少しだけ力を込めて、おまえの小さな身体を覗き込んだ。
「何がダメなんだよ。いつもはオレからキスしたら、おまえだって嬉しそうに受け入れるだろ」
そう言いながら、今度は人差し指で冬弥の小さな鼻の頭をちょんと突いてやる。おまえは不満そうに鼻にシワを寄せて、オレの手から逃れるように頭を振った。その一挙手一投足が、オレの胸の奥を激しく締め付ける。
「そんなにオレとキスすんの嫌か? 身体がちっちゃくなっても、オレがおまえの恋人なのは変わんねぇんだけどな」
わざと少し拗ねたような声を出しながら、おまえの丸いおでこを指先で優しく小突いた。
「わ……彰人お兄ちゃんの手、おっきい…!ずるい…」
自分の手とオレの手を見比べながら、本気で悔しそうにしているおまえを見て、呆れを通り越して笑いが込み上げてくる。ぶかぶかの袖からやっと覗いた小さな指先が、オレの掌に触れるか触れないかの距離で宙を泳いでいた。
(おまえが小さくなりすぎなんだよ……。ほんと、自覚ねぇのな)
オレはベッドの上に置いた右手を、わざとおまえの目の前で大きく広げて見せた。男にしては少し骨張ったオレの手だけど、今の冬弥のサイズからしたら、文字通り身体ごと包み込めちまうくらいの大きさだ。
その大きなオレの手を、おまえはくりくりとした目で不思議そうに見つめている。
「いつもはオレよりデカいくせに、何言いやがる。ほら、そんなに羨ましいなら触ってみろよ」
そう言って、広げた掌をベッドのシーツにぺたりと伏せる。おまえが恐る恐る伸ばしてきた小さな手が、オレの人差し指の第一関節あたりにちょこんと乗っかった。嘘みてぇに小さくて、柔らかい。
「……なぁ、冬弥」
オレは指先を少しだけ動かして、おまえのその小さな手を、手のひらの中に優しく閉じ込めた。ぎゅっと握ったら壊れてしまいそうな感覚に、自然と指先の力が緩む。
「お兄ちゃん、って呼ぶの、マジでやめろって。……ただでさえ可愛いのに、これ以上オレを煽ってどうすんだよ」
そう言いながら、空いている方の手でおまえの丸い頭をこれでもかと愛おしそうに撫で回した。
「だめ…??」
「……っ…ダメに決まってんだろ」
上目遣いでそんな風に覗き込まれて、オレの理性が悲鳴を上げている。おまえはただ純粋に聞いてるだけなんだろうけど、その潤んだ目と、舌足らずな声で言われる「だめ?」の一言が、どれだけオレを追い詰めてるか分かってねぇ。
(くそ、マジで心臓がもたねぇ……っ)
手のひらの中で包み込んでいるおまえの小さな手が、心なしかきゅっとオレの指を握り返してきたような気がした。その微かな感触だけで、昨夜おまえを激しく抱き潰した時の熱い記憶が、頭の中に一気に溢れかえってくる。
オレは溜息を吐き出しながら、ベッドの上にさらに深く上体を伏せて、おまえの小さな顔に極限まで近づいた。
「おまえさ……そんな顔してオレを試すような真似すんな。ちっちゃくなったからって、手加減してもらえると思うなよ?」
低く掠れた声でわざと脅すように囁きながら、もう片方の手でおまえの柔らかい頬を今度は優しく、包み込むように撫でた。
「んぅ…ふ、…ふふっ、ほっぺ、くすぐったい…」
また、そうやって笑う。
頬を撫でるオレの手のひらで、くすぐったそうに身をよじるおまえ。小さくなっても、その嬉しそうな笑顔だけはいつもの冬弥そのままで、オレの胸の奥をこれでもかってくらいに甘く締め付けてくる。
(……あー、ダメだ。ほんと、可愛いすぎて無理)
ベッドの上に寝転がったままの冬弥を見つめていると、昨夜おまえの全身をオレの色に染め上げた時の記憶が、いよいよ強烈にフラッシュバックしてきた。
今はこんなにぬいぐるみてぇなサイズで無邪気に笑ってるけど、中身は間違いなく、オレが愛してやまない恋人なんだ。
オレは包み込んでいた頬からそっと手を離し、今度はおまえの小さな身体をごそっと両手で掬い上げた。
「……おい、冬弥」
自分の胸元までおまえを引き寄せて、その小さな耳元に、わざと低く掠れた声を落とす。
「おまえがそうやって無防備に笑ってっと、オレの理性がマジで限界迎える。……戻る方法、試してさっさといつものデカいおまえに戻していいか?」
少しだけ意地悪く、だけど本気で堪えきれなくなった声をぶつける。
戻した瞬間、おまえがどんな風に真っ赤になってオレから目を逸らすか、想像しただけで喉の奥がカラカラに乾いていくのが分かった。
「…でも、おっきい彰人お兄ちゃんももっと見たい、」
「……おまえ、マジで何言ってんだよ」
その一言は、本当に反則だろ。
おっきい彰人お兄ちゃんも見たいって、そんな潤んだ目で、しかもそんな可愛い呼び方で見上げられたら、オレの理性が跡形もなく消し飛ぶ音がした。
本人は純粋な目でオレを見つめてるんだろうけど、言ってることの意味がエロすぎて、顔が爆発しそうに熱くなる。
(……くそ。もう限界だわ、オレ)
いつものデカい冬弥に戻して、昨日の続きをめちゃくちゃにやり返してやろうと思ってたのに。
こんな風に小さなおまえから真っ直ぐに求められたら、元の姿に戻すのが一気に惜しくなってきた。
ぶかぶかの服の中で、オレの手のひらにすっぽり収まるサイズのおまえが、オレを欲しそうに見つめてるんだ。
オレはベッドの上に突いた手にぐっと力を込めて、おまえの小さな身体をさらに閉じ込めるように覆い被さった。
「おまえがそうやってオレを煽るなら……元の姿に戻してやるの、もう少し先にしてやるよ」
低く、完全に掠れてしまった声で囁きながら、おまえの小さな腰のあたりを、ぶかぶかのパーカーの上から大きな手で優しく愛おしそうに撫でる。
昨夜、オレの腕の中で熱く喘いでいたおまえの感触を頭の片隅で思い出しながら、オレはおまえの小さな唇へと、今度こそ逃がさないようにゆっくりと顔を近づけた。
「気が済むまで、オレのこと特等席でよく見とけ。……その代わり、ちっちゃくても容赦しねぇから覚悟しろよ?」
「…ようしゃ、」
「そうだよ。容赦しねぇ」
おまえが不思議そうに首を傾げて、その小さな唇からぽつりと溢した言葉を、オレはそのまま低い声で繰り返した。容赦って言葉の意味が分かってんのか分かってねぇのか、そんな無垢な目で見上げられたら、オレの中のドス黒い独占欲がどんどん膨らんでいく。
(……ちっちゃいおまえに、オレの熱、全部刻みつけてやるよ)
オレはベッドのシーツに両膝をつき、おまえの小さな身体を壊さないように、だけど完全に逃げ道を塞ぐようにして、上から影を落とした。ぶかぶかのパーカーから覗くその白い首筋に、もう一度、オレの唇を押し当てる。
「ん……、ぁ、きと……」
小さく身を震わせるおまえの体温が、オレの肌に直接伝わってきて、昨夜の情事が脳裏に生々しく蘇る。おまえがそんな風に甘えた声を出すのが悪いんだ。身体はこんなに小さくなっても、オレを狂わせるその声は、間違いなく冬弥のものだった。
オレは首筋に優しく歯を立てて、小さな痕をそこに新しく刻みつけた。おまえが小さく息を呑むのが、手のひらを通じて伝わってくる。
「おまえがオレをそそのかしたんだからな。……元の身体に戻るまで、オレの手の中でたっぷり可愛がられてろ」
顔を上げて、潤んだ瞳でオレを見つめるおまえの、その小さな唇を、今度こそ完全に塞ぎにいった。
「っん…、…んー…あぅ…ッ、あ…んっ」
「……っ、そんな声、出すなよ」
唇を引き離すと、おまえの小さな口から、昨夜と同じ熱を帯びた吐息が 零れ落ちた。身体がちっちゃくなったせいで、掠れた高い声がダイレクトにオレの耳を刺激して、下腹部のあたりがじんわりと熱くなっていく。
(……マジで、どうしてくれんだよこれ)
ぶかぶかのパーカーの襟ぐりから覗くおまえの肌は、オレのキスだけで、すでにうっすらと赤く染まっていた。おまえは呼吸を整えるように 小さな胸を上下させて、さらに潤んだ瞳でオレをじっと 見つめてくる。その無防備な姿が、オレの理性を容赦なく ぶち壊しにきていた。
オレはベッドの上に突いた右手を少し動かし、おまえの小さな腰を服の上から手のひら全体で包み込むように引き寄せた。
「容赦しねぇって言っただろ。おまえがそんなにオレを 煽るから、ちっちゃいままでも、おかしくなりそうなんだけど」
低く完全に 蕩けた声で囁きながら、もう片方の手でおまえの柔らかい頬をむにっと 挟み込む。そのまま、今度は首筋に残る昨夜の痕のすぐ隣に、新しくオレの唇を 押し当てて、吸い上げるように熱を注ぎ込んだ。
「っう…あきと、おにいちゃ……っ」
オレの胸にすっぽり収まる小さな身体が、熱を帯びて微かに震える。おまえが舌足らずな声でそう呼ぶたびに、オレの頭の奥で何かがぶちぶちと千切れる音がした。
(クソ、これ以上オレを狂わせてどうすんだよ……!)
