テラーノベル
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『首すじに落ちる熱 ― 深く、強く』
「やだって、言えば言うほど……」
元貴の声が低く、どこかくすぶるように熱を帯びる。
「……余計に、止まらなくなるよ」
彼の指先が、鎖骨のあたりをなぞる。その冷たい指に、肌がびくんと跳ねた。
「っ、や……ダメ、ほんとに……っ」
体をよじって離れようとするあなたの腕を、彼がぐっと掴む。
「逃げないで」
「も、元貴くん、本気で言ってるの?」
「うん。……本気すぎて、ちょっと怖いくらい」
そう言いながら、彼の唇がもう一度、あなたの首筋に落ちた。
今度は甘くなくて、まるで跡を残すように、強く――。
「痛っ……!」
「ごめん。……でも、俺のって、わかるようにしたかった」
「勝手すぎる……」
「うん、勝手。……でも君が、他の誰かに笑うの、もう見たくないんだよ」
「元貴くん、そんなの……」
「だからさ――」
彼の顔が近づく。吐息が唇に触れる。
「“やだ”って言葉で、俺を止められると思ってる?」
「……っ」
「君の声が震えてる時点で、もう俺、限界なんだよ」
あなたが押し返そうとする腕を、軽く制されてしまう。
「イヤなら、俺の目見て、“もう触らないで”って、ちゃんと言ってみて」
心臓が跳ね上がる。
でも、視線を上げられない。言葉が出ない。
「……やっぱ、無理だよね」
そう囁いた彼の唇が、今度は耳元を軽く噛んだ。
「だって――君の身体、もう、素直になってるから」
「っ……やめて……っ、お願い……」
「その“お願い”って、どっちの意味?」
彼は悪びれた様子もなく、まるで楽しむように笑う。
「……ほんと、いじめたくなる」
その声が甘くて、優しくて、でもどこか冷たくて。
夢か現実かもわからなくなるくらい、あなたの心と体は彼に追い詰められていく――。
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