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これまでこの日本史BL検定対策講座では、総じて戦乱の時代を中心に学んできました。
いつ命を失うか知れないギリギリの局面、あるいは最も近くにいる者に裏切られるかもしれない状態は、たいへんドラマチックといえるでしょう。
キーワード「死への予感」「裏切り」について、みなさん覚えていますか?
日本史BL検定に出題が予想される文言ですよ。
忘れていた人は、おさらいしておきましょう。
しかしあらためて考えるまでもなく戦争の時代より、戦争をしない・認めないという時代のほうがよいに決まっています。
今回ご紹介するのは江戸時代です。
幕府中心の権力構造や身分制度など、いろいろと締め付けや不平等は存在しましたが、戦争というものは長く起こっていませんね。
さて、戦争がないと世はどうなるでしょうか?
平和になる──そうですね、モブ子さん。
平和になると、どうしたくなりますか?
安心して趣味に打ちこめる──ええ、そのとおりです。モブ子さん。
──えっ、江戸時代にコミケはあったか?
えっと……それはちょっと分かりません。
江戸時代に「こみけ」なるものの存在があったかどうか、聞いたことも読んだこともないです。
ご、ごめんなさい。調べておきます。
あの……本題に戻りますね。
平和な時代では、モブ子さんが言ったように安心して暮らせます。
裕福かどうかはともかくとして、心の豊かさはあったのではないかと。
そうすると小説や戯曲などの文芸、浮世絵などの芸術、そして歌舞伎や浄瑠璃などの芸能が発達し、人々の暮らしを彩ります。
つまり、庶民の文化レベルが向上するのです。
さらにもうひとつ。
江戸時代は、庶民のあいだに「旅」が流行しました。
お伊勢参りや善光寺参り、四国霊場巡りなどが有名です。
女性だけで旅をしたということも珍しくはなかったようです。
それもこれも、平和であればこそという気がします。
みなさんももうじき夏休みですね。
一回生だけのレクリエーションの一環としてキャンプがあると聞きました。
満天の星空の下、一緒に食事を作ったり、あるいは夢を語りあうのは生涯の思い出になるのでしょうね。
「えー、蓮ちんも来いよ。アタシら、蓮ちんと一緒に行きたいんだよ」
「えっ、俺は参加しろって言われてないけど……えっ? し、仕方ないなぁ」
コホン。
すみません、脱線しました。
今回の主役を示すキーワードは、この「旅」といっても過言ではないでしょう。
これまでのキーワードである「主従」や「主従逆転」。
あるいは「執着」「共依存」「裏切り」などに比べて、なんだかホンワカした印象ですね。
しかし「旅」とはBL学において、さまざまな要素を孕んだ言葉なのです。
みなさんがお好きなゲームなどでも、大抵の勇者は旅をしていますね。
勇者には仲間がついています。
ええ、それはそれはたのもしい仲間です。
BL学から鑑みるとこの場合、勇者と仲間のひとり……あるいは勇者と仲間たち。
複数のカップリングが成立するでしょう。
彼らは総じて野宿をします。
身を寄せ合って眠ることでしょう。
さぁ、ここで何が起こるのでしょうか。
さらに街や村では宿に泊まります。
大体のゲームでは睡眠中の描写などありませんが、おおむね同じ部屋に宿泊するものと思われます。
さぁ、何が起こるのでしょうか。
──以上。BL学における「旅」の醍醐味を、感覚的にお分かりいただけたことと思います。