首筋から唇を離すと、おまえの大きな瞳には涙がじんわりと浮かんでいて、その目で見つめられるだけで心臓が激しく跳ねる。身体はぬいぐるみてぇにちっちゃいくせに、オレを翻弄する熱さは昨夜の冬弥そのままだ。
オレはぶかぶかのパーカーの袖から覗く小さな手を、オレの指先で優しくベッドに組み伏せた。
「お兄ちゃんって呼ぶなら、とことん甘えさせてやるよ。……でも、後で泣いても絶対にやめてやんねぇからな」
低く掠れた声で囁きながら、おまえの小さな唇を、今度は貪るように深く塞ぎにいった。
「ッん”……!…ぁ、あき…っ……ぅ、ん…ぁ…… ふ、」
「……はぁ、……おまえ、マジで……」
重なる唇の隙間から、小さく、だけど熱い吐息がオレの口内へと流れ込んでくる。身体がちっちゃいせいで、おまえのその掠れた声も、荒い呼吸も、全部がオレの鼓膜を直接揺さぶって頭がおかしくなりそうだった。
(……くそ、マジでこれ以上は耐えられねぇ……)
一度唇を離すと、冬弥はぶかぶかの服に埋もれたまま、顔を真っ赤にして涙目のままオレを見上げていた。小さな胸がせわしなく上下して、オレがつけた首筋の痕が、おまえの浅い呼吸に合わせて小さく揺れている。そのアンバランスで、狂おしいほど可愛い姿に、オレの限界はとっくに超えていた。
オレはベッドの上に突いた手にぐっと力を込め、おまえの小さな身体を壊さないように、だけど完全に閉じ込めるようにして、もう一度その耳元に顔を近づけた。
「……なぁ、冬弥。ちっちゃいおまえを可愛がるのもマジで最高だけど、オレ、もう我慢できねぇわ」
低く、完全に情欲を孕んだ声でおまえの鼓膜を震わせる。
「……今すぐ元の姿に戻して、昨日の夜の続き、本気でめちゃくちゃにやり直してやる」
そう言いながら、オレは机の上の紙に書いてあった戻す方法を頭の中で反芻した。おまえの驚いたような、でもどこか期待するような熱い視線を全身に浴びながら、オレは元のデカい冬弥を心の底から欲していた。
「…やだ、このまましたい…っ……。」
「……は? おまえ、今なんて言った?」
耳を疑うような言葉が小さな唇から飛び出して、オレは完全にフリーズした。このまましたいって、マジで言ってんのか。こんなオレの片手サイズになったままで、何をするつもりなんだよ。
(……いや、待て。こいつ、マジで言ってる顔だ……っ)
ぶかぶかのパーカーの襟ぐりから顔を覗かせた冬弥は、涙目のまま、驚くほど真っ直ぐな熱い視線をオレに向けていた。昨夜、オレの腕の中で蕩けきっていたあの時の熱が、その小さな瞳の奥で確かにギラギラと燻っている。身体が子供みたいになっても、中身はオレを狂わせる恋人のままだ。
オレはベッドのシーツに両手を突いて、おまえの小さな身体を上からじっと睨みつけた。顔が急激に熱くなって、耳の奥がドクドクと五月蝿い。
「おまえさ……自分が今、どれだけヤバいこと言ったか分かってんのか?」
低く掠れた声を、わざとおまえの耳元に叩きつける。
「こんなちっちゃいおまえ相手に、オレが普通にできるわけねぇだろ。……でも、おまえがどうしてもって言うなら、このサイズのままオレの手で指先一枚残さず、めちゃくちゃに啼かせてやるけど……いいんだな?」
おまえの小さな腰を大きな手で床に押しつけるようにして、その太ももの隙間に指先をそっと這わせた。
「ゆび、だけね…っ?」
おまえが顔を真っ赤にして、オレの指先を恐る恐る見つめながらそんなことを言う。
ぶかぶかの服の中で、小さく身を縮めながらも、オレから逃げようとはしない。
その健気で、どこか期待を含んだ瞳で見つめられたら、オレの中のサディスティックな欲求がさらに跳ね上がる。
(指だけ、なんて……。そんな可愛くおねだりされて、優しくしてやれるわけねぇだろ……っ)
オレはフッと口元を歪めると、おまえの細い太ももの隙間に這わせていた人差し指の腹で、その柔らかい肌をゆっくりと撫で上げた。
高二の冬弥の時とは比べものにならないくらいに小さくて、繊細なその身体。
だけど、オレの指先が触れた瞬間、おまえの小さな身体がビクッと大きく跳ねて、可愛い悲鳴が鼓膜を揺らす。
「指だけでも、おまえのそのちっちゃい身体なら、十分すぎるくらいにめちゃくちゃになれるだろ?」
わざと低く掠れた声で耳元に囁きながら、オレは空いているもう片方の手で、おまえの丸い頭をそっと包み込んでベッドに固定した。
「ほら、力抜けよ。……おまえがこのまましたいって言ったんだから、最後までちゃんとオレに愛されてろ」
おまえの熱い吐息がオレの指先に触れた瞬間、オレは容赦なく、その奥へと指先を進めていった。
「ッあ…♡おにい、ちゃ…ッ……ふ、…お兄ちゃんの、いれたら…っ、おっきい、から…だぇ……ッ」
おまえの口から 零れた甘い悲鳴と、熱い吐息がオレの指先に絡みつく。
お兄ちゃんのを入れたら大きいからダメ、なんて。
そんなエロいこと、小さくなったおまえの口から聞かされるなんて、マジで夢にも思ってなかった。
しかも、オレの指だけでそんなに蕩けた顔して、細い身体を ビクビクと震わせてやがる。
(……あー、クソ。マジで頭おかしくなる……っ!)
おまえのその小さくて 狭い場所に、オレの指がぴったりと埋もれていく。
それだけで、昨夜おまえの身体の奥深くをオレの熱で満たした時の感覚が、背筋を突き抜けるような衝撃となって蘇ってきた。
いつもならオレの手のひらに収まりきらないはずの冬弥が、今はオレの指一本に翻弄されて、涙目で呼吸を荒くしている。
オレはベッドに突いた手にぐっと力を込め、さらにおまえの小さな身体を覗き込んだ。
「大きいのが ダメなら……この指だけで、中も外も全部オレの形に染め上げてやるよ」
低く完全に獣みたいに掠れた声で囁きながら、オレはおまえの身体を壊さないように、だけど確実に容赦なく、その奥を激しく掻き乱し始めた。
おまえの小さな声を遮るように、オレは低く掠れた声で謝りながら、さらに指先の動きを早めた。
(……ほんと、余裕ねぇな、オレ)
ぶかぶかのパーカーに埋もれたおまえの身体が、オレの指の動きに合わせてピクピクと激しく跳ねる。
いつもならオレの腕を掴んで耐えるはずのおまえの手が、今はオレの爪の先を必死に握りしめることしかできていねぇ。
その圧倒的なサイズ差と、おまえの健気な抵抗が、オレのサディスティックな欲求をさらに燃え上がらせた。
オレはベッドに突いた左手にぐっと力を込めて、おまえの小さな顔の真上まで上体を伏せる。
「指だけでそんなに熱くなって、おまえマジでエロすぎ。……ほら、もっとオレの名前呼べよ」
おまえの驚いたような顔を見て、オレは少しやりすぎたかと苦笑いした。
いつも冷静なおまえが、こんな風に必死になってオレに詰め寄ってくるのは珍しいからな。
「…ッんぁ”、!?」
「……ここが、いいのかよ」
オレの指先がその熱い最奥に触れた瞬間、おまえの小さな身体が今までで一番激しくのけぞった。くりくりとした瞳が大きく見開かれて、涙がその綺麗な目元から溢れそうに揺れている。
(……見つけた。ここが、おまえの弱いトコだろ)
高二のおまえならもっと奥にあるはずの場所が、このサイズだからオレの指先一つで簡単に届いてしまう。そのアンバランスな現実に、オレの背筋にゾクゾクとした熱い快感が走った。指先から伝わってくるおまえの脈動は、驚くほど早くて、今にも壊れてしまいそうなほど健気だ。
オレはベッドのシーツを掴むおまえの小さな手を、もう一度オレの指先で優しく包み込みながら、その一点を狙って、わざとゆっくりと、深く指を押し当てた。
「いつもならもっと奥までいかなきゃ啼かねぇくせに……こんなちっちゃい身体で、オレの指一本にそんなに感じてんじゃねぇよ」
「も、そこ…おく、なの…ッ、!♡あきと、おにいちゃん…っ、…やら、♡」
指先から伝わるおまえの熱い震えが、ダイレクトにオレの脳を痺れさせていく。
いつもならもっと深い場所にあるはずのそこが、今のこのサイズのおまえにとっては、オレの指一本で簡単に届いてしまう一番深い場所なんだ。
それが頭では分かっていても、目の前で涙を浮かべて細い身体を弓なりに跳ねさせているおまえを見ていると、本気で独占欲が狂いそうになる。
(……くそ、そんな声で、嫌だなんて言うなよ)
お兄ちゃん、って掠れた声で啼きながら、必死にオレの指を締め付けてくる。
嫌だなんて言いながらも、おまえの身体はオレの指先を 離したくないみたいに、じっとりと熱く絡みついて離さねぇ。
昨夜、オレの腕の中で熱っぽく名前を呼んでいた高二のおまえも愛おしかったけど、オレの指先一つで完全に 蕩けきって、必死にオレを拒みながらも求めてくるこのちっちゃいおまえも、マジで頭がおかしくなるくらいに愛おしい。
オレはベッドのシーツに突いた手にぐっと力を込めて、おまえの逃げ道を塞ぐようにさらに深 覆い被さった。
「嫌だって言っても、もう絶対に止めてやんねぇ。おまえがこのまましたいって、オレを煽ったんだからな」
低く完全に 掠れた声で耳元に囁きながら、オレはおまえのその一番弱い場所を、指先で容赦なく、何度も激しく突き上げた。
「…ッあ”ー…っ、…ん…っ、…やさしく、しなきゃ…ッ……、…ふ、…きらいに、なっちゃうから”ッ…、!♡」
「嫌いになる、って……、おまえマジで言ってんのか?」
