テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#一次創作
ruruha
257
ruruha
848
323
コメント
1件
うわ、めっちゃ緊迫してる……!十字架のペンダントが繋いでた回想と、現実のグロテスクな変貌のギャップが怖すぎるわ。主人公が「夢じゃない」って確かめた直後にアレが来る構成、心臓に悪いけど最高にゾクゾクした。掛け金で逃げ切れたかと思いきや鉄扉が開いてるオチ、続きが気になりすぎる!🔥
「…………」
考え込んでいると、足元に落ちている小さなものが目に入った。
それは血と泥で汚れた十字架のペンダントだ。
これ、あの女の人の。
置いていかれちゃったのね。
ここでご主人様を待っているんだ。
でもあなたのご主人様はもうーー。
私はそれをそっと握りしめた。
この断罪の間は、鉄格子と壁で部屋の一角が仕切られている。
柵の向こうには椅子、しきりの壁を突き抜けた石机が見えた。
ここから見る限り、変なものは落ちてない。
柵の中にもう一つランプが灯っているので、多少明るい。
薄暗くても床に広がる血の跡ははっきり見えてしまう。
これはあの人の血?
それとも他の誰かの血?
あの人はどうしてここにいないの?
やっぱりあれは夢だった?
考えれば考えるほど分からなくなる。
死体がないのは気になるものの、その他に特に変わったことはなさそう。
部屋を出ようとドアを開けた。
「!!」
開かれたドアの向こうには顔があった。
一瞬息が止まりそうになる。
この人……昨日の!生きていたの!?
てっきり彼女は死んだものだと思い込んでいた私は、思わず何度も何度も足を確かめた。
……足はある。
幽霊じゃないよね?
それを確認してホッと息をついた。
それじゃやっぱり、無事だったんだ……。
昨夜死んでいたように見えたのは勘違いで……ううん、それとも最初からそんな事実はなかった?
あれは全部、私が見た夢だったの?
よく分からない。
彼女が無事ならどっちでもいいか……。
「あの、無事でよかったです」
「…………」
「大丈夫ですか?どこか怪我とか……」
「…………」
「あ、の……」
「…………」
女の人は俯いているだけで、なんの反応も返ってこない。
見えてないのかな。
また不安になった。
もしかしてこれも夢の中の出来事なの?
そう思った時、手の中の十字架の存在を思い出した。
「あっ、そうだ。これ……」
握りしめている十字架の感触は、はっきりしている。
やっぱり夢じゃないよね?
「返さなくちゃって思ったの。大事なものだと思って……」
ペンダントを差し出しながら、ドアノブに手をかけた。
「よかった、返せて。私ーー」
開けたドアの向こうにあったのは、半分血まみれの顔だ。
うそ……。
どう見ても、立って歩ける怪我じゃない。
十字架を差し出したまま凍りつく目の前で、その舌がずるりと伸びた。
「いやあッ!!」
思わず手に持っていたものーー拾った十字架のペンダントを投げつける。
「ギャアアッ!」
短い悲鳴と共に、それは地面に崩れ落ちた。
ガタガタと震える足元に這いつくばり、うめいている。
どうなってるの!!
何が起きて!
これは……。
いったいこれは!
グッと呻き声が止まった。
ぐりと首が捩れて顔がもたげられる。
その目は、真っ赤に血塗られていた。
これは、ヒトなの!?
「アウェアアァーー!」
もしかしたら彼女は、何か喋ったのかもしれない。
かすかにそんな調子だった。
でもそれは、言葉とは呼べない。
彼女を突き飛ばして、部屋を飛び出した。
どうなってるの!?何が起きて!!
ああ、とにかく逃げなきゃ!!
じっとしてたら捕まっちゃうわ!
西側の扉へ飛び込んだ瞬間、あることを閃く。
そうだ、掛け金!!
このドアには掛け金がついている!
私は咄嗟にドアに掛け金をかけた。
「グエエッ!!」
「きゃあッ!」
女の人が追いついたのは、掛け金を引いたのと同時だった。
手を振り払うようにして、ドアから退く。
ドアが激しく揺れて、鉄格子に血だらけの顔を押し付けていた。
「ギイイッ!!」
赤く濡れた目がぎょろぎょろと不規則に動き回って、私を狙っている。
ずるっと赤い舌が鉄格子の隙間から伸びた。
さらに下がる。
舌は二メートルくらい伸びて、もどかしげに空で唸った。
大丈夫……ここまでは届かない……。
「グエエーー!!」
「!」
苛立った咆哮に、蹲って耳を塞ぐ。
どうしよう。どうしたらいいの?
ここから動けないわ。
だって、そこの鉄の扉は閉まって!
泣きたい気分でドアを見上げた私は、目を見開いた。
ドアの隙間から光が漏れている。
開いてる!
鉄の扉の向こうへ飛び込んだ。