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1話完結系

4 - 辛くても、苦しくても

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2022年12月20日

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うるさいな。そう思いながら、私は目を開ける。

「あ、やっと起きた。おはよ。」

「おはよ~。健人君。」

「まぁ、もう昼だけど。」

彼━健人君は、私の彼氏。

「早苗ってば、昼休み中ずっと寝てたんだよ。」

私━早苗は、時計を見て、

「あれ、本当だ。」

「5時限目始まるよ。早くしなよ。」

「分かってるよ。そのくらい。」

急いで準備をする。ギリギリセーフ。

放課後に、彼からデートに誘われた。明日、公園で。だって。楽しみだなぁ。


次の日。お弁当を持って公園へ。今日は思ったよりも寒い。

公園に着き、彼の姿を━━。あ、いたいた。すぐに駆け寄り、

「おはよ。健人君。待った?」

「あ、おはよう。早苗。今来たところ。」

「正確には?」

「早苗に話しかけられたときから数えると、、、10秒くらい前についたかな?」

「ホントに今じゃん!」

私たちは空いているベンチへ。

「そういえば、ずっと気になっていたんだけど、持っているそれって、お弁当?」

「そうだよ。」

「早苗が作ったの?」

「もちろん!味は保証しないけど。」

「味の保証はないんかい。」

「だ、大丈夫だよ。…多分」

「そっか。うん。まぁ、信じとこう。大丈夫だって。」

お腹が空いてきたから、お弁当を食べる。健人君の1口目。

「美味しい?」

「美味しい!」

「良かったぁ。」

うれしいな。美味しいって言ってくれて。うん。我ながらさすがだ。

食べ終わった頃、空が黒くなってきた。

「うわ、曇ってきた。どうする?早苗。帰る?」

「まだ帰りたくない。もっと話したい。」

「それじゃあ、もう少ししてから帰りますか。」


30分後。彼が言った。

「あ、雪。」

「ほんとだ。雪だ。どうりで寒いわけだ。」

「それじゃあ、帰ろうか。雪が降ってきたし。」

「そうだね。帰ろう。」

私たちは、歩きだす。歩きながら、話す。

「ねぇ、覚えてる?私と健人君が出会った時のこと。」

「覚えているよ。俺が転入した時、1番最初に話しかけてくれたよね。俺は、不安だったから。安心できた。君が、助けてくれた。」

「違うよ。」

「え?」

「独りだった私を、健人君が助けてくれたんだよ。私が話しかけた時に、君がちゃんと答えてくれた。暗いところにいた私に、手を差しのべてくれた、光を差してくれた。」

「そっか。だから早苗は俺と一緒にいたんだんな。」

「そう。だからね、ありがとう。健人君。」

「ああ。」

プ━━━━!と、不意にクラクションが鳴った。後ろから、光が近づいてくる。

「危ない!」

彼に、押された。

「健人…君。」

━━嘘…でしょ━━

「健人君!ねえ!」

「早苗、怪我はない?」

「私は大丈夫。でも━━」

「聞いて、早苗。君は、生きて。俺の分まで。」

「何で、そんな、お別れみたいなことを━」

「車に轢かれたから、ね。ごめんね、早苗。でも、俺は、君の心の中にいるから。ずっと。支えてあげる。だからさ、笑って。早苗。俺は、早苗の笑っている顔が好きだな。」

健人君の脈が、弱く、、。

「嫌だ、イヤだ!健人君!」

「ごめんね、早苗。ありがとう。さよなら」

脈が、もう━━。

「━━━━!」

声にならない悲鳴。

「健人君!健人君!」

もう、ダメなんだ。帰って、来ないんだ。もう━━。私は、声を上げて泣いた。


何日か後━━。彼の、健人君の葬式が行われた。終わった後、健人君の言葉を思い出す。

うん。決めた。私、ちゃんと生きるよ。健人君の分まで。君が、助けてくれた、救ってくれた、命だから。どんなに辛くても、苦しくても、君は、そばにいるから。私はもう、大丈夫だ━━。

End

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なにこれ切なっ!

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