その言葉が耳に飛び込んできた瞬間、オレの指先がピクリと跳ねた。涙目で、今にも消えそうな声のくせに、そんな決定的な言葉でオレを脅しにくるなんて本当にずるい。おまえがオレを嫌いになるわけねぇって分かってても、そんな風に泣きそうな顔で言われたら、これ以上手荒にできるわけがなかった。
(……ハァ、ほんと、おまえには一生敵わねぇわ)
オレは小さく溜息を吐き出すと、突き上げていた指の動きを、おまえの呼吸に合わせるようにゆっくりとした優しい愛撫へと切り替えた。おまえの狭い中が、オレの指の動きを追いかけるようにきゅうきゅうと切なげに締め付けてくる。その健気な熱さに、胸の奥がじわじわと甘い痛みで満たされていく。
空いている方の手で、おまえの涙で濡れた目元を親指の腹でそっと 拭ってやった。そのまま、少し乱れてしまった柔らかな髪を、今度は壊れ物を扱うみたいに何度も優しく、丁寧に撫でてやる。
「悪ぃ。おまえが可愛すぎて、つい加減忘れてた。……嫌いになるとか、そんな悲しいこと言うなよ」
完全に毒気を抜かれた、低く掠れた声でおまえの耳元に囁く。おまえの小さな身体をオレの体温で包み込むようにして、その愛おしい一番奥の場所を、今度は蕩けさせるように優しく、じっくりと 押し潰した。
「…ッお、…お”……ッ…、♡…あ”ー…ッ、だぇ、だめ、だってばぁ……っ、♡」
おまえが小さな手で必死にオレの指を押し返そうとするけど、そんなの何の抵抗にもなってねぇ。
「だめ、って言われても、もう止まれねぇよ……」
ぶかぶかのパーカーの中で、オレの指一本に翻弄されて、声を枯らして啼いているおまえを見ていたら、胸の奥が焼き切れそうに熱くなる。
(……くそ。ちっちゃいくせに、どんだけオレを狂わせりゃ気が済むんだよ)
優しくしようって決めたはずなのに、中からきゅうきゅうと締め付けられるたびに、オレの指先が勝手に動きを急いでしまう。おまえの涙で濡れた睫毛が激しく震えて、小さな唇から溢れる呼吸が、熱い塊になってオレの指にまとわりついて離さねぇ。
オレはおまえの小さな身体がベッドのシーツに擦れて痛まないように、もう片方の手でおまえの腰をごそっと抱き上げた。オレの大きな手のひらの上で、おまえの身体がビクビクと激しく脈打っているのが、痛いくらいに伝わってくる。
「だめだって言いながら、身体はこんなにオレの指を欲しがってんじゃねぇか……っ」
低く掠れた声でおまえの耳元に吐き捨てながら、オレはおまえの一番弱いそこを、指の腹でじっくりと、逃がさないように深く 押し潰した。
「あ、あ…っ、なんか、でちゃ……ッ♡」
「…っおい、冬弥!?」
おまえが涙目で小さく身を震わせた瞬間、指先が嘘みてぇに熱い液体で濡れた。高二の冬弥なら何が起きたかすぐに分かんだが、このちっちゃい身体のせいで、おまえ自身も何が起きたか分かってなくて、ただただパニックになってるのが伝わってくる。
(……マジか。身体の仕組みまで、本当に子供に戻ってんのかよ)
溢れた透明な熱が、オレの指先とおまえの太ももを濡らしていく。まだそんなモノも作れねぇくらいに小さくなっちまったおまえが、オレの指一本に全部を狂わされて、おしっこ漏らすみたいにただただ熱い水分を吐き出してるんだ。その無防備で、あまりにも純粋な排泄に、オレの頭の芯がガツンと殴られたみたいに熱くなった。
オレはシーツを濡らしていく熱い液体を視線で追いながら、おまえの小さな腰を抱く手のひらにぐっと力を込めた。
「なんか出ちゃ、じゃねぇよ……。おまえ、オレの指でそこまでイっちゃったんだぞ」
低く完全に掠れた声でおまえの耳元に囁きながら、オレは濡れた指先をさらに深く、容赦なくその最奥へと 突き入れた。
「…も、もうでた、から…っ……ね、あきとおにいちゃん……ッ…、…なんで、や…ッ…♡」
「出たから終わり、なんて都合のいいこと言うなよ」
オレの指先を濡らす熱い液体の感触が、手のひらを通じて脳髄まで痺れさせてくる。もう出たからって、涙目で必死にオレの指を押し返そうとするおまえだけど、その狭いナカはまだオレの指をきゅうきゅうと締め付けたままだ。そんな風にオレの名前を啼きながら、なんでやめるかって、そんなの決まってんだろ。
(おまえがオレをここまで狂わせたんだ、簡単に終わらせてやるわけねぇだろ……っ)
ぶかぶかのパーカーから覗く小さな肩が、激しい呼吸のせいで細かく上下している。その白い肌に、さっきオレが刻みつけた赤い痕が、おまえの震えに合わせて熱そうに脈打っていた。いつもならオレを受け止める側のおまえが、今はオレの指一本に全部を握られて、ただ翻弄されるがままになってる。
オレはベッドのシーツを掴むおまえの小さな手を、もう一度オレの指先で優しく包み込んで、おまえの逃げ道を完全に塞いだ。
「なんでって……おまえがこんなに可愛く啼くのが悪いんだろ。指だけでも、おまえのそのちっちゃい身体がオレのモノだって、もっと芯まで教えてやるよ」
低く完全に蕩けた声で耳元に囁きながら、オレはおまえの一番弱いそこを、さらに容赦なく、奥深くまで突き上げた。
「…ッぁあ”…っ、!♡あ、おにいちゃ……ッ…」
「……一旦、抜いてやるよ」
指先を勢いよく引き抜くと、おまえのそこからジュブ、と熱い音が響いた。
途端に、オレの指にまとわりついていた狭い熱が一気に解放されて、冷たい空気がそこを叩く。
おまえはベッドのシーツに倒れ込んだまま、大きく身体をビクッと跳ねさせて、激しく呼吸を乱していた。
(……クソ。マジでヤバかったわ、オレ)
引き抜いた右手の指先は、おまえが流した透明な熱い液体でびしょびしょに濡れて、ぬらぬらと光っている。
ぶかぶかのパーカーの中に沈んだ冬弥は、涙でぐしゃぐしゃになった顔を腕で隠すようにして、小さくヒクヒクと肩を震わせていた。
オレの指が抜けたそこは、まだ名残惜しそうにひくついているのが、ここからでもはっきりと見える。
オレは荒くなった自分の呼吸を整えながら、濡れた指先をシーツの端で手荒に拭き取り、おまえの小さな身体をもう一度両手でそっと抱き上げた。
オレの胸に押し付けられたおまえの身体は、まるで小さな小さな発熱体のようで、ドクドクと恐ろしい早さで心臓が脈打っている。
「……おい、冬弥。大丈夫か?」
声をかけると、おまえはぶかぶかの袖の中から、じゅわっと涙を滲ませた大きな瞳でオレを弱々しく見上げてきた。
その完全に蕩けきった顔を見た瞬間、オレの胸の奥で、引き抜いたはずの熱がまた別の形になって、ドス黒く膨れ上がっていくのが分かった。
ちっちゃいおまえを指だけでここまで狂わせるのは、マジで最高にゾクゾクした。だけど、やっぱりオレは、いつものおまえの全部が欲しい。
オレはおまえの涙で濡れた頬を、乾いた親指の腹で優しく、愛おしさを込めて何度も拭ってやった。
「……っ、おまえ、マジで何してんの……っ」
指先を拭き取ろうとした瞬間、冬弥がオレの右手を小さな両手で引き寄せて、その細い指先を自分の口元へと運んだ。さっきまでおまえのその一番熱い場所に挿し込まれて、おまえの流した熱い液体でびしょびしょに濡れていたオレの人指し指。それを、おまえは小さな唇を開いて、躊躇いもなくその赤い舌の上へと迎え入れた。
(……おい、嘘だろ。そんなことまで、子供の頭でやってんのかよ)
ちゅ、と小さな、だけど生々しい音が静かな部屋に響く。おまえの小さな口の中にオレの指が吸い込まれて、温かくて柔らかい舌が、指の腹に残ったおまえ自身の匂いと熱を丁寧に舐めとっていく。上目遣いで、涙の溜まった大きな瞳がオレの顔をじっと見つめていて、その純粋さと、やっていることの異常なエロさに、オレの全身の血が逆流するみたいに熱くなった。
オレは引き抜こうとするのも忘れて、おまえの口の中に収まっている自分の指先に伝わる、生々しい感覚に息を呑んだ。
「……なぁ、冬弥。それ、自分が流したやつだって分かってて味わってんのか?」
低く掠れた声で問いかけるが、おまえは指を咥えたまま、ん、と鼻を鳴らして、さらに嬉しそうに頬を緩める。頭を優しく撫でてやると、おまえはますます気持ち良さそうに目を細めて、オレの指を貪るように強く吸い上げた。
(あー、クソ……。元の姿に戻す前に、オレが完全に理性をぶっ飛ばされそうだわ)
「ん、んぁー…っ…、」
「……もう、終わりな」
オレはおまえの小さな口から、自分の指をゆっくりと引き抜いた。ちゅう、と名残惜しそうな音がして、おまえの唇の端から一筋の細い糸が引く。
(これ以上は、マジでオレの理性がもたねぇ……)
指先を口内から解放された冬弥は、ぶかぶかのパーカーの襟元に顔を半分埋めながら、まだ少し物足りなげにオレを見上げてくる。その潤んだ瞳を見つめていると、昨夜おまえの全てを激しく抱き潰した時の記憶が、いよいよ我慢できないレベルで頭を支配し始めた。
オレはベッドのシーツの上に伏せたままの、おまえの小さな身体を壊さないように、だけどもう逃がさないように両手でしっかりと抱き上げる。
「なぁ、冬弥。ちっちゃいおまえに翻弄されるのも悪くねぇけどさ……オレ、やっぱりいつものデカいおまえがいいわ」
低く完全に掠れた声でおまえの耳元に囁きながら、オレは机の上に置いてある神代センパイのメモをしっかりと睨みつけた。
「今から、元の姿に戻すからな。……戻った瞬間、今の仕返しも含めて、本気でベッドでめちゃくちゃに可愛がってやるから覚悟しとけよ」
そう言いながら、オレはおまえの丸い頭を愛おしそうに何度も撫で回した。
