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橘靖竜
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気がつくと、俺は立っていた。
場所は。
学校の裏庭だった。
夕方の光が、地面を赤く染めている。
手が重い。
視線を落とす。
左手。
そこに、ナイフが握られていた。
刃には赤い血がついている。
俺の心臓が強く跳ねた。
俺「……え?」
声が震える。
ナイフを落とした。
金属の音が地面に響く。
その瞬間。
背後から声が聞こえた。
クラスメイト(女子)「きゃああああ!!」
振り返る。
女子生徒が立っていた。
顔が真っ青になっている。
そして、俺の足元を見る。
地面。
そこには。
神崎ユウトが倒れていた。
制服が血で濡れている。
胸のあたりに深い傷。
動かない。
女子生徒は震えながら叫んだ。
クラスメイト(女子)「人殺し!!」
俺の頭が真っ白になる。
違う。
俺じゃない。
俺は何もしていない。
でも。
左手には血。
足元には神崎。
遠くで誰かの足音がした。
生徒たちが集まってくる。
クラスメイトA「どうした!?」
クラスメイトB「え……」
空気が凍る。
全員の視線が、俺に向いた。
足元のナイフ。
倒れている神崎。
俺は言葉を出そうとした。
俺「ちが……」
声が出ない。
その時。
人混みの後ろで、あいつが立っていた。
左手をポケットに入れているクラスメイト。
俺を見ている。
そして。
ゆっくり拍手した。
誰にも聞こえないくらい、小さく。
クラスメイト(?)「すごいじゃん」
俺の耳にだけ届く声。
クラスメイト(?)「三人目」
背筋が凍る。
俺「……俺じゃない」
小さく言った。
そいつは笑った。
クラスメイト(?)「でも」
クラスメイト(?)「ナイフ持ってるの君だよ」
言葉が詰まる。
その時、遠くでサイレンの音がした。
警察。
誰かが呼んだんだ。
クラスメイトたちがざわめく。
クラスメイトC「警察来るぞ…」
クラスメイトD「終わりだろこれ…」
俺の視界が揺れる。
本当に。
俺がやったのか?
その時。
頭の奥で、あの声が囁いた。
静かに。
満足そうに。
「上手くいったね」
俺は歯を食いしばった。
「違う」
「全部君がやった」
「違う!」
声が漏れた。
でも声は続く。
「思い出せないだけ」
「だって君は」
一瞬の沈黙。
そして。
「僕だから」