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中原中也、17歳。
ポートマフィアに加入して2年の月日が経った。
ここまで俺は密輸宝石業などのマフィアにとっても重要である仕事を淡々とこなしていた。
数々の功績を残し、「双黒」と呼ばれる太宰治とのコンビ名は、世間へ轟かせていた。
その中中也はポートマフィア首領である森鴎外から、
「幹部昇進は太宰くんが少し早いだろう」
と聞かされたことを思い出す。
中也「(彼奴が先に…考えるだけで反吐が出る)」
中也はここ最近で一番の溜め息をついた。
今日は首領からの呼び出しを受けている。過酷で長期間の任務となると聞かされているが、
幹部への一歩だと捉えた中也は、少し胸が弾んでいた。
高まる胸を抑えつつ、首領執務室のドアを開く。
中也「首領、こんにちは、何の申し出ですか?」
中也は帽子を抑えつつ、深々と礼をした。
首領「おっ、中也くん。済まないねぇ急に呼び出してしまって」
中也「いえ、首領の命令なら何なりと」
首領は自らの異能であるエリス嬢と戯れるのを止め、中也へ視線を向ける。
そして、真剣な表情で中也へ言葉を投げる。
首領「任務の内容なのだろうけど…」
首領「きっと君しか適役がいないのだよ」
中也「太宰でさえもですか?」
首領「うーん。年齢的には大丈夫なのだけれど、性格的には中也くんの方が望ましいかな」
「太宰にはできない仕事を」そう考えた中也は、帽子を更に深々と被り、ニヤけを隠した。
だが、「年齢的に」はどういう意味なのだろうか。
中也「それで、内容というのは」
首領「率直に言わせてもらうよ」
首領「君には《公立の高校》に通ってもらう」
中也「はぁ?俺がですか?」
首領「そうだね。だが条件がある」
首領「そこに通っている異能持ちの高校生を______」
中也は息を呑んだ。
首領「マフィアに勧誘し、加入させることだ。」
中也は少し硬直した。
小・中学校にすらろくに通っていない自分が、上手くやっていけるかが心配だった。
いわれてみれば太宰は何かしらトラブルを起こすだろうし、17という年齢に当てはまっている俺だけだろう。
中也「ちなみにいつまで?」
首領「勿論マフィアの加入手続きが終わるまで。できなかった場合は、卒業まで粘ってもらう。」
「卒業」。中也が味わったことのない経験。少し目を輝かさせる。
この依頼を受ければ、幹部昇進への近道になる。
絶対太宰に勝つ。そう思い、任務は即決。
中也「勧誘対象は?」
首領「おお、やる気満々だね」
首領はニヤリとはにかんで、一枚の資料を中也に手渡す。
首領「これが今回の対象だよ。べっぴんさんだねえ」
紙に目をやった瞬間、驚きのあまり紙を床に落とす。即座に拾おうとするが手が震えてゆっくりになってしまう。
中也「此奴は_______」