「…どう、やるの?」
オレは机の上の紙切れをもう一度指先でトントンと叩き、おまえのそのちっちゃい耳元に顔を近づけた。本気で不思議そうに首を傾げているおまえの顔が、オレの胸元にすっぽりと収まっている。
(センパイのやつ、戻し方まで無駄にロマンチックなこと書きやがって……)
紙に書かれたその方法を思い出すだけで、首の後ろがまたじわじわと熱くなる。でも、今のオレには好都合すぎる内容だった。
オレはおまえの小さな腰を片手でしっかりと支えながら、もう片方の手でおまえの柔らかい頬をそっと包み込んだ。親指の腹で、さっきオレの指を咥えていたおまえの濡れた唇を優しく撫でる。
「……おまえと、深くキスするんだよ」
低く掠れた声でおまえの瞳をじっと見つめながら、その理由を告げてやった。
「オレとおまえの『心からの愛の証明』が、元の姿に戻すトリガーなんだとさ。胡散臭ぇけど、試してみる価値はあるだろ?」
そう言って、オレはおまえの小さな唇へと、今度こそ完全にすべてを奪い去るようにゆっくりと顔を近づけた。
「…いま、きすしたら…っ、ぼく…しんじゃう、」
「っん……、死んじゃう、って……おまえなぁ」
オレの唇に押し当てられたおまえの小さな手のひらは、驚くほど柔らかくて、嘘みてぇにちっちゃい。本気で怯えたように涙目でオレを見上げてくるから、近づけた顔を思わずその位置で止めてしまった。
(……あー、クソ。どんだけオレを翻弄すりゃ気が済むんだよ)
深くキスしたら死んじゃうなんて、そんな可愛いこと言われたら、いくら理性がぶっ飛んでるオレだって無理やり唇を奪えるわけがねぇ。
おまえが小さくなったせいで、オレの存在そのものがいつもよりデカく見えて、本気で怖気づいちまったんだろうな。
オレは溜息を吐き出しながら、おまえの小さな手をオレの口元からそっと引き離した。その細い指先をオレの大きな手のひらの中に優しく包み込んでやる。
「分かった、分かったからそんな顔すんな。無理にキスしたりしねぇよ」
少し低くなってしまった声を落ち着かせるように、ふっと優しく笑ってみせる。空いている方の手で、おまえの丸い頭を今度は安心させるように何度もゆっくりと撫で回した。
「でも、これ戻らねぇと困るだろ? おまえがちゃんと落ち着くまで待っててやるから、心の準備ができたら教えてくれよ。……それまでは、このちっちゃいおまえを、オレが責任持ってとことん甘やかしてやるからさ」
「んー…。」
「……なんだよ、まだ怖いか?」
オレの胸元に顔を埋めたまま、小さく鼻を鳴らしたおまえの頭を、今度は耳の後ろのあたりまで指先で優しく撫でてやった。おまえの小さな身体から伝わってくるトントンという心臓の音が、さっきよりは少しだけ落ち着いてきたのが分かる。
(……ほんと、おまえには敵わねぇな)
さっきまでオレの指一本でボロボロに啼いてたくせに、いざ元の姿に戻るってなったら急に怖気づいてオレの口を塞ぐなんて、普段の冬弥からは想像もつかねぇ。小さくなったせいで、心まで本当に子供みたいに素直になっちまってる。
オレはベッドの上に仰向けになって、おまえの小さな身体を自分の胸の上にちょこんと乗せた。ぶかぶかのパーカーがオレの胸元に広がって、おまえがもぞもぞと心地よさそうな場所を探して動く。
「少し、こうしてようぜ。おまえの課題の邪魔しちまったのはオレだし、神代センパイの薬のせいで疲れたろ」
おまえの小さな背中を大きな手のひらで包み込むようにして、ゆっくりと一定のリズムで叩いてやる。手のひらから伝わる冬弥の温もりが、オレのさっきまで昂ぶっていた熱を、少しずつ心地いい甘さに変えていくのが分かった。
「元の冬弥に戻んのは、おまえがもう大丈夫だって思ってからでいいからさ。……今はオレのここで、ゆっくり休めよ」
目を細めて、オレの胸にぴったりと頬を預けてきたおまえの額に、今度は怖がらせないように優しく、触れるだけのキスを落とした。
(……あ、寝るな、これ)
胸の上でもぞもぞと動いていた小さな身体が、だんだんと静かになっていく。オレの心音に合わせて、規則正しく小さな肩が上下しているのが分かった。ぶかぶかのパーカーの襟ぐりから、すやすやと可愛い寝息がオレの首元をくすぐる。
(……マジで無防備すぎるだろ、おまえ)
さっきまでオレの指一本でボロボロに泣いて、キスしたら死んじゃうなんて焦ってた奴と同一人物とは思えねぇ。オレの胸の上を完全に安全な場所だと信じ切って、こんなに簡単に眠りについちまうんだから、本当に調子が狂う。
オレは起こさないように細心の注意を払いながら、背中をトントンと叩いていた手の動きを止め、そっとおまえの柔らかい頬に指先を添えた。
子供みたいに少し開いた小さな唇から、小さく吐息が 零れる。そのあまりの愛らしさに、オレの胸の奥がぎゅうっと甘く締め付けられた。
昨夜、オレの腕の中で熱っぽく喘いでいたデカい冬弥も、今のこのぬいぐるみてぇにちっちゃくて可愛い冬弥も、全部オレだけのものだ。
「……おやすみ、冬弥」
小さな耳元で、起こさないように極限まで低い声を囁く。
おまえが目を覚ましたら、今度こそ深く唇を重ねて、いつものおまえに戻してやろう。戻った瞬間、このちっちゃい時の記憶を思い出して真っ赤になるおまえの顔を見るのが、今から楽しみで仕方がなかった。
(……待てよ。明日からまた月曜だし、学校もあるから今は戻さなきゃダメだけどさ)
すやすやと可愛い寝息を立ててオレの胸の上で眠っちまった冬弥を見つめながら、オレの頭の中で、さっきのセンパイの薬の効果がじわじわと別の意味を持って広がり始めていた。
(もし、次の夏休みとかの長期休みに、またあのセンパイから薬をもらってきたら……)
一ヶ月間、丸ごとこのちっちゃい冬弥をオレの部屋で囲い込んで、ずっと子どもにしたまま一緒に暮らす。想像しただけで、心臓の奥がドクドクと嫌な跳ね方をした。
オレの服にぶかぶかに埋もれたこいつを、毎日オレの手で抱き上げて、オレが全部の面倒を見てやるんだ。お兄ちゃん、なんて舌足らずな声で呼ばれながら、毎日この胸の上でこうして眠らせる。
「……いや、マジでオレの理性が一ヶ月ももつわけねぇだろ」
自分で考えておきながら、あまりにもヤバい妄想に顔がカッと熱くなる。
指先一本であそこまでボロボロに啼いて、オレの指を咥えて蕩けた顔をしてた冬弥だ。そんな防衛本能ゼロのちっちゃい生き物と一ヶ月も同棲なんてしてみろ、オレがどんな風にこいつをめちゃくちゃに飼い慣らしちまうか分かったもんじゃねぇ。
だけど、いつもは見上げるくらい背が高くて男らしいあいつが、オレの手の中でしか生きられないくらい小さくなってオレを頼ってくるっていう独占欲の塊みたいな状況は、正直言って狂うほど魅力的だった。
オレは胸の上の愛おしい塊を落とさないように、大きな手のひらでおまえの背中をそっと包み込む。
「……夏休み、マジでセンパイに頼んでみるか」
起こさないように極限まで低い声で、おまえの耳元に極上の秘密を囁く。
おまえが目を覚ましたら、まずは深く唇を重ねていつものデカい冬弥に戻してやる。そして、次の長い休みの予定を、今のうちにベッドの上でじっくり話し合ってやろう。
(……ん、……朝か)
カーテンの隙間から差し込む眩しい光に、オレはゆっくりと目を覚ました。少し重い頭を揺らしながら上体を起こそうとして、自分の胸の上に、まだ嘘みたいに軽くて温かい「塊」が乗っかっていることに気がつく。
(……あ。そうだ、こいつ、まだちっちゃいままだったわ)
ぶかぶかのパーカーにすっぽりと埋もれたまま、冬弥はオレの胸元に顔を寄せて、すやすやと規則正しい寝息を立てていた。小さな手がオレのTシャツの裾をぎゅっと掴んでいて、その無防備な姿に、朝一番から胸の奥が激しく締め付けられる。
時計を見ると、学校へ行くにはもう起きなきゃいけない時間だった。月曜の朝。いつもなら、お互い制服に着替えて一緒に家を出る時間だ。
「おい、冬弥。朝だぞ、起きろ」
オレは起こさないように優しく、おまえの小さな背中を手のひらでさすってやった。もぞもぞとパーカーの布地が動いて、中から涙目で眠そうに細められた大きな瞳が、オレをぼんやりと見上げてくる。その小さなあくびひとつ取っても、マジで心臓に悪い。
「ほら、今日からまた学校だろ。いつまでもそのちっちゃい身体のままでいられたら、オレが困るんだよ。課題だってまだ終わってねぇんだろ?」
そう言いながら、オレはベッドの上に両手をついて、おまえの小さな身体を上から覗き込んだ。
朝の光の中で見るおまえの首筋には、昨夜オレがつけた痕と、さっきちっちゃいおまえに刻みつけた赤い痕が、生々しく並んで残っている。それを見た瞬間、オレの身体の奥が、朝の気怠さとは違う熱を帯びていくのが分かった。
「心の準備、もうできたろ?……さっさと元の姿に戻んぞ、冬弥」
低く掠れた声で囁きながら、オレはおまえの小さな顎を指先でそっと持ち上げた。今度こそ逃がさないように、おまえの小さな唇へと、ゆっくりとオレの顔を近づけていった。
「っん…ッ、……ふ…」
「……ん、……はぁ」
やっと重なった唇から、おまえの小さな、だけど熱い吐息がオレの口内へと流れ込んできた。
おまえが小さくビクッと身体を震わせた瞬間、目の前がまたあの間抜けな音と一緒に、真っ白な煙に包まれる。
(……お、おいっ!?)
オレは思わず腕で顔を覆いながら、激しく咳き込んだ。
次の瞬間、胸の上にずっしりとした、男のものとしては少し重い、だけど聞き覚えのある確かな質量が戻ってくる。
煙が晴れると、そこにあったのはぶかぶかのパーカーを完全に引きちぎらんばかりの勢いで、元の大きさに戻った冬弥の身体だった。
高二の、オレが見上げるくらいに背が高くて、昨夜オレの腕の中で熱っぽく喘いでいた、いつものおまえだ。
小さくなっていた反動のせいか、おまえは顔を真っ赤にして、オレの胸元に顔を埋めたままハァハァと荒い息を繰り返している。
「……戻ったな、冬弥」
オレはベッドの上に仰向けになったまま、胸の上のデカい塊を、今度は両腕でしっかりと抱きすくめた。
腕の中にきっちりと収まるこのサイズ感と重みが、たまらなく愛おしい。
おまえの首筋を覗き込むと、昨夜オレが残した痕の隣に、さっきちっちゃいおまえに刻みつけた小さな赤い痕が、少し引き伸ばされたみたいになって生々しく残っていた。
それを見つけた瞬間、オレの喉の奥がカッと熱くなる。
「おまえさ……ちっちゃい時、オレのこと『お兄ちゃん』って呼んで、指だけであんなにエロく啼いてたの、ちゃんと覚えてるよな?」
わざと意地悪く、だけど低く完全に蕩けた声でおまえの耳元に囁く。
おまえの大きな身体がピクリと跳ねて、オレの胸元にさらに深く顔を埋めようとするのが分かった。恥ずかしがって逃げようとするその腰を、オレは大きな手でがっちりと掴んでベッドに縫い止める。
「学校行く前に、さっきの続き、本気でめちゃくちゃにやり直してやるよ。……覚悟しろよ、冬弥」
オレはフッと口元を歪めると、元の姿に戻ったおまえの唇を、今度は力ずくで深く、深く塞ぎにいった。
「あ……あき、…ッん……、…ふ、……ぅ」
(そんな風に鳴かれたら、マジでもう止められねぇんだけど)
元の大きさに戻ったおまえの唇を奪うと、隙間から零れ出たのは、さっきまでの幼い高音とは違う、オレの大好きな低くて熱い冬弥の声だった。
おまえの大きな身体がオレの下でびくりと跳ねて、長い手足がシーツを掴んでもがく。そのずっしりとした確かな質量が、オレの男としての本能を狂わせるには十分すぎる。
(……これだよ、これ。やっぱりオレは、このおまえじゃなきゃ満足できねぇ)
オレはベッドにおまえを組み伏せたまま、開いた制服の隙間から覗く首筋に顔を埋めた。
そこには、さっきちっちゃいおまえに刻みつけた小さな痕と、昨夜から残る深い痕が混ざり合って、酷く淫らにオレの独占欲を刺激している。その一番赤いところに、オレはわざと熱い舌を這わせ、吸い上げるようにして新しい痕を上書きしてやった。
「っ、あ……彰人、ダメだ……学校、遅れ……っ」
「遅れたって知るかよ。オレを朝からあんなに焦らして、お兄ちゃんお兄ちゃんって啼いてた仕返し、まだ半分も終わってねぇぞ」
必死にオレの肩を押し返そうとするおまえの大きな両手を、オレは片手でまとめて頭の上に組み伏せた。
力比べじゃいつもなら互角のはずなのに、さっきの余韻と恥ずかしさのせいで、おまえの身体には全然力が入っていねぇ。
オレは空いた方の手で、おまえのよく動く喉仏から、昨夜何度も愛撫した胸元へとゆっくりと手を滑らせていく。
おまえの熱い吐息がオレの頬を濡らすたびに、下腹部がはち切れそうに硬くなっていくのが分かった。
「ほら、もっとオレの名前呼べよ、冬弥。……ちっちゃいおまえも最高だったけど、やっぱりオレは、このデカいおまえをめちゃくちゃに啼かせる方が、何倍も興奮するわ」
そう囁きながら、オレはおまえの潤んだ瞳をじっと見つめ、さらに深く、おまえのすべてを暴くように唇を重ねた。
「ッん”、……っふ…ぁ、……んー…っ」
重なる唇の隙間から零れる、低くて熱い冬弥の吐息。
小さくなっていた時のあの舌足らずな高音もヤバかったけど、やっぱりこの、オレの鼓膜を直接震わせてくる低くて掠れた声が、一番オレの頭をおかしくさせる。
オレの胸板に押し当てられたおまえの大きな手のひらが、熱を帯びて微かに震えているのが伝わってきて、下腹部の奥がジリジリと焼け付くように熱くなった。
(……あー、クソ。学校なんか、マジでもうどうでもいいわ)
オレは頭の上に組み伏せていたおまえの両手からそっと力を抜くと、今度はおまえの長い指の隙間に、オレの指を一本ずつ深く絡みつかせた。
ベッドのシーツに十本の指を強く押し付け合って、おまえの逃げ道を完全に塞ぐ。
上目遣いで、涙の溜まった瞳でオレをじっと見つめてくるおまえの顔は、昨夜オレの腕の中で蕩けきっていたあの時の顔と、完全に重なっていた。
オレはおまえの首筋に再び顔を埋め、さっき引き伸ばされた小さな痕の上から、さらに深く、オレの熱を吸い上げるようにして口づけを落とした。
「っ、あ……きと……、んぅ……っ」
おまえが身体を大きくビクッと跳ねさせて、オレの背中に長い脚を絡めてくる。
そのずっしりとした確かな質量と、オレの形に 馴染んでいくおまえの身体の熱さが、オレの理性を完全に消し飛ばした。
「ちっちゃい時みたいに、だめって言っても絶対にやめてやんねぇからな。……朝からオレを狂わせたこと、その身体にたっぷり後悔させてやるよ、冬弥」
低く完全に蕩けた声でおまえの耳元に吐き捨てながら、オレはおまえのすべてを暴くように、さらに深く、激しくおまえの奥へと突き進んでいった。
「や、あきと……ッ…だめ、だぇえ……っ…♡」
「だめ、じゃねぇだろ……っ」
おまえの口から溢れる、低くて熱いその鳴き声が、オレの耳の奥を直接焦がしていく。
さっきまで「一回待て」なんて必死に抵抗してたくせに、オレが深く押し入るたびに、おまえのその長い手足はオレの背中を壊しそうなくらい強く抱きしめてくるじゃねぇか。
おまえの身体は、最初からオレを拒む気なんてサラサラねぇんだよ。
(……あー、クソ。マジで、全部オレのモノだ……っ)
シーツを掴むおまえの指先にさらにオレの指を深く絡ませて、完全にベッドへ組み伏せる。
おまえの大きな身体がオレの熱に翻弄されて、小刻みにビクビクと震えるたびに、中が吸い付くように締め付けてきて頭がどうにかなりそうだ。
小さかった時のおまえも気が狂うほど可愛かったけど、やっぱりこの、オレの全身をきついくらいに締め上げてくるデカい冬弥が、オレにとっては一番の特等席だわ。
オレはおまえの涙で濡れた睫毛に、優しく触れるだけのキスを落とした。
そのまま、わざとおまえの一番弱いそこを、抉るように深く、激しく突き上げる。
「ッあ、きと……、ん、あ”……っ!」
「ほら、もっとオレの名前呼べ。おまえが朝からオレを狂わせたんだから、学校なんか忘れて、オレの形になるまでたっぷり啼かせてやるよ」
低く完全に蕩けた声でおまえの耳元に吐き捨てながら、オレはおまえのすべてを暴き尽くすように、さらに激しくおまえの奥へと腰を進めた。
「待って…まって、あきと……ッ」
「待たねぇって言ってんだろ……っ、!
