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帰宅して、開封すると驚いた。華麗な柄のパッケージに隠れたのは媚薬……尻の穴に塗るらしい。それから、ピンクの可愛らしいローターだった。
「はいはいおれにアナニーの趣味はありませんよ」一旦はそれらを袋にぶっこんで知らん顔を貫く。……はずが。
気がつけばおれは携帯で検索していた。そう、アナニーに関する情報を。
『ヤバい気持ちいい』
『電動なのにすぐ壊れた』
『買って以来病み付きです』
……そうか。そうなのか。そんなにいいのなら一度きりの人生、試してみてもいいのではないか。実を言うと帰宅してコンビニの弁当そっちのけでアナニーを検索しまくっている。三田課長に懐柔されることへの抵抗感がないかと言えば嘘になるが。おれとて性欲に飢えたひとりの男だ。桐島さんへの想いを諦めるなら、このくらいのご褒美はあってもいいはずだ。
そしておれは服を脱ぐと、道具を手に、風呂場へと向かった。
その媚薬入りの軟膏を恐る恐る尻の穴に塗ってみる。
「熱っ!」とおれは絶叫していた。「熱熱熱……なんだこれ!」
尻の穴が燃えそうだ。触ってみる。無事であることが分かる。
そしておれはピンクローターを手に取り、思いきって……挿れてみる。
「くっ……あああああ!」
ヤバいヤバいなんだこれは。ひりつくなかにもおかしなことに快楽が……混ざり出す。
これ以上の快楽が待つというのか。ほんのすこしの恐れと、すさまじい恍惚と期待を感じながら、おれはとうとうスイッチを入れた。
ブウゥゥゥン!!
「ひぎゃっはっ……はっ……」
女はこのような感覚を味わっているのか。おれは……女が羨ましい。
熱を持ったそこをピンクのやつが蹂躙する。まるでぺニスのように。
「ああ……駄目だ。くぁあ……我慢出来ねえ!」
一旦振動を止め、おれはぺニスをしごきだした。おれはそこそこ性欲が強いほうではあるが……こんなにもすさまじい快楽に導かれるのは、これが初めてであった。
「ああ……くそ。いくいく……いっちまう!」
おれは泣き叫び、射精した。興奮で……鼓動がいやに速かった。
翌日出社したときはいけないことをした感いっぱいで。いやがおうでも三田課長を見ると興奮する。だが、見つめるのを止められない。いつも通り。
それからは、帰宅して即アナニーをする日々が続いた。おかしなことに、おれは三田課長で妄想するようになった。
三田課長があの美しい声で言うのだ。「ああ……荒石くん。立ってるね。そんなにおれが……欲しいのかい?」
そしておれは挿入する。課長が……三田課長が、あの整った顔を歪めるさままでイメージ出来る。
「貴将のここ、きっつ」そして課長はおれのウエストに手を添え、「待ってて。今宵もおれがきみのことを天国に連れていってあげる……!」
変態もここまで来るとド変態だ。おかしい……おれに男色の趣味なんかなかったはずなのに。どうした?
悶々と欲求を満たす日々が続き、あるときとうとうおれは課長にぶちまけた。……が、想定外のことがひとつ。
桐島さんに目撃されたのだ。
驚いたことに、三田課長の婚約者である桐島さんは、おれの気持ちを尊重してくれた。仔細は話してはいないが、聡い彼女のことだから、三田課長とおれのあいだになにが起こったのかを悟っていることであろう。
許可を得たおれは今宵も乱れ狂う。……未開の、決して踏みいってはならなかった、愛欲の森にて。
―完―