テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
気がつくと、俺は立っていた。
場所は。
学校の裏庭だった。
夕方の光が、地面を赤く染めている。
手が重い。
視線を落とす。
左手。
そこに、ナイフが握られていた。
刃には赤い血がついている。
俺の心臓が強く跳ねた。
俺「……え?」
声が震える。
ナイフを落とした。
金属の音が地面に響く。
その瞬間。
背後から声が聞こえた。
クラスメイト(女子)「きゃああああ!!」
振り返る。
女子生徒が立っていた。
顔が真っ青になっている。
そして、俺の足元を見る。
地面。
そこには。
神崎ユウトが倒れていた。
制服が血で濡れている。
胸のあたりに深い傷。
動かない。
女子生徒は震えながら叫んだ。
クラスメイト(女子)「人殺し!!」
俺の頭が真っ白になる。
違う。
俺じゃない。
俺は何もしていない。
でも。
左手には血。
足元には神崎。
遠くで誰かの足音がした。
生徒たちが集まってくる。
クラスメイトA「どうした!?」
クラスメイトB「え……」
空気が凍る。
全員の視線が、俺に向いた。
足元のナイフ。
倒れている神崎。
俺は言葉を出そうとした。
俺「ちが……」
声が出ない。
その時。
人混みの後ろで、あいつが立っていた。
左手をポケットに入れているクラスメイト。
俺を見ている。
そして。
ゆっくり拍手した。
誰にも聞こえないくらい、小さく。
クラスメイト(?)「すごいじゃん」
俺の耳にだけ届く声。
クラスメイト(?)「三人目」
背筋が凍る。
俺「……俺じゃない」
小さく言った。
そいつは笑った。
ひよこの進化形態
橘靖竜
732
クラスメイト(?)「でも」
クラスメイト(?)「ナイフ持ってるの君だよ」
言葉が詰まる。
その時、遠くでサイレンの音がした。
警察。
誰かが呼んだんだ。
クラスメイトたちがざわめく。
クラスメイトC「警察来るぞ…」
クラスメイトD「終わりだろこれ…」
俺の視界が揺れる。
本当に。
俺がやったのか?
その時。
頭の奥で、あの声が囁いた。
静かに。
満足そうに。
「上手くいったね」
俺は歯を食いしばった。
「違う」
「全部君がやった」
「違う!」
声が漏れた。
でも声は続く。
「思い出せないだけ」
「だって君は」
一瞬の沈黙。
そして。
「僕だから」