おまえがオレの腰に大きな手を回して、必死に動きを止めようと力を込めてくる。だけど、そんなおまえの抵抗も、今のオレにはただの心地いい締め付けにしか感じねぇ。オレの身体をがっちりと掴むおまえの指先が、熱を帯びて微かに震えているのが、その手のひらを通じてダイレクトに伝わってくる。
(……待って、なんて言うなら、そんな顔してオレを見るなよ)
涙目で、完全に蕩けきった瞳でオレをまっすぐ見つめながらそんなことを言われても、説得力なんてゼロだ。むしろ、おまえがそうやって必死にしがみついてくるから、オレの中の男の部分がさらに激しく暴れ出しそうになってんだよ。
オレはおまえの腰に回ったその手を、オレの大きな手で上からがっしりと包み込んで、ベッドのシーツへと強く押し付けた。
「おまえが朝からオレをお兄ちゃんって呼んで、指一本であそこまでエロく啼いてたのが悪いんだろ。元の姿に戻ったからって、簡単に許してもらえると思うなよ」
低く完全に掠れた声でおまえの耳元に吐き捨てながら、オレはおまえの腰をさらに高く抱え上げるようにして、一番奥の熱い場所へと、今度こそ容赦なく、深く腰を叩きつけた。
「…ッお”、お”ー…ッ、♡あき、と…っ、……そこ、だめ……ッ♡」
オレの下で、冬弥が男らしい大きな身体を弓なりに跳ねさせて、シーツを涙で濡らしながら掠れた声を上げた。一番弱いそこを 捉えられたおまえは、オレの背中に回した手に ぎゅうっと 爪を立てて、必死に 快感から 逃げようと もがいている。
(……逃がすわけねぇだろ。ここが、おまえの 一番 弱いトコだろ)
元の大きさに戻ったおまえの身体は、小さかった時とは比べものにならないくらいに 狭い中で オレを 締め付けてきて、頭の芯が ジンジンと 痺れていく。おまえの 荒い呼吸が オレの首元に かかるたびに、朝の 光を 浴びた 部屋の熱が、さらに 跳ね上がっていくのが 分かった。
オレはおまえの 涙で 濡れた 睫毛を 乾いた 親指の腹で 優しく 拭ってやりながら、腰の動きを さらに 深く、逃げ道を 塞ぐように 押し潰した。
「だめだって 言いながら、身体は こんなに オレを 欲しがってんじゃねぇか……っ」
熱を帯びた空気の中で、おまえのすべてを受け止めるように、オレたちはただ静かに、互いの存在を確かめ合うように時間を重ねていった。
「……ん、……クソ、マジで昼じゃねぇか」
カーテンの隙間から差し込む光が完全に高くなっていて、オレはベッドの上で重い身体を起こした。枕元のスマホの画面を見ると、もうとっくに午前中の授業が終わっている時間だった。完全に学校をサボっちまった現実に、少しだけ頭が痛くなる。
(……ハァ、やっちまった。完全にこいつのせいだわ)
隣を見ると、冬弥がシーツに包まれたまま、疲れ果てたようにすやすやと眠っていた。高二のいつもの大きな身体。だけど、その白い首筋や鎖骨の周りには、昨夜のものと、今朝ちっちゃかったおまえに刻みつけたもの、そして元の姿に戻した後にめちゃくちゃにやり直した痕が、これでもかってくらい生々しく散らばっている。
オレはベッドのヘッドボードに背中を預けて、おまえの穏やかな寝顔をじっと見つめた。
学校をサボった罪悪感なんて、この愛おしい塊を前にしたら一瞬でどうでもよくなる。
オレはそっと手を伸ばし、冬弥の少し乱れた髪を指先で優しく梳いてやった。そのまま、まだ熱を持っている柔らかい頬を親指の腹でそっと撫でる。手のひらから伝わるいつも通りの冬弥の体温が、オレの胸をじんわりと満たしていく。
おまえの口元が、オレの手の動きに合わせて微かに緩んだ。小さかった時に頭を撫でると笑っていたあの顔が、今のデカいおまえの顔に重なる。
「……おい、冬弥。いつまで寝てんだよ、学校終わっちまうぞ」
わざと少し呆れたような声を出しながら、おまえの耳元に顔を近づけて低く囁いた。おまえが目を覚ました時、どんな顔をしてオレを見るか、今から楽しみで仕方がねぇ。
「…んー……。」
「……やっと目ぇ覚ましたか」
もぞもぞと動くシーツの隙間から、眠そうに細められた冬弥の瞳がオレを捉える。まだ頭が回っていないのか、ぼんやりとした顔でオレを見つめるその無防備な表情は、いつ見ても男のオレから見ても本気で可愛いと思ってしまう。
(……ハァ、ほんと、よく眠ってやがったな)
オレはベッドの上に肘をつき、おまえの少し冷えた頬へと手を移動させた。親指の腹で優しくそこを撫でると、冬弥はさらに表情を和らげて、オレの手に自分の頬を預けてくる。小さかった時もこうしてオレの手に顔を寄せていたのを思い出して、胸の奥がぎゅうっと甘く締め付けられた。
「なぁ、冬弥。オレたち、完全に学校サボったぞ。スマホ見てみろ、もう昼過ぎだ」
少し掠れた声を隠すようにフッと笑いながら、おまえの額にかかる前髪を指先で優しく払ってやる。
おまえの白い首筋には、昨夜から今朝にかけてオレが刻みつけた痕が、まだ生々しく赤く残っていた。それを見るだけで、さっきまでおまえのすべてを貪っていた時の熱が、また身体の奥でじわじわと燻り始めるのが分かる。
「おまえが朝からあんなにオレを焦らすからだろ。……お腹、空いてねぇか? なんか簡単に作ってきてやるよ」
そう言いながら、オレは繋ぎ止めるように、もう一度だけ冬弥の頬を指先で愛おしそうに撫でた。
「昼……。…彰人、五限目からでも行こう」
「は……? 五限目からって、おまえマジで言ってんのか?」
昼過ぎの気怠い空気の中で飛び出したその生真面目すぎるセリフに、オレは思わずベッドの上で素で呆れ声を上げた。
身体をめちゃくちゃに啼かされて、シーツに埋もれてぐったりしてたくせに、目が覚めた途端に考えることが学校の出席のことかよ。
(ほんと、どこまでも真面目な奴だな、おまえは……)
オレは呆れ半分、愛おしさ半分で溜息をつきながら、おまえの柔らかい頬を今度は少し強めにむにっと抓ってやった。
冬弥は困ったように眉を寄せながらも、オレの手から逃げようとはしない。
その素直な反応がまた可愛くて、オレの口元が自然と緩んでいく。
「あのさ、今から準備して学校行ったって、着く頃にはもう放課後近くだぞ。制服だって、朝のせいでシワだらけだしな」
そう言いながら、オレは視線をおまえの首筋へと走らせた。
そこには、さっきオレが上書きしたばかりの赤い痕が、朝の光に照らされて隠しようもないほど生々しく残っている。
「そんな身体で学校行く気かよ。周りに見られたらどうすんだ。……今日はもう諦めて、オレと一緒にいろ」
もう一度おまえの額を指先で優しく小突いてから、オレはベッドからゆっくりと立ち上がった。
「大人しく待ってろ。冷てぇ水と、なんか食えるもん用意してきてやるから」
「…彰人のせいだ」
(……オレのせい、ねぇ)
おまえがシーツを鼻先まで引っ張り上げて、そこから少しだけ不満そうにオレを睨みつけてくる。
自分のせいで学校をサボる羽目になったって、小さな声で責めるおまえのその顔が、赤くなっていてマジで可愛い。
(おまえが朝からあんな風にオレを狂わせたのが悪いんだろ……)
ベッドの横に立ったまま、オレはフッと口元を緩めて、もう一度おまえの傍へと腰掛けた。
シーツの上から、おまえの大きな身体を包み込むようにして、その丸い頭をガシガシと乱暴に撫で回してやる。
髪が跳ねてさらに困ったような顔になるおまえを見て、ようやく朝からの昂ぶりが心地いい満足感に変わっていくのが分かった。
「そうだよ、全部オレのせい。おまえをこんな身体にしたのも、学校サボらせたのも、全部オレがやったことだわ」
少し低くて掠れた声のまま、わざとおまえの耳元に顔を近づけて囁いてやる。
そうやってオレのせいにしながらも、オレが傍を離れようとすると少し寂しそうな目をするおまえを、オレが手放せるわけねぇだろ。
「だからさ、今日はもう諦めてオレに全部付き合え。……ほら、大人しく待ってろよ」
おまえの額に、今度はいつもの愛おしさを込めて触れるだけの優しいキスを落としてから、オレは今度こそキッチンへと向かうためにベッドから立ち上がった。
「あ…そうだ、彰人。忘れないうちに」
「なんだよ」
キッチンへ向かおうと一歩踏み出したところで、後ろからオレの名前を呼ぶ声がして、思わず足を止めた。振り返ると、冬弥がシーツから片手だけを覗かせて、オレのTシャツの裾を遠慮がちに、だけどきゅっと掴んでいた。
(……あー、クソ。ほんと、おまえってやつは)
学校に行こうなんて真面目なことを言ってた人間のくせに、いざオレが傍を離れようとすると、そうやって無自覚に引き留めるような真似をする。小さかった時にお兄ちゃんって呼びながらオレの指を握ってきたあの瞬間と、今のデカいおまえが重なって、胸の奥が痛いくらいに甘く締め付けられた。
オレはキッチンへ行くのを一旦諦めて、もう一度ベッドの端に腰を下ろした。
繋ぎ止めるように、冬弥の手を上からオレの大きな手で優しく包み込んでやる。指先を絡めると、おまえはどこかほっとしたみたいに瞳を細めて、オレをまっすぐ見つめてきた。
「なんだよ、寂しくなったのか? オレのせいにしたんだから、もう逃がしてやらねぇって言っただろ」
低く掠れた声で意地悪く囁きながら、空いている方の手でおまえの柔らかい頬をそっと撫で上げる。おまえがこうしてオレを求める限り、学校だろうが何だろうが、オレは何度だって全部放り投げておまえの傍にいてやるよ。
「…神代先輩が、メッセージを送ったのに、既読がつかない、と言っていて」
「動画ァ!? 撮ってるわけねぇだろあの変態センパイ……っ!」
スマホの画面に表示されたメッセージを一読した瞬間、オレはベッドの上で素で大声を上げてしまった。
『おはよう、東雲くん。薬の効き目が見たいんだけれど、動画なんて撮ってたりしないかな…?』
言ってる内容が恐ろしすぎる。
(撮ってたら大問題だろ……! つーか、既読がつかないからって冬弥に連絡してんじゃねぇよ!)
