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伊吹丸が異能の力で倭の新時代を築く中、その動向を静かに見守る存在がいた。彼の名はマドレシス。かつては人間だったが、神界に足を踏み入れ、人間界と神界の橋渡しを担う神となった者だ。
マドレシスは遥か昔、偉大な力を持つがゆえに人々から神格化され、やがて神として覚醒した。彼はその力で幾度となく人間の歴史に干渉し、時に助け、時に試練を与えてきた。だが、彼自身もまた、人間としての感情を持ち続けていたため、完全なる神にはなりきれない存在でもあった。
人間と神の境界線に立つその姿は、常に孤独を宿していた。
伊吹丸が400年にわたって生き続け、彼の力と統治がますます強大化していくにつれ、マドレシスはその存在に強く引き寄せられた。異能を操り、時間さえも手中に収める伊吹丸の姿は、かつての自分を思い起こさせるものであった。
「人として生きながらも、神のような力を持つ者…」
マドレシスは、神の高みから伊吹丸を見下ろしながら、思わずつぶやいた。
彼は神界から伊吹丸を見守るだけでなく、人間界に降り立ち、直接接触することを決意した。
その夜、伊吹丸は静かな屋敷の中で一人思索にふけっていた。突然、空気が変わり、神々しい光が部屋を満たした。伊吹丸が顔を上げると、そこに立っていたのは、優雅な衣装に身を包み、冷静でありながらもどこか慈悲深い表情をしたマドレシスだった。
「お前が伊吹丸か。」
マドレシスの声は静かだが、その響きは深く魂に届くものだった。
「その通りだ。お前は何者だ?」
伊吹丸は少し驚きながらも、落ち着いて応じた。
「私はマドレシス。人間だったが、今は神としてこの世界を見守っている者だ。そして、お前の歩みを長らく見届けてきた。」
伊吹丸は一瞬、考え込んだ後に目を細めた。「神…なるほど。では、ここに来たのは、何か理由があるということか?」
マドレシスは微笑を浮かべながら頷いた。「お前の力は、やがてこの世界を大きく変えるだろう。だが、その道には危険が伴う。私はただ、見届けるつもりだ。だが、もしお前がその力を誤った方向に使うならば、私はお前に試練を与えなければならない。」
「試練だと?」伊吹丸はその言葉に興味を示した。「どんな試練か?」
「それはお前自身が決めることだ。お前の行動次第で、未来は変わる。そして、お前が選ぶ道が世界の運命を決定づけるだろう。」
伊吹丸はしばらく考え込んだ。彼はマドレシスの言葉に深い意味があることを悟ったが、その意味を完全に理解するには時間が必要だった。
「私はお前を見守る。だが、助けを与えることもできる。私が人間だった頃と同じように、お前も今、選択の岐路に立っている。」
マドレシスの言葉に、伊吹丸は軽く頷いた。「助ける存在か。面白い。だが、必要とするのはただ一つ。力だ。」
マドレシスは再び微笑んだ。「道が正しければ、お前はこの世界の未来を築く者となるだろう。」
神々しい光が再び辺りを包み込み、マドレシスはその場から消え去った。伊吹丸は再び一人になったが、その胸中には新たな決意が芽生えていた。
「未来を築く者、か。面白い言葉だ。」
こうして、伊吹丸の旅は続いていく。マドレシスという見守る神の存在と共に、彼の選択が世界の運命を左右することとなる。