オレはスマホを握りしめたまま、すぐ隣で心配そうにオレの顔を覗き込んでいる冬弥をチラッと見た。
高二の姿に戻ったおまえの首筋には、小さかった時にオレが付けた痕と、その後にめちゃくちゃにやり直した痕が、まだ生々しく並んで残っている。
もしあの薬のせいで、おまえが指先一つでボロボロに啼いてたところや、オレの指を咥えて蕩けてたところなんかを動画に撮ってたら、それこそ別の意味で神代センパイの研究所に殴り込みに行くレベルだ。
「おい冬弥、おまえセンパイに余計なこと返信してねぇよな?」
オレは引きつった顔のまま、おまえの柔らかい頬を今度は焦りで少し強めにむにっと掴んだ。
冬弥は困ったように目を細めながらも、オレの剣幕に驚いたようにパチパチと瞬きをしている。
「……ハァ、マジで心臓に悪いわあの人。オレが今から『撮ってねぇし二度と冬弥に妙な薬を渡すな』って直球で送っとくからな」
おまえの頬を優しく撫で直してから、オレは画面に向かって怒りの形相で超高速のフリック入力を始めた。
「…とる?何の話だ?」
「何の話、じゃねぇよ……おまえ、マジで分かってねぇのか?」
画面に向かって超高速で怒りの返信を打ち込みながら、オレは呆れ半分で冬弥の顔を睨みつけた。おまえは本当に純粋というか、あの変人センパイの恐ろしさを分かってなさすぎる。
(動画を撮るって……オレとおまえが、あのちっちゃい姿のままでどんなことしてたと思ってんだよ)
おまえがオレの指一本に翻弄されて、涙目でボロボロに啼いてた姿。それから、オレの指を口に入れて蕩けた顔をしてたあの瞬間。もしそんなもんを動画に収めてあのセンパイに送ってみろ、どんな風に面白おかしく実験データとして扱われるか分かったもんじゃねぇ。
オレはスマホをベッドの上に放り出すと、まだ不思議そうに首を傾げているおまえの胸元に、わざとずっしりと体重をかけるようにして覆い被さった。
「センパイはな、おまえがちっちゃくなってオレに甘えてる姿を、面白がって見たいだけだよ。……だけど、あんなエロいおまえの姿、オレ以外の誰かに見せるわけねぇだろ」
低く掠れた声でおまえの耳元に囁きながら、オレは冬弥の柔らかい頬を両手で挟み込んで、オレの顔を限界まで近づけた。
「……なぁ、冬弥。おまえ、自分がちっちゃい時にオレにどんなこと言ったか、本当に全部覚えてんのか?」
おまえの潤んだ瞳をじっと見つめながら、オレはわざと意地悪く笑ってみせた。
「…あんまり、…あ、でも、動画なら…それ、防犯用にいつもカメラがあるぞ?」
「……は? 防犯用って……おまえ、マジで言ってんのか?」
冬弥の口から出たその一言に、オレはスマホを持ったまま、完全に思考が停止した。部屋の隅へとゆっくり視線を向けると、そこにはいつも通りの、防犯用に設置してある小さな室内カメラが、静かにオレたちを見下ろしている。
(待て、待て待て待て……! いつも、ってことは、まさか……っ)
昨日の夜、高二のおまえと激しく肌を重ねた時間も。
今朝、おまえがオレの片手サイズになっちまって、服に埋もれながら「お兄ちゃん」って啼いてた姿も。
オレの指一本に翻弄されて、涙目でボロボロになりながら、おしっこ漏らすみたいに熱い液体を吐き出してたあの瞬間も。
その後、指を引き抜いたらおまえがオレの指を咥えて、淫らに舌を動かしてたあのエロい顔も。
「……全部、録画されてんじゃねぇかよ……っ!!」
ベッドの上でがばっと跳ね起き、自分の顔を両手で覆った。顔から火が出るどころか、体中の血が一気に沸騰したみたいに熱くなる。あの神代センパイに送るどころの話じゃねぇ、オレたちのあんな破廉恥な姿が、バッチリとデータに残っちまってんだぞ。
「おい、冬弥……っ! そのデータ、今すぐ消せ! 一秒でも早く消去しろ!」
オレは慌ててベッドに這い戻り、おまえの肩をがっしりと掴んで激しく揺さぶった。おまえはまだ事の重大さに気づいてねぇのか、驚いたように大きな目をパチパチとさせている。
「神代センパイに見せるわけねぇだろ! つーかオレも恥ずかしすぎて死ぬわ! ほら、早くパスワード教えてオレに消させろ!」
低く掠れた声で必死に叫びながら、オレはおまえの赤くなった顔をじっと睨みつけ、今すぐデータを抹消するためのスマホへと手を伸ばした。
「…彰人が買ったのに」
冬弥に言われて、部屋の隅にあるカメラをもう一度見つめた瞬間、完全に忘れていた記憶がフラッシュバックして、脳みそが真っ白になった。
(……あ、そういやこれ、オレが機材の防犯用に買ったやつだわ……っ!)
ライブの機材とかの大事なもんを部屋に置くようになったからって、オレ自身が設置したやつじゃねぇか。神代センパイの仕掛けでも何でもなく、ただオレの防犯意識の高さが、最悪の形で自分に跳ね返ってきやがった。
「っ、オレの、せい、だけど……! だからってあんな、おまえがちっちゃくなって『お兄ちゃん』とか言ってオレの指しゃぶってた動画を残しとけるわけねぇだろ……っ!」
顔が爆発しそうに熱くなって、今すぐ自分の頭をベッドに叩きつけたい衝動に駆られる。オレが買ったカメラなら、パスワードも管理も全部オレのスマホでできる。
オレは真っ赤になった顔を隠すように片手で覆いながら、もう片方の手で大慌てで防犯カメラの管理アプリを開いた。
「クソ……、今すぐ消す。一秒で消去してやる……っ!」
ベッドにひっくり返ったまま、面白そうにオレの慌てっぷりを見ているおまえの顔を睨みつける。
高二に戻ったおまえの首筋には、オレが残した痕がまだ生々しく残っている。動画を消したら、その恥ずかしさを全部上書きしてやるみたいに、今度はおまえをベッドの上でめちゃくちゃにしてやる…。
「…ふふっ、パスワードは教えんないからな」
「……はぁ!? 教えないって、おまえマジで言ってんのか!?」
スマホの画面を睨みつけながら、オレはベッドの上で素で大声を上げた。オレが買ったカメラだけど、初期設定の時に冬弥にも管理できるようにって、二人で決めたパスワードを共有してたのを思い出す。まさかこいつ、オレが焦ってるのをいいことに、勝手に変更しやがったな。
(……くそ、笑ってんじゃねぇよ。なんでそんなもん残そうとしてんだよ!)
シーツにくるまったまま、楽しそうにふふって笑っているおまえの顔を見て、顔から火が出るくらいに熱くなる。あの動画には、小さくなったおまえがオレの指一本でボロボロに啼いてた姿も、オレの指を咥えて蕩けてた顔も、全部バッチリ映ってんだぞ。
オレはスマホをベッドに放り出すと、逃げようとする冬弥の大きな身体の上にがばっと覆い被さった。おまえの両手首をがっしりと掴んで、ベッドのシーツへと組み伏せる。
「おい、冗談抜きで教えろ。あんな破廉恥な動画、残しといてどうするつもりだよ。おまえだって、自分が『お兄ちゃん』って啼いてたの、見返したいわけじゃねぇだろ!?」
低く完全に掠れた声でおまえの耳元に詰め寄りながら、おまえの赤くなっている頬をオレの頬へと擦り付けた。
「教えるまで、今日はもう絶対にベッドから下ろしてやらねぇからな。学校もサボったんだ、パスワード吐くまで何度でもめちゃくちゃにやり直してやるよ」
そう言って、言い訳を塞ぐようにおまえの唇を深く、深く奪いにいった。
「っん……ッ…あきと、…ん…でも、…神代先輩は、動画が欲しいんじゃないのか?」
唇を引き離すと、冬弥はオレに両手首を掴まれたまま、どこかおかしそうに、でも熱を帯びた瞳でオレを見上げてきた。
「だから! センパイが欲しいからって、なんで素直に渡そうとしてんだよ!」
神代センパイに動画を渡すとか、冗談じゃねぇ。あの破廉恥な姿を見せていいのはオレだけだし、そもそもあんな動画を他人に渡せるわけがねぇだろ。
(……つーか、冬弥のやつ、オレをからかって楽しんでやがるな?)
普段は生真面目なくせに、たまにオレに対してこういう意地悪な仕掛けをしてくるから本当にタチが悪い。
小さくなってオレの指を咥えていた時のエロい顔と、今のオレを焦らして楽しんでいる大人のおまえの顔が重なって、胸の奥の独占欲がいよいよ歯止めが利かなくなってきた。
オレはおまえの手首を掴む手にさらにぐっと力を込めて、シーツに深く組み伏せた。
「センパイに動画なんか一秒だって見せるわけねぇだろ。あのちっちゃいおまえの姿も、オレを『お兄ちゃん』って呼んで啼いてた声も、全部オレだけのモンだわ」
低く完全に掠れた声でおまえの耳元に吐き捨てながら、オレは首筋に残る赤い痕のすぐ隣に、今度は力ずくで深い口づけを落とした。おまえの大きな身体がビクッと跳ねて、短い悲鳴がオレの口内に吸い込まれていく。
「パスワード教える気になったか? ……言わねぇなら、センパイへの返信なんか完全に忘れるくらい、今からその身体にオレの熱を、指先一枚残さず叩き込んでやるよ」
顔を上げて、顔を真っ赤に染めているおまえの唇に、今度こそ容赦なく深く、激しく喰らいついた。
「んっ……ふ、…ん”ー…っ、…あきと、わかったから…。…でも、交換条件だ」
「交換条件、だと……?」
オレの下で手首を掴まれたまま、冬弥は息を乱しながらも、どこか挑戦的な目でオレを見つめてきた。観念してパスワードを吐くかと思えば、この状況で取引を持ちかけてくるなんて、本当にいい度胸してやがる。
(おまえ、自分が今どんな体勢でそれ言ってんのか分かってんのか……?)
シーツに押し付けられたおまえの身体は、朝の情事の熱がまだ引いていなくて、触れている肌からドクドクと早い心臓の音が伝わってくる。首筋にはオレが残した痕がいくつも散らばっていて、隠そうもないほどオレの色に染まっているくせに。
オレは掴んでいたおまえの手首の力を少しだけ緩め、指先をおまえの長い指の隙間に滑り込ませて、ぎゅっと恋人繋ぎに変えた。そのまま、おまえの真っ赤になった耳元に顔を近づけて、低く掠れた声を落とす。
「いいぜ。その条件、聞いてやるよ。……ただし、内容によっちゃ、パスワードごと力ずくで奪い取るからな。言ってみろ」
どんな条件を出してオレをさらに焦らせるつもりなんだ。
「……は? オレが、あの薬を……?」
冬弥の口から出た予想外すぎる条件に、オレはベッドの上で本気でフリーズした。
今度、神代センパイから薬をもらってきたら、オレがそれを飲むこと。それが交換条件だって、おまえマジで言ってんのか。
(オレが、小さくなる……? こいつの、前で……?)
想像した瞬間、頭の中が最悪なパニックを起こした。
オレが今の冬弥の片手サイズくらいにちっちゃくなって、ぶかぶかの服に埋もれながら、見上げるくらいデカいおまえに見下ろされる。
それだけじゃねぇ。さっきオレがちっちゃいおまえにしたみたいに、おまえのデカい手のひらで弄ばれたり、指先一つでボロボロに啼かされたり、……それどころか、オレが「冬弥お兄ちゃん」とか呼ばされるってことか!?
「っ、んな、ふざけた条件、飲めるわけねぇだろ……っ!」
顔から火が出るどころか、体中の血が沸騰して一気に脳みそまで真っ赤になる。
掴んでいた冬弥の手にぐっと力を込めると、おまえはオレの激しい動揺を見て、シーツに顔を半分埋めながら、さっきみたいにまた「ふふっ」って満足そうに笑いやがった。オレが焦るのを完全に楽しんでる。
「笑うな! おまえ、オレをどうするつもりだよ! そんな動画を神代センパイに渡すより、オレがちっちゃくなる方が、オレにとっては一億倍大問題なんだよ!」
低く完全に掠れた声で必死に怒鳴りながらも、おまえの潤んだ瞳がじっとオレの反応を試すように見つめてくるから、どうしても強気になりきれねぇ。
「……クソ、ほんと、おまえってやつは……」
おまえのその真っ直ぐな、どこか期待を含んだ熱い視線に、オレの理性がじわじわと削られていく。
もし、オレが小さくなって、おまえのその大きな手の中でめちゃくちゃに愛されるとしたら。その姿を、あのカメラがまたバッチリ録画するんだとしたら――。
(……いや、待て。そんなヤバいこと、一瞬でも考えたらオレの負けだわ)
オレは言い訳を全部叩き潰すように、おまえの柔らかい頬を両手で強く挟み込んだ。
顔を極限まで近づけて、おまえの鼻先が触れ合う距離で、わざと意地悪く、だけど本気で堪えきれなくなった声をぶつける。
「その条件……、本当にオレが飲むと思ってんのか?なぁ、冬弥」
「…ふふ、じゃあ知らない間に、神代先輩が動画を見ているかもな」
「……っ、おまえマジで、脅し方までタチ悪くなってんじゃねぇよ!」
楽しそうにふふって笑いながら、神代センパイが動画を見ているかもなんて言われて、オレは本気で背筋が凍りついた。
あのセンパイなら、オレたちの部屋の防犯カメラにハッキングすることくらい朝飯前だろうし、今この瞬間も画面の向こうで面白そうにニヤニヤしながら、オレが焦ってる姿を見てるんじゃねぇかって、リアルに想像できちまって鳥肌が立つ。
(クソ……! 完全に冬弥のペースにハメられてるわ、オレ……)
オレはベッドの上に突いた両手にぐっと力を込めて、おまえの大きな身体を上からこれでもかってくらい鋭い目で睨みつけた。
だけど、おまえはシーツに埋もれたまま、オレのそんな怒り顔すら愛おしそうに、真っ直ぐな熱い瞳で見つめ返してくる。
昨夜オレの腕の中で熱っぽく喘いでいた時のあの色っぽい顔と、オレを翻弄して楽しんでる今の大人びた顔が、どうしても重なって、胸の奥の独占欲が限界突破しそうだった。
オレはおまえの長い指の隙間に、自分の指をもう一度深く、一本ずつ絡みつかせた。
ベッドのシーツに指を強く押し付け合って、おまえの身体を完全に固定する。
「……ハァ、分かったよ。その条件、飲んでやる」
低く、完全に敗北を認めた掠れた声でおまえの耳元に囁く。
オレが小さくなって、おまえのその大きな手の中でどうにかなってやるよ。センパイにあの恥ずかしい動画を見られるくらいなら、今度薬を飲んでおまえにめちゃくちゃに可愛がられる方が、まだ一億倍マシだ。
「条件は飲んだ。だから、今すぐそのスマホのパスワードをオレに教えろ」
おまえの首筋に再び顔を埋め、さっきオレが付けた赤い痕の上から、さらに深く、オレの熱を吸い上げるようにして激しく口づけを落とした。
おまえの大きな身体がビクッと跳ねて、低い啼き声がオレの口内に吸い込まれていく。
「動画を消したら、今度はオレが、おまえのそのデカい身体にたっぷりと今の仕返しをしてやるからな」
顔を上げて、顔を真っ赤に染めているおまえの唇に、今度こそ逃がさないように深く、激しく喰らいついた。
「彰人…っ、ストップ、ストップ」
オレの唇を塞いできたおまえの大きな手のひらを、オレは自分の手で優しく包み込んで、ゆっくりと口元から引き離した。
「……っ、ん、……やっと、教える気になったか」
繋いだ指先から伝わる冬弥の体温は驚くほど熱くて、おまえがただオレをからかっていただけじゃなく、本気でオレの熱に当てられてるのが分かって、胸の奥がドクドクと 跳ね上がる。
(……ハァ、ほんと、最初から大人しく教えりゃいいものを)
おまえが少し 掠れた声で、観念したようにパスワードの数字を 零す。
それを聞き逃さないようにしっかりと耳に 焼き付けながら、オレはベッドの上のスマホへすぐに手を伸ばし、防犯カメラの管理画面を開いた。
おまえが教えてくれたパスワードを 打ち込むと、画面には今朝の、おまえが小さくなってオレの指を咥えていた時の あのエロい動画データが はっきりと 表示された。
顔が爆発しそうに熱くなるのを堪えながら、オレは迷わず消去ボタンを 叩き込む。
『データを完全に消去しました』
「よし……っ、これで完全に 証拠隠滅だわ」
画面が真っ白になったのを確認して、オレはスマホをベッドの向こうへと放り出した。
これであの変人センパイに、おまえがオレの指一本でボロボロに啼いてた姿を見られる心配は一ミリもねぇ。
「……もう終わり、終わりだわ」
スマホをベッドの向こうへと放り出したオレは、そのまま冬弥の隣へと倒れ込んだ。天井を仰ぎ見ながら、一気に大きな溜息を吐き出す。顔の熱は全然引かねぇし、朝からおまえに振り回されっぱなしで、心臓がいくらあっても足りねぇ。
(……つーか、流石にオレも疲れたわ)
隣を見ると、冬弥もシーツを胸元まで引き上げて、ほっとしたように小さく息を吐いていた。高二のいつもの大きな身体。だけど、その白い肌に残った赤みのせいで、さっきまでの破廉恥な時間がどうしても頭から離れねぇ。
オレは寝返りを打って、おまえの少し乱れた柔らかな髪を指先で優しく梳いてやった。そのまま、まだ熱を持っているおまえの頬を親指の腹でそっと撫でる。手のひらから伝わるいつも通りの体温が、オレの胸をじんわりと満たしていく。
「パスワード吐かせるために散々脅しといて何だけどさ……。オレも流石に、もう体力残ってねぇわ」
少し低くて掠れた声のまま、自嘲気味にフッと笑ってみせる。学校も完全にサボっちまったし、ここからまたおまえをめちゃくちゃに抱き潰すなんて、流石に今日はもうお互いの身体がもたねぇ。
「条件の件は、夏休みまで保留だからな。……今日はもう、二人で大人しく寝てようぜ」
「ふふっ、そうだな」
おまえの額に、今度は怖がらせないように優しく、触れるだけのキスを落とした。おまえが嬉しそうに目を細めてオレの胸元に顔を寄せてくるのを受け止めながら、オレは愛おしいおまえの身体を両腕でしっかりと抱きしめて、今度こそ一緒に瞳を